弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【特許?商標?】「ダイエット料理のパクリ」とかなんとか ~料理のレシピは保護されるのか?~

2020年10月12日 08時41分20秒 | 実務関係(特・実・意)
おはようございます!
少し気温は上がり目な感じの@湘南地方です。

さてさて、今日はふと目についたこんな記事

(Buzz Plus Newsより引用)
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【衝撃】美人ユーチューバーがダイエット料理のパクリ疑惑で大炎上 / 北岡悟丼をまりな丼として自分のものにした可能性

美人すぎるユーチューバーとしてカリスマ的存在の竹脇まりな先生(30歳)が、インターネット上で大炎上している。

問題視されているのは、竹脇まりな先生が開発したと誇示する「まりな丼」。これを食べ続ければダイエットに期待が持てるとして話題になっていたが、実はこのまりな丼、すでに酷似する北岡悟丼が存在しており、竹脇まりな先生が「北岡悟丼をパクってまりな丼を作ったのではないか」と物議を醸しているのである。

(以下略)
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(引用終わり)

いや、この時点ですでに色々香ばしすぎるのだけど、
実際どんな感じで「パクリ」なのか気になった。

上記記事で紹介されているそれぞれの丼の材料は、以下の通り。

(記事より引用)
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<まりな丼>
キムチ、納豆、卵、鶏肉、アボカド、オクラ、ブロッコリー、もずく酢 等
<北岡悟丼>
キムチ、納豆、卵、鶏肉、ホウレン草、黒酢、海苔 等
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(引用終わり)

更に、この件に触れているツイートがこちら
「卵」も生卵とゆで卵じゃ違うし、「鶏肉」も部位が違うし。。。
未確認だが「まりな丼」の方はご飯が入っていないらしい。
…いや、全然違うじゃん。
これで「パクリ」というなら「パクリ」の守備範囲広すぎ。

で、ポイントを以下に列記。

1)「パクリ」とここで非難されている行為が何なのかと言うと、
 “他人がオリジナルに考え出したアイデアをあたかも自分が考え出したかのように喧伝する行為”
 を指しているのだと思われる。
 その意味で「まりな丼」と称して紹介している点は、まあ多少ツッコミどころはあるかもしれない。
 が、“法的には”、何も問題はない。
2)「北岡悟丼」のレシピそれ自体が特許として保護されている事実はない。
 調べたところ商標「北岡悟丼」は登録されている(登録第6259148号)が、“美人ユーチューバー”の方は当然ながらその商標を無断で使用などしていない。
 当然、侵害の事実はない。
 ちなみに、料理のレシピそれ自体は著作物ではなく著作権による保護は受け得ない。
3)料理のレシピ自体既存の「ばくだん丼」の範疇であり(鶏肉が入っている点に多少オリジナリティはあると思うがそこまで突飛でもない)
 古くからあるものの一つに過ぎない。
 「キムチ、納豆、卵、オクラ」なんてありきたりもありきたり過ぎて。
4)上述の通り、レシピ自体も“多少共通点がある”という程度であり、別物。
 仮に「まりな丼」が「北岡悟丼」を参考にして作られたとしても、
 もはや別のメニューになっており「パクリ」の誹りはあたらない。
5)北岡悟氏ご本人よりもその周りがあれやこれや言っている状況
 (ご本人もちょこちょこツイートはしている様子だけど)。
 周りが本人に代わって騒ぎ立てる状況は、よくわからない。

まあ何が言いたいかというと、「パクリ警察」多すぎ。
誰も皆そんなにオリジナルな人生なんて送ってないよ。
自己顕示欲が前に出過ぎると叩かれちゃうというのはわかるけど、こんなん“交通事故”の範疇やん。
たぶん「模倣」それ自体が悪だと思い込んでるんだろうなぁ。

あと、元記事も
「自分のものにした」「あらゆる部分が酷似」などおよそ客観的とは言えない記述が目に余る。
(上述のレシピ紹介も異なる具材を同じであるかのように記載しているし)
煽るのも結構だが、事実に反する記載はサイトとしての品位を疑う。
コメント
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