トランプ前米大統領が主張する免責特権を巡る審理が行われた=25日、米ワシントンDCの連邦最高裁判所
(CNN)
米連邦最高裁判所は25日、トランプ前米大統領が主張する免責特権を巡って審理を行った。
3時間近くに及ぶ口頭弁論の後、複数の判事から審理の結果11月の大統領選前の公判開始が不可能になることも想定されるとの見方が出た。
2020年大統領選の結果転覆を図った罪でトランプ氏を起訴したジャック・スミス特別検察官の弁護士に対し、保守派の判事たちは厳しい質問を投げかけた。そ
の姿勢からは、判事らがトランプ氏の提起した中心的な主題を受け入れている様子が見て取れた。トランプ氏は、少なくとも何らかの形での免責特権がなければ、将来の大統領はいずれ政治的動機に基づく訴追の対象になるだろうと訴えている。
審理の大半で焦点となったのは、トランプ氏の行動を巡り、大統領の職務に準じる公的なものと本人の私的な行為とに区別するべきか否かという問題だった。
ただ裁判の持つ微妙な意味合いと、一連の複雑な仮説の議論とを通じ、トランプ氏の訴追の是非について最高裁が明確な答えを出す公算は一段と小さくなっているように思える。
現状で最高裁は、免責特権に関する仕事の大半を下位の裁判所に任せる可能性が高いようだ。そこでの手続きには数カ月かかり、裁判日程がさらに遅れる恐れがある。当初の公判開始日は3月4日に設定されていた。
口頭弁論でトランプ氏側の弁護士は、同氏への刑事訴追の根拠となる行動の一部について、私的なものだったことを認めた。
具体的にはジョージア州の州務長官に対し、選挙結果を覆せるだけの票を「見つける」よう要請したのは公的な行動ではなかったとした。
一方で共和党全国委員会(RNC)との間で俗に言う「偽の選挙人」について話し合ったことや、アリゾナ州の議員に働きかけて選挙詐欺に関する公聴会を開催したことは、公的な立場での行動だとした。
トランプ氏自身は、依然としてあらゆる行動に対する完全な免責を主張している。
同氏の弁護士が一部の行動について免責特権が適用されないとの考えを認める意向を示したのは、それにより裁判所側の手続きが増えるのを期待しているからかもしれない。
訴追されている行動のうちどれが私的でどれが公的なものなのか判断する作業は、公判に向けた工程を致命的に遅らせる可能性がある。
CNN記事2024.04.26より引用