弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事(特許)】特許の経済価値の分析手法

2021年07月09日 09時03分05秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
今日も小雨降る@湘南地方です。
昨夜事務所に傘を置き忘れてしまったので、むしろ開き直って雨中を自転車で滑走してきました。

さて、今日はこんな記事

(日本経済新聞より引用)
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保有特許に注目 食感・味の改善を競う「食料品」企業

企業が保有する特許(=技術力)に着目して有望銘柄を発掘する「工藤特許探偵事務所」。「企業が保有する特許の経済価値(技術力)の総和と時価総額(株価)には相関がある」という仮説に基づき、成長株を探していこう。

…(中略)…

YK値は工藤一郎国際特許事務所が開発した指標で、出願された特許に対する閲覧請求や無効審判など、ライバル企業が特許の内容を調べたり、無効にするために弁理士に支払った費用から算出する。弁理士コストは50万~100万円程度、訴訟を含めた場合は数百万円程度であり、YK値はこの金額を基準として算出する。

(以下略)
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(引用終わり)

着眼点としては、同業他社から嫌がられる内容を特許にしている、という点。
特許権が本質的に排他権である、という点と整合性がある指標の取り方だと思う。
他社からみて新製品開発にあたって障害となる特許であって、コストをかけてでも排除したいと思うのであれば、
そのコスト許容額はその特許の経済的価値と相関性があるとみることができる。
もちろん業界ごとに知財への投資性向やマーケット規模もあるだろうから、異業種間での対比は容易ではないと思うが、
この記事のように分野ごとに検討をするというのは妥当かな、と。

ただ、対象としているアクションの性質上、先行指標とはなかなかなりにくそう。
出願→権利化までに時間が一定程度経過しており、他社が情報提供、異議、無効のアクションを起こすときには
ある程度市場は出来上がっている。
個別の商品群に基づいた短期の値動きの予測に使える、というよりは、その企業の開発力(知財力も含めて)の裏付けとして見るのが適切に思われる。

こういう話、結構好きです。

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