自衛隊と米軍は指揮統制の連携を向上させる。
【この記事のポイント】
・在日米軍の機能拡大に関する調整を担う
・台湾有事や北朝鮮の動きが念頭
・アジアで共同運用を深める
自衛隊と米軍の指揮統制の連携を強化するため、米国が新たに「統合軍司令部」を発足させることが27日、わかった。
在日米軍の機能拡大に関する調整を担う。日米両政府で作業部会を設けて協力方法を詰めていく。台湾有事や北朝鮮の動きを念頭に、アジアで共同運用を深める。
28日に都内で開く日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)で確認し、共同声明に盛り込む。米統合軍司令部は自衛隊が2024年度末に創設し、陸海空自衛隊の一元運用を担う「統合作戦司令部」のカウンターパートとなる。日米の連携を強化するため日本側が設置を求めていた。
日本には陸海空軍と海兵隊を合わせて5万5千人ほどの米軍がいるものの、東京・横田基地の在日米軍司令部は部隊の運用権限や作戦指揮権を持たない。ハワイのインド太平洋軍の司令部が権限を持つ。
米統合軍司令部の設置はアジア周辺の安保環境の悪化を踏まえたもので、在日米軍の機能強化を担う組織となる。
日米の共同訓練や、有事をにらんだ日米作戦計画の策定などで円滑さが増すと見込む。自衛隊と米軍の指揮権は個別に維持する。
2プラス2ではサイバー防衛に関し、脅威に対処していくための「防御的サイバー作戦」での協力を確認する。サイバー攻撃を予兆の段階で食い止める「能動的サイバー防御」を日本が導入することを受け、日米で重要インフラなどを守る体制を強化する。
防衛装備に関しては無人機を巡る2国間の対応を拡大する。地対空ミサイル「パトリオット」と「F35」戦闘機に搭載する「アムラームミサイル」の共同生産と生産能力拡大を申し合わせる。
日米両政府は28日に、米国の核を含む戦力で日本を守る「拡大抑止」の閣僚会合を初めて開催する。
事務レベルで10年以上積み上げてきた議論をもとに、中国やロシアの核戦力から日本を守る方法を閣僚どうしが議論する。成果文書をまとめ、日米の「同盟調整メカニズム」を通じた連携強化を打ち出す。
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日経記事2024.07.27より引用