決算説明するデンソーの松井靖副社長
デンソーが31日発表した2024年4〜12月期の連結純利益(国際会計基準)は前年同期比78%増の3127億円だった。
主要顧客のトヨタ自動車の生産減少や中国での苦戦は続いているが、前年同期に利益を押し下げた燃料ポンプのリコール(回収・無償修理)関連の品質費用影響がなくなった。合理化などによる採算改善や円安も利益を押し上げた。
売上高は1%減の5兆2884億円、営業利益は68%増の4015億円だった。
顧客の車生産は落ち込むものの、23年4〜12月期に計上した燃料ポンプのリコールによる品質費用影響が一巡したほか対応力強化・合理化も1330億円利益を押し上げた。為替の円安も245億円増益に寄与した。
円安の進行を受け、通期の売上高予想は前期比1%減の7兆900億円と従来予想から700億円上方修正した。
営業利益と純利益はそれぞれ45%増の5500億円、40%増の4370億円の予想を据え置いた。
米国では各国からの輸入に関税を課すと表明するトランプ新政権が誕生し、先行きは不透明感を増している。
同日オンラインで会見した松井靖副社長は「関税が上がればサプライチェーン(供給網)だけで吸収するのではなく、正しく価格転嫁する相談をしていきたい」と話した。
トヨタは25年に1000万台弱の生産を計画している。
国内は340万台と6年ぶりの高水準を見込む。松井副社長は「日本の生産は回復基調にあり、その分のオポチュニティー(機会)はある」との認識を示した。
午前11時20分の決算発表後、デンソーの株価はもみ合いとなったあと小幅に下落した。
10〜12月期の営業利益が1503億円と、市場予想平均のQUICKコンセンサスの1487億円を上回ったものの、利益予想を据え置いたことから積極的な買いが入りづらかったようだ。
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日経記事2025.1.31より引用