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米、ウクライナに対人地雷供与 政権末期に続く方針転換

2024-11-21 10:45:34 | NATO・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


バイデン氏は慎重だった対人地雷の供与を決断した=ロイター

 

 

【ワシントン=坂口幸裕】

オースティン米国防長官は20日、ロシアの侵略を受けるウクライナへの対人地雷供与を許可したと明らかにした。

米国製の長距離兵器をロシア領内で使用するのを容認したばかりで、政権末期に対ウクライナ戦略での方針転換が相次ぐ。

 

トランプ次期米大統領が意欲を示す早期の停戦交渉を優位に進めるため、攻勢を強めるロシアに対抗できる態勢づくりを急ぐ狙いがある。

これまで慎重だった対人地雷の供与で、ウクライナの自衛力を強化する。

 

ロシアは戦闘の前線に大量の地雷を敷設して要塞化を進め、ウクライナの前進を阻んできた。ウクライナも米国に地雷を供与するようかねて求めてきた。

米国はこれまでウクライナに対戦車地雷を送ったことがあるものの、対人地雷は今回が初になる。

 

米国務省のミラー報道官は20日の記者会見で供与する対人地雷について「電池で稼働し、4時間から最長でも2週間ほどで電池切れになる。

2週間起爆されなければ起動しない」と強調した。紛争が終結した時点で民間人への脅威はなくなると訴えた。

 

オースティン氏は20日、訪問先のラオスで提供する対人地雷について「爆発のタイミングをコントロールでき、ウクライナが独自開発しているものよりはるかに安全だ」と説明した。

地雷を設置する場所を記録すると確認したとも明かした。

 

米紙ワシントン・ポストは、ウクライナ側は人口密集地には配備しないことを確約したと報じた。

米国務省によると、ロシア軍がウクライナに配備した地雷は200万個ほどに達し、今後数十年にわたって残存して民間人にも被害をもたらす可能性がある。

 

製造・使用から輸出入を禁じる「対人地雷禁止条約」(オタワ条約)には4月時点でウクライナを含む164カ国・地域が参加する。

米国は2022年に対人地雷の生産中止を公約したものの加入していない。中国やロシア、インド、北朝鮮なども加わっていない。

 

バイデン政権は対人地雷の譲渡には後ろ向きだった。専門家の間で対人地雷を完全に使用不可にできるかは疑問があり、民間人に被害がおよぶリスクは残るとの懸念があるためだ。民主党のリベラル派から反発が出る可能性もある。

それでもバイデン政権が方針転換したのは、ウクライナ東部で劣勢にある戦況への危機感がある。トランプ新政権下での停戦交渉をにらんで戦局を挽回するには、ロシアの進展を食い止めるのが急務だとの判断も働いたとみられる。

 

残り2カ月となったバイデン政権は、対ウクライナ支援の方針を立て続けに修正した。地雷供与は、ウクライナに米国製の長距離射程兵器を使ったロシア領への攻撃を容認したことに続く措置になる。

使用条件の緩和を受け、ウクライナ軍は19日に長距離地対地ミサイル「ATACMS」でロシア西部ブリャンスク州の軍事施設を攻撃した。

 

ウクライナが発射した8発のミサイルのうち、ロシアが迎撃できたのは2発にとどまり、標的となった兵器庫などが破壊されたもようだ。

米国がこれまで慎重だった長距離兵器の使用を許可した一因に、ロシアがウクライナとの戦線に1万人規模の北朝鮮兵を派遣したことがあった。

 

ウクライナが一部を支配下に置くロシア西部クルスク州に北朝鮮兵を含む5万人規模の兵を集結させ、月内にも領土奪還作戦を始める構えをみせる。

バイデン政権は23年にもそれまでの方針を覆し、殺傷力の高いクラスター(集束)弾の供与に踏み切った。クラスター弾は日欧などがメンバーのオスロ条約で製造・使用が禁止されているものの、紛争の長期化による弾薬不足を踏まえた苦渋の決断だった。

 

 

 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

広瀬陽子のアバター
広瀬陽子
慶応義塾大学総合政策学部 教授
 
ひとこと解説

この地雷供与は20日にバイデン政権が発表した2億7500万ドルの新しい軍事援助パッケージに含まれているものだ。

停戦交渉前にウクライナにより有利な状況を作れるように、また米国が20日には大規模空爆があると予測してキーウの大使館を閉鎖するなど、冬に向けて電力インフラなどを中心としたロシアによる大規模攻撃の予測もある中、残された任期の中でバイデン政権はウクライナへの軍事支援を強化している。

20日には、米国がウクライナの債務の半分(約46億ドル)を帳消しに予定だという発表までしている。

米国の決定には人道支援団体などから批判も多く寄せられる中、一般人への被害を出さずに戦況を改善することが目指される。

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日経記事2024.11.21より引用

 

 


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