【総集編】オーパーツ特集① 世界のミステリーファイル(アンティキティラ島の機械・ヴォイニッチ手稿・日本に眠る5つのオーパーツ
https://www.youtube.com/watch?v=INssR6sap8c
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▼量子計算 「量子力学」と呼ぶ物理学の理論を応用した次世代のコンピューターで解く計算のこと。
従来のコンピューターの限界を超えて複雑な問題を超高速で解けるのが特徴だ。創薬や新素材の開発、金融のフィンテック分野での活用が期待される。
1999年にNECが初めて量子コンピューター開発の基礎となる「超電導量子ビット」を実現して世界で研究が加速した。
量子コンピューター自体には計算過程でミスが多いといった課題があり、実用化に向けた途上段階にある。スーパーコンピューターとつなげることでミスのない計算が実現できるという。
理化学研究所のほか、欧州連合(EU)などが量子コンピューターとスパコンをつなげる研究を進めている。産業技術総合研究所の「ABCI-Q」も同様の構造を持つ。
既存のコンピューター上で量子コンピューターを疑似的に再現した「疑似量子コンピューター」の活用も進む。
物流の最適なルート設定など個別の分野に特化した計算処理を得意とする。日本が先行しており、富士通やNEC、デンソーなどが開発を進めている。
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日経記事2024.04.21より引用
対談する日立製作所の東原敏昭会長(右)と成蹊学園の江川雅子学園長(東京都千代田区)
上場企業は2024年3月期に3期連続の最高益を見込む。日本の経営は世界と競う実力を備えたのか。日立製作所の東原敏昭会長と、企業統治を専門とする江川雅子・成蹊学園学園長に意見をぶつけてもらった。(司会は西條都夫・日本経済新聞編集委員)
――日経平均株価が34年ぶりに高値を更新しました。日本企業は変わりましたか。
東原 海外投資家の目が日本に向かっているのを実感している。日立を含めて「もうかる会社にする」という改革マインドが定着し、収益性が上がったためだろう。
グローバル市場で戦えない企業は淘汰されるという危機感が背景にある。いかに事業を組み替え、市場のリーダーになるか。ニッチな分野で一時的にトップになるだけでは生き残れない。
江川 30年前は株主総会が質疑もないまま30分未満で終わり、3月期決算企業の9割超がいわゆる「集中日」に開催していた。経営者が株主に向き合っていなかったわけだが、その姿勢が変わった。集中日は分散され、持ち合い株も減った。
合わせて取締役会も活性化した。30年前の取締役会は社内取締役ばかりで形式的だった。今は東証プライム市場の95%が3分の1以上の独立社外取締役を選任している。監督機能も向上した。
――株主を重視する経営はどこまで進みましたか。
東原 株主を意識するというより、ガバナンスを強くするためには株式市場の評価にさらされるのが一番ということだ。日立は12人の取締役のうち9人が社外で外国人が5人、女性2人の構成。取締役と執行役が真剣に議論する形になると、執行側が思い切った提案をできる。執行役が暴走しても取締役がガードしてくれるからだ。
江川 上場企業の配当と自社株買いによる株主還元の総額は前期、2年連続で過去最高となる見通しだ。株主還元を考えない従来の姿勢が転換したことは評価できる。現金をため込むよりは良い。
14年の「伊藤リポート」が自己資本利益率(ROE)の8%目標を掲げた影響は大きかった。売上高利益率ばかりに目を向けていた日本の経営者が、資本効率を意識するようになったからだ。
東原 株式市場から意見をもらうため情報を出すようになる点も重要だ。20年5月、新型コロナウイルスの業績への影響をどう開示するか悩んだ。議論を経て地域ごとの事業リスクを詳細に開示すると株価は好反応した。透明性は信頼を生むと思う。
――株主を重視しすぎるリスクはありませんか。
江川 PBR(株価純資産倍率)1倍割れへのプレッシャーのため、株主還元を考える経営者が増えた。一方、失われた30年の間に設備投資は落ち込み、人への投資も十分にできなかった。
本来すべきリスク投資ができていなかったことになる。株主還元による株価上昇は一時的なものだ。本質的な企業価値の向上のためには、成長投資やポートフォリオの入れ替えが重要になる。
東原 PBRの1倍割れ回避は方法論にすぎない。一番いいのは経営者がキャピタルアロケーション(資本配分)を示すことだ。人的投資、賃上げにどのくらいあてるかを詳細に出す。
賃上げにしても(付加価値に占める人件費の割合を示す)労働分配率の目安を示せば利益分配の姿勢が明確になる。物価上昇を上回る賃上げも大事だが、それだけでは長続きしない。
えがわ・まさこ 米ハーバード大MBA、一橋大博士。専門は企業統治。外資系投資銀行勤務や東大理事を経て2022年から現職。三井物産と三菱電機の社外取締役も務める。
――事業の収益性を高めるには何が必要ですか。
東原 日立の場合、過去最大の赤字を出した09年3月期以来の事業再編が重要だった。当時は上場子会社が22社もあり、子会社が頑張れば本体の営業利益も膨らんだ。
しかし少数株主に利益が流れるので純利益はたいしたことがない。こうした体質の行き着いた先が7873億円の大赤字だった。
09年以降の改革では上場子会社に頼らないシンプルな経営を目指し、株式売却などを繰り返した。今は上場子会社がゼロになり、利益で勝負できるようになった。
江川 上場子会社は銀行から資金調達がしやすいといったメリットがかつてあった。しかし利益の流出が大きいので海外には事例が少ない。今は上場子会社のメリットは少ないというコンセンサスが日本でもできてきている。
――稼ぐ力を高めるM&A(合併・買収)では何を重視しますか。
江川 30年前と大きく変わり、日本企業が事業や会社を「売る」決断をするようになった。さらに以前は買う方も慣れておらず、高値づかみをする例も多かった。M&Aは難しく、失敗が多いことを念頭におくべきだ。
今は自社の戦略に基づいて買収対象を探し、売りに出ていなくても買収提案を持ちかける企業が増えている。
東原 経営者が稼げる会社の姿を考え抜き、足りないピースをとりにいく姿勢が重要になる。日立の場合だと世界一の事業がなかったが、20年にスイス重電大手のABBから(世界一の事業規模の)送配電事業を買収して欠けていたピースが埋まった。
今はグローバルに競争するための人材が足りない。21年に米ITグローバルロジックの買収で3万人の人材を得たが、本当は倍くらい必要だ。
江川 M&Aでは企業文化の相性も大切だ。買収後に事業を統合する「PMI」のプロセスを買収前から考える必要がある。投資銀行に勤務した1980年代から日本のM&Aを見てきたが、大きな案件になるほど経営陣が前のめりになり冷静な判断ができなくなる例もあった。あらかじめ買収価格の上限を決めてしたたかに交渉する姿勢も重要だ。
東原 19年に英国の原発事業を凍結し、損失処理した一件は教訓になった。継続の意見もあったが、経済合理性を重視する取締役会が反対したことが大きい。独立した社外取締役が少なかったら結論は違っていたかもしれない。
大型プロジェクト契約の際は工事は引き受けないことも徹底した。私たちは機器製造のプロであっても、土木工事や施設の建設のプロではない。過去に何度も工事の遅延などで巨額の損失を計上した。その過ちは繰り返さない。
ひがしはら・としあき 徳島大工学部卒、ボストン大院修了。1977年に日立製作所入社。2014年に社長、22年から現職。上司が若手に学ぶ「逆メンターもいい」と語る。
――日本での敵対的買収の広がりをどう見ますか。
東原 日本人の気質もあるので国内にはあまり向かないかもしれない。
江川 敵対的買収は以前の日本企業なら受けつけなかったが、増えてきた。入り口は敵対的でも、最後は買収される企業の取締役会が「こちらの提案の方が企業価値が上がる」と判断して決着する例が多い。こうした形なら日本でもありうると思う。
――日本企業は人材の多様性が長く課題とされています。
東原 日立はM&Aによって6割の人材が外国籍になった。上司が外国人という例も増えて、日本人にもいい刺激になっている。
江川 取締役会レベルでは女性や外国人が入る多様性の意義が理解されてきた。しかし社内役員を見渡すと、新卒からほぼ一緒の経験をした同世代の男性だけで構成されている例が多い。中核人材の多様性が進んでいない。
海外の会社の役員は異なる経験をしてきた転職者、世代の異なる者が多いのが当たり前だ。そういう意味でも日本企業の人材の多様性はまだ足りない。特に内部昇進の役員の同質性が高いのは経営リスクだと危機感を持つべきだ。
東原 経験者採用も増えている。日立を辞めてベンチャーなどを経て戻ってくるのもいい。人材の流動性を高めるのが日本の課題だ。
江川 ジョブ型の人事制度を導入する企業も増えているが、労働市場の流動性が高まらないと機能しない。
――これからの経営者に必要な資質や能力は何でしょう。
江川 経営者の条件となるのが組織のパーパス(目的)を明確に伝え、実践する力だ。兼業や転職の広がりで従業員の力が強くなっている。従業員を引き付けるコミュニケーション力も欠かせない。
インテグリティー(誠実性)も絶対条件になる。高い倫理観を持ち、言行一致であることだ。一緒に仕事をしていてこの人ならついていけるというリーダーが必要だ。
東原 トップには実行力も必要だが、朝令暮改といわれても変えられる勇気も必要だ。異なる意見を聞いた上で、ビジョンを決めていくのがリーダーの仕事になる。
日本企業の「未来」を照らす対談だった。東原氏の話で印象に残ったのは、原子力発電所を新設する英国でのホライズン計画を2019年に凍結(後に撤退)した経緯だ。
これは日英両政府が深く関与し、当時のメイ英首相と中西宏明会長のトップ会談まで開かれた鳴り物入りの案件だ。それを企業側から打ち切るのは相当の勇気が要るが、東原社長(当時)はあえて決断した。
支えになったのが「民間企業は何事も経済合理性をもとに判断すべき」という社外取締役の唱えた筋論だ。
「彼らがいなければ、結論は違っていたかもしれない」と東原氏は振り返る。いったん始めた事業は見込み違いでもずるずると続ける。日本企業によくある過ちを、執行部から独立した取締役会が防いだのだ。
江川氏は多様性をめぐる、日本企業の「やらされ感」を指摘した。ジェンダーや国籍、世代の多様性確保に各企業は表向き熱心だが、実は政府や世論に押されてやっているだけで、本気度がまるで足りない。
同質集団でなれあいの意思決定をすると手痛い失敗をする。「その怖さが分かっている企業がまだ少ない」という。経営者にとっては耳の痛い、だが傾聴すべき指摘である。
(編集委員 西條都夫)
「相場は全体的に上がるときが最も強く、一握りの優良銘柄だけが上がるときが最も脆弱だ」。
米ウォール街の重鎮アナリスト、ボブ・ファレル氏が書き記した10の法則の一つだ。2000年代初めまで半世紀近く活躍した同氏の言葉を、市場参加者は思い起こす必要があるかもしれない。
世界の株高をリードしてきた米国を代表するハイテク企業「マグニフィセント7」の株価が揺れている。半導体エヌビディアと電気自動車(EV)のテスラはともに先週1週間で14%安となった。
集中相場がはらむ脆弱さが顔を出し始めたか。
元メリルリンチの著名エコノミスト、デビッド・ローゼンバーグ氏は焦点は2つだと話す。
「1つは米連邦準備理事会(FRB)が『より高く、より長い』タカ派の金融政策に戻るリスク、もう一つは(マグ7の)利益が失望を呼ぶリスクだ」
イスラエルによるイランへの攻撃が伝わり、日経平均株価が1000円を超える急落となった19日。欧州金融大手UBSでは東京市場の取引終了後すぐ欧米、新興国を含む世界の拠点をまたいだ議論が交わされた。
核施設を狙う攻撃ではなく互いにエスカレーションの意思はみえない。
しかし事態は不透明だ。全面対立に陥り、これに米国が関与を深めるシナリオが消えたわけではない。
議論の中で確認された一つが、「米金利の変動が高まる可能性」(UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの青木大樹氏)だ。
これまで米国株の楽観ムードを支えた米利下げ観測。それが揺らぐかもしれない。
米消費者物価の高止まりが伝わっている。中東問題で原油高が現実になれば一段と水をさされる。その場合、マグ7のような成長株ほど影響を受けやすい。
中東を巡る金融市場の苦い記憶は原油価格が1バレル140ドル超に跳ね上がった2008年夏だ。当時、イスラエルによるイラン核施設の空爆計画が伝わり緊張が走った。
「今回もし報復の連鎖によってホルムズ海峡封鎖といった事態になれば、原油と金融市場にとって影響は大きい」(SMBC日興証券の末沢豪謙氏)
集中相場のもろさを米国株は過去に経験してきた。1970年代初めの「ニフティ・フィフティ」相場、1990年終盤のテックバブルだ。
未来が変わると新しいテクノロジーに期待して有望銘柄に人気が集中。しかし裏付けを欠く割高な水準に買い上がり、株価はその後厳しい調整を迫られた。
膨らみ過ぎた業績拡大期待が失望に転じたときの影響は大きい。「90年代のテックバブルでは、シスコシステムズの1株利益予想が1セント外れたことで株価が急落した。
当時誰もそんなことが起きると思っていなかった」(ローゼンバーグ氏)。シスコ株はピークの10分の1まで一時落ちた。
気になる動きは起きつつある。18日発表した台湾積体電路製造(TSMC)の1〜3月期決算。決算自体は好調だったが、失望を呼んだのは半導体業界全体の24年の生産予想だ。「10%以上の伸び」を「10%の伸び」に修正した。「以上」の文字が消えたことで、日本を含む半導体関連株に売りの波が広がった。
その意味で今週本格化する米ハイテク決算は世界が注目する。「これまで当たり前だった『上振れ』の材料が出てきにくい」と逆風を口にする市場関係者もいる。
今回のマグ7相場を過去のバブルに比べるとどうか。米ゴールドマン・サックスの3月の分析では、7銘柄の時価総額は市場全体の30%を超えた。20%弱だった過去2回を上回る集中度だ。上場投資信託(ETF)を通じた資金の流入も過去にはなかったことだ。
一方、今の利益予想からみた株価収益率(PER)でいえば、過去ほど極端な割高感になっていないようにはみえる。「強力なバランスシートを持つ」(ゴールドマン)のは90年代末との違いだ。
アクティブ運用に強い米ティー・ロウ・プライスは、同社の運用資産全体でみて昨年10〜12月期はマグ7株保有の一部を落とす結果になった。顧客資金の純流出や株価がそれまで好調だった分、配分を変えたためだ
グローバル運用部門責任者のエリック・ベイエル氏は「市場全体が脆弱だとは思わないが、推進力を持つ企業が減れば市場を不安定にする。
米国のファンダメンタルズは依然強く、バリュー(割安)株の配分を増やすことに関心が高まりつつある」と話す。
テック株の栄枯盛衰はいわば宿命だ。巨利を上げる分野は参入が増えるし、また新たな技術が登場してくる。もちろん10年、20年と長い単位で収益を積み重ねる企業もある。シスコの機器は今も広く使われている。
ただ最も優れてみえる企業の株価が、そのときの投資として優れているわけでは必ずしもないとわかるのは後になってからだ。それが試される関門をこれから迎える。
(編集委員 藤田和明)
日経記事2024.04.21より引用