弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【恒例】流行語大賞で学ぶ商標2018(第2回)

2018年11月09日 08時28分33秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
ここんとこスッキリしないお天気が多いですな。今日も雨降りそぼる@湘南地方です。

さて、昨日の続き。

(3)パリ優先権と分割出願 「TikTok」

全く関心が無い、と思っても知らず知らず耳に入ってくるのだから、やっぱり流行しているんでしょうね、「TikTok」。
提供元は中国のメディア企業Bytedance、というところだそうで。中国企業なんだ、初めて知った。

さて、この「TikTok」、サービス開始は2016年9月とのことですが、日本での出願行動はちょっと遅めの2017年11月29日。
市場として有望視できるようになってから、ということなのでしょうか。




但し、他の国で先に出願を行っていたので、その出願日の利益(=優先権)を主張して出願しています。
商標は、第1国出願から6月以内であれば優先権主張可能です。



ところで、この「TikTok」はアプリなので9類確保がマストだと思うのですが、指定商品としては記載されていません。
この点調べてみると、

出願当初は記載していたのだけれど、


4条1項11号で拒絶されています。
これへの対処として、出願人は出願の分割を行っています。
拒絶理由が無いところは残して先に権利化してしまい、指摘されたところを分割して争う、というのが基本的な使い方。
本件は親出願でパリ優先権も主張しているので子もその利益を引き継ぐ。




この出願は現在も特許庁に係属中。

一点疑問が。
分割の親出願の【先願権発生日】は「2017年11月29日」つまり現実の出願日、
分割の子出願の【先願権発生日】は「2017年10月23日」つまり第1国であるインドの出願日。
インドの出願を見れば判ることなんだろうけど、これはインド出願で指定していた商品/役務が子出願にしか含まれてないから親出願の先願権発生日が事後的に繰り下がったのか、それともJ-PlatPat上審査係属中は形式整ってさえいれば一律に優先日表示するのか。。。
短答か口述試験ででも訊かれそうな、ちょっとマニアックな事案、なのかな。


今日は1件だけ。明日に続く、、、のか?もうあんまりネタがなさそう。




コメント
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