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ロスチャイルド財閥ー10 イングランド銀行

2022-09-26 02:32:56 | 国際政治・財閥
 


巨大になったロスチャイルド家は、今度はイングランド銀行に触手を伸ばしました。 

イングランド銀行は、たとえ法令で公的責任を負っていても、民間銀行であり、ロスチャイルド家とは業務が競合していました。

 
1825年、ラテンアメリカで投機バブルが破裂したことを引き金に、ヨーロッパが恐慌に陥ります。イギリスでも多くの銀行が破綻し、各地方銀行の発行銀行券への信頼が損なわれました。

イギリスにおいては、イングランド銀行のほか、多数の地方銀行がそれぞれに銀行券を発行していて、発行限度額なども各銀行の判断に任されていました。

 
イングランド銀行は、「全国における銀行券流通に堅実さと力強さを与える」ため、1826年から1829年にかけて11の支店を設け、「銀行の銀行」として、自らの銀行券のより広範な使用を推進しました。

イングランド銀行と協定を結んだ地方銀行は、各行の銀行券の発行を停止し、金(Gold)準備の必要から解放され、その代わりイングランド銀行券を無利子または3%貸し出しで受領し使用しました。
 

こうして、地方銀行券のシェアは徐々に低下していくことになります。 しかし、イングランド銀行自身も恐慌の煽りで金(Gold)が枯渇していき、苦境に陥りました。

ロスチャイルド家の5兄弟がロンドンに集まり策を練り、ネイサンが中心となって、イングランド銀行の短期ローンを盛んに利用しながら、巧妙にも同行から毎日繰り返し金貨を引き出し追い込んでいきました。
 
 
一方で、彼らは、イングランド銀行がそれまで貸し出していた金(Gold)を回収する形で、フランス銀行等から同行に金(Gold)を補填し、さらに、大量のポンドを供給して準備金を補填し、取り付け騒ぎが起こっていた動向を救済しました。

標的を追い詰め、そして救済の手を差し伸べるというやり方で、ネイサンは支配するのに十分な株式を取得し、同行(イングランド銀行)とその通貨発行権を手に入れました。
 
 
 


 
金本位制を利用した金融経済

イングランド銀行は、ロスチャイルド家が世界戦略を推し進める上で、もっとも役に立つ代理機関あるいはフロント企業の一つとなりました。
 
元々同行は、株主名を公開しないことを宣していました。 議会の直接命令をはじめとする数々の調査が行われて、株主名の公開を迫りましたが、それでも公開されませんでした。

 
同行の総裁や理事たちも、ロスチャイルド家ゆかりの人間で占められていたからで、その支配はさらに増していきます。
 
これ以降、ロスチャイルド家は世界戦略上、イングランド銀行をモデルとして、各国に中央銀行をつくっていきます。 さらに金本位制を、まず大英帝国で、そして他の国々で完成させていきます。
 


金銀貨幣は昔から世界各地で使われており、当時既にイギリスでは金貨が主流となっていました。
これを推し進めて、金(Gold)をコントロールすることによって、「世界」を操ろうとしたのがロスチャイルド家です。
 
金本位制は、金融経済の操作と富の集中の道具となります。 ネイサンは、自分の別荘で催したパーティで、次のように述べています。

 
 
「太陽が沈むことのない帝国を統治する英国の王位に、どのような操り人形がいようと、私は気にかけない。 英国の通貨供給量を管理する者が大英帝国を支配するのである。そして、私は英国の通貨供給を管理している」。
 
イギリス政府も、戦争を含めて国家的な大事業に直ちに資金を用意できるロスチャイルド家に頼らざるを得ません。 


オーストリア、プロシア、ロシアもロスチャイルド家なしにはやっていけず、ロスチャイルド家のヨーロッパにおける政治的な影響力は絶対的なものとなりました。 

1825年、5つのロスチャイルド商会の資産は、1815年時点から10年間で、実に50倍になています。
 
 
 
 
 
東インド会社を通して引き継ぐアジア利権

1832年、ネイサンは、「イギリスは世界の銀行である。 インド、中国、ドイツ、そしてロシアにおける商業取引は、すべてイギリスの仲介によって指揮され、取り仕切られている」と語っています。 

そのイギリスの中枢にあるのが、N・M・ロスチャイルド&サンズだったのです。
 


インドは、イギリスの時刻本位の関税政策のために、伝統的な綿織物産業は壊滅し、逆にイギリスの綿製品の巨大な輸出市場となっていました。 
 
イギリス東インド会社は、1600年設立のイギリスの勅許会社であり、アジア貿易の独占権を認められ、オングランド銀行から融資を受けながら、アジア各地の植民地経営を行っていました。
 
 

最初にアジアに進出してきたヨーロッパ勢は、まずはカトリック王国のポルトガルとスペイン。フィリピンの国名は、 スペインの植民地となった時代にスペイン皇太子だったフェリペ(後の国王フェリペ2世)の名前にちなんで、1542年にラス・フィリピナス諸島と名付けられました。
 
ヨーロッパでは、ドイツを舞台に、カトリック vs プロテスタントの大きな宗教戦争(30年戦争:1618年ー1648年)が起こります。 戦場となってしまったドイツは荒廃し、周辺のヨーロッパ諸国から約200年発展が遅れたとされています。  


 
中世ヨーロッパを500年間支配していたのが、オーストリアのハプスブルグ家ですが、太陽が沈まない国、スペインと我々は教科書で習いますが、当時のスペイン王はハブスブルグ家のカール5世です。
 
少しややこしいので、簡単に説明すると、当時のスペインという国は、アラゴン王国のフェルディナンド2世とカスティリャ王国のイザベル1世が結婚し、国家として合同する事で誕生しました。
 

しかしながら、フェルディナンド2世とイザベル1世の間の子供たちは次々と若死にしてしまい、フアナがただ一人残った王位継承権者となってしまいます。


 
フアナは、ハプスブルク家の一員の下に嫁に行ってカルロスを生んだ訳ですから、スペイン王・カルロス1世(=オーストリア・ハプスブルグ王カール5世)は、ハプスブルク家の一員だったと言えます。

こうしてスペインは、ハプスブルク家の一員を王として頂くことになった訳です。

 

カトリックの盟主である、ハプスブルグの神聖ローマ帝国が広域にヨーロッパ大陸を支配し、今日のオランダという国もその一部でした。
 
ウェストファリア会議は、神聖ローマ皇帝、ドイツの66の諸侯、フランス、スウェーデン、スペイン、オランダなどの代表が参加した、世界で最初の大規模な国際会議で、会議は1645年から実質的な討議に入り、延々と3年を要して、1648年にようやくウェストファリア条約が締結され、三十年戦争を終結させました。



ここで、スペイン領(=神聖ローマ帝国領)だったスペインからオランダという国が独立し、スペインと覇権を争うのです。

ちなみに、日本の豊臣vs徳川は、スペインvsオランダの代理戦争です。関ヶ原の戦い(1600年)の後、両陣営は、大阪冬の陣(1614年)大坂夏の陣(1615年)と2回、戦っています。
 


大阪冬の陣では、スペインからもらった銃で豊臣側が徳川側を蹴散らしますが、大坂夏の陣ではオランダが長距離届く大砲を新しく開発し、それを徳川側は購入し、大阪城を遠距離から攻撃し、豊臣側はなすすべくもなく敗北し、決着しました。

佐渡金山や石見銀山利権を手にし、世界覇権はオランダに移り、オランダ東インド会社がアジアに進出し、台湾やインドネシアを植民地にしました。
 


今でも台湾はオランダのPhilipsと関係が深く、最近話題のTSMCも台湾政府・ITRI(台湾工業技術研究院)の合弁会社で、最先端半導体に不可欠なEUV露光機も、世界シェアを独占しているのがオランダのASML社で、彼らが販売先をコントロールし、台湾TSMCに優先的に出荷しています。 
 
ASMLのEUV露光機も、Philipsとその親戚であるロスチャイルド家が主導するIMECというナノテクノロジー・半導体の研究コンソーシアムの成果です。
 

よく半導体材料はほとんど日系企業が独製造製造装置は ASMLを除き、日本とアメリカがほぼ独占しています。 

ものづくりを得意とする日本がファブビジネスをなぜやらないのか?という疑問を持つ人が多いですがが、ASMLが売ってくれるとは限らないのです。 

欧米、ロスチャイルドは戦略的でキモをちゃんと抑えているのです。
 


フィリップス財閥 (ロスチャイルド家と縁戚関係)
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/c37fe1b33f4e7f76239b0d1d048ebfc1

 

 

そして、オランダ東インド会社の次にでてきたのが、イギリス東インド会社です。 案外知られていませんが、インドネシアは一時、イギリスの植民地であったことがあります。
 
オランダ東インド会社とイギリス東インド会社は激しく戦い、結局、話し合いでインドネシアはオランダの植民地とし、イギリスはシンガポールを植民地とすることで決着するのですが、イギリスは中国と日本を植民地にしようとしていたのです。




実際、その後に起こったのが中国での阿片戦争、阿片戦争で清(中国)から奪えるものはすべて奪った、イギリスの次のターゲットは日本です。
 
当時の世界覇権はロシア帝国vs大英帝国。 この両者がぶつかったのが満州・朝鮮半島・日本です。
 


狡猾な大英帝国は、尊王攘夷と口だけでワーワー騒ぐ長州・薩摩の維新連中を金と女?で篭絡し、いつの間にか、日本は、尊王攘夷を捨て、挙句の果ては尊王攘夷の急先鋒であった孝明天皇を毒殺し、親イギリスと親ヨーロッパと反ロシア。
 
そして日露戦争では、大英帝国の代理人としてロシアと戦わされ、日露戦争での日本人の戦死者は約9万人、大英帝国のイギリス人は一滴も血を流していません。 
 


徳川との内乱(戊辰戦争)で活躍したアームストロング砲は、ロスチャイルドGrの兵器会社アームストロング社製(英国)日露海戦で大活躍した戦艦三笠もロスチャイルドGrの兵器会社ビッカース社製(英国)。 
 
そして、巨額の借金をした日本ですが、これらの借金を完済できたのが、バルブ経済で沸く1980年代後半。 結局は、したたかな大英帝国のために命を落としながら戦い、ロスチャイルドのマネーゲームに利用されました。 
 


今のウクライナと構造は全く同じです。これが明治維新です。 つくづく、彼らの頭の良さ(狡猾さ)には脱帽で、日本人が立ち向かえるレベルではありません。話を戻します。
 
 

イギリス東インド会社は、1773年にインドで阿片の専売権を獲得し、中国への組織的な阿片の売り込みを始めました。
 
インド産の阿片を中国に輸出して銀を吸い上げる麻薬貿易が、茶貿易と並んで、東インド会社のみならず、同社の貿易に深く関与していたシティそしてユダヤの大商人サッスーン家にも莫大な利益をもたらしました。
 


ネイサンの邸宅には、たびたび東インド会社の幹部が訪れ、助言を求めました。 
 
1833年、インドを実質的に植民地支配してきた東インド会社のアジア貿易独占権がイギリス議会で廃され、東インド会社は商業活動を停止しました。
 


東インド会社のほとんどの利権を、補償金を支払って引き継いだのはネイサンとその義兄弟モンテフィオーレで、東インド会社の貿易ルートを主として受け継いだのがロスチャイルド・グループのエリアス・サッスーンでした。
 
サッスーン家については、後ほど詳しく述べる予定です。 そして、1840年の清(中国)との阿片戦争によって、イギリス・インド・中国の阿片や茶の三角貿易体制が完成しました。


 
1830年代、ネイサンは鉱業にも乗り出し、当時、体温計や金(Gold)の精錬に欠かせなかった水銀を独占します。
 
オーストリアの水銀鉱山に加えて、1833年にスペインで起こった王位継承問題に関与し、アルマダ大ス銀鉱山の支配権を獲得しました。

 
 
そして、水銀の価格を2倍、3倍に吊り上げて、巨額の利益を得たのです。
 
 
 
 
 
(関連情報)


・ロスチャイルド財閥ー9 ウィーン体制
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/bdb88089d7be05f04ad603f308e78bfd

・ロスチャイルド財閥-8 N・M・ロスチャイルド&サンズ
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・ロスチャイルド財閥-7 5本の矢
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・ロスチャイルド財閥-6 ベアリング家との戦い
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・ロスチャイルド財閥ー5 皇帝たちの金庫番
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・ロスチャイルド財閥-1 先祖

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・ロスチャイルド財閥-111 国際金融財閥の序列
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