Renaissancejapan

哲学と宗教、財閥、国際政治、金融、科学技術、心霊現象など幅広いジャンルについて投稿しています

デュポン財閥-9 『死の商人』デュポン  火薬から原水爆へ

2024-02-04 21:01:00 | 国際政治・財閥


デュポン財閥の創始者 エルテール・イレーネ・デュポン(1771-1834)

 

 

自由主義的政治家にとっては、『デュポン』は、今もなお、古くからの『火薬トラスト』であり、『戦争成金』であり、『死の商人』である。      ニューズウィーク誌、1949年5月2日号



デュポンと女性


「デュポンとその会社を事実上生存させているのは女性です。 デュポンの歴史は火薬からナイロンへ、少なくとも平時においては、この会社は火薬よりも主婦事に依存することの方が多くあります。  プラスチック、ペンキ、マニキュア塗料、香水、織物、染料など、今日のデュポンの活動をの大部分をつくりあげているのは、このようなビジネスです」。

有名なジョン・ガンサーは、その著『アメリカの内幕』の中で、デュポンをこ特徴づけています。

 
アメリカの八大財閥の中でも、最も貴族的なにおいのするデュポン家の人々は、出自はフランスの貴族実はアメリカ人らしく『平民的』であると言われています。

デュポン家の家族の一人、ピエール・デュポンが持っているペンシルベニア州ロングウッドの壮大な大邸宅と庭園は、長い間、一般人の閲覧に開放されていました。


ある日、観覧にきた一人の老婦人が、ちょうど門のところにいた一人の男に、「車椅子を持ってきてください」と命じました。

男が車椅子を持ってくると、彼女は一ドル札を彼のポケットに滑り込ませ、庭園を一周するよういいつけました。 男は命令のまま車椅子を押して老婦人のお供をしました。

この男は、なんとピエール・デュポンその人でした。

 

デラウェア州のウィルミントンと言えば、『デュポンの国土』という異名があるくらいで、ここにはデュポン財閥の本拠があります。

あるとき某会社の位置重役がこのウィルミントン市のデュポンの事務所に招待された時のエピソードがあります。彼はお仕着せの運転手が運転する差し廻しのキャデラックに乗り、ふんぞり返って事務所に向かいました。

途中の交差点で赤信号になり車はストップしました。 その時、車の窓のところに停止した自転車の上の男が「やあ!」と気軽に声を掛けました。 この男が当時のE・I・デュポン・ド・ヌムール会社の社長であるラモット・デュポンであることを後で知ったその重役は、冷や汗をかいたと言います。

私も、約10年前に仕事で、デュポン財閥の八代目当主に当たるベニヤミン・デュポン(通称ベン・デュポン)氏とボストンで一週間罐詰で、当時キャノンの副社長だった生駒俊明氏(元東京大学教授、元日本TIの社長)も含めディスカッションしたことがあります。 初対面でしたが、二人ともまるで友人のごとく気さくに接してくれた記憶があります。本当に偉い人は、意味なく威張ったりしない人なのだと学びました。 そして、私もそうありたいと思いました。

 

こういういくつかの挿話は、デュポン家の一族がきわめて『平民的』『大衆的』だと印象を与えると思います。 

それと同じように、E・I・デュポン・ド・ヌムールが今日生産している1220種類以上の商品は、一見きわめて平和的な物ばかりです。 したがってデュポンは、近代的な科学の成果を人類のために役立たせるように見えます。

デュポンでは年額3000万ドル(最近の数字は知らないので、自分で調べてください)の研究費が惜しげもなく使われ、最初の一ポンドのナイロンが作り出されるまでにデュポンが使った経費は1100万ドルであったとされています。

ナイロンの王座を揺るがした新しい繊維オーロンを世の中に出すまでは2000万ドルの実験費をかけました。

 

ジョン・ガンサーが『アメリカの内幕』の中で、「デュポンは女性の力で生存している」と言ったのも、こういう見方に従うものです。

世界中の女性の脚線美をいやがうえにも美化したナイロンのストッキング、これはデュポンが開発・生産・販売したものです。

赤い爪を輝かしくするエナメルも、香水も、衣服も、プラスチックのハンドバックやベルトもすべてデュポンが作り出しました。

そればかりでありません、ビタミンD剤をつくったのも、ノミヤシラミを退治したDDTもデュポンの商標尾と切り離されては存在しませんでした。

 

ガンサーによれば、デュポン・コンツェルンのうち最大の部門はレーヨン部門(ナイロン、セロファンを含む)であり、これについで第二位を占めるのは有機化学品(染料、合成ゴムを含む)であり、第三位画繊維、織物、第四位が重化学工業製品、第五位ハプラスチック、そして第六位が爆発物です。 だから爆発物はいまもなお、重要な営業品目ですが、昔ほどの重要性はありません。

デュポンのビジネスは、爆発物に依存するより、主婦に依存する方がずっと大きいとするジョン・ガンサーの評価もでてくるのです。

ただ、私の知る限り、デュポン社は売り上げの大きな比率を占める石油化学商品は、傘下の石油会社「コノコ」を売却し、エレクトロにクスに関する材料も半導体と車載用に集中し、会社全体をバイオテクノロジーを使ったf化価値の高い医薬品に力を入れているようなので、上記紹介した伝統歴な商品構成ではなくなっていると思います。

 

確かに、デュポン自身が発表した数字によれば、爆発物の占める比重は小さくなっているかもしれませんが、1920年から1941年にかけて、つまり第一次世界大戦から第二次世界大戦に至る期間のデュポンの軍需用爆発物の販売高は、全販売高の2%しかありませんでした。

第二次大戦中でさえこの比率は25%です。しかし、これは数字のからくりと思われます。 1930年代の半ば頃、アメリカ軍当局は、その必要とする軍需物資の95-97%を民間会社から購入していましたが、その民間会社のなかで一、二位を争っていたのはっデュポン社であったと、H・C・エンゲルブレヒト博士は書いています。

また、軍需工業問題として名高いA・F・ブロックウェイは、デュポンがアメリカ政府に対する火薬および爆発物の供給者として比較するものがなかったこと、デュポンの事業が非常に多方面に分化されるようになったために、1931-1933年には軍需生産物の比率はわずか2%に落ちたことを指摘しています。

 

もし、この指摘が正しいならば、ジョージ・セルデスもいうように、デュポンは「アメリカにおける資本的王朝のうち最大のもの」であり、「『死の商人』の新しいジェネレーション」であると見ることは、それほどこじつけではないでしょう。

火薬に始まり、火薬と共に発展してきたデュポンの伝統は、まだ崩れ去っていないでしょう。 以前読んだ本・論文では、東京大空襲を行ったのは、共和党バックのロックフェラー財閥の兵器会社である『ボーイング社』で、

B-29が積んでいた火薬はデュポン製であったとされていましたし、今日中東でアメリカの戦闘機に搭載している火薬もまず、アメリカのデュポン製でしょう。 ちなみに、『B-29』のBはボーイング社のBですよ。原爆を落としてくれたのボーイング社の戦闘機の機種種名が『エノラゲイ』です。

 

まあ、何事も無邪気に信じないことです。 民生機器のパナソニックやソニもイメージを作るプロパガンダは、洗練され尽くしていますからね。 トレンディという雑誌にソニーの清貧の評価は異常に高いですが、ソニーが書いているのです。だからよく知っている。 威嚇・開発・営業に携わっていない雑誌記者のオッサンが詳しいわけないでしょ。

また、パナソニックも『ヒューマン・エレクトロニクス』といって超柔らかいイメージを宣伝・プロパガンダしていますが、お膝下の大阪大学の学生に何と言われているか? 『半殺しの松下』と昔から言われて恐れられています。 最近は知らんけど。w

 

PS. 会社勤めした人なら知っていますが、新聞発表などは、広報部門が新聞各社にいういつ集まってくれと言って、自分が原案欠いた資料を見せて、新聞に掲載してもらっているのです。 だから新聞各社同じ日にその記事を掲載します。

また昔から、広告費を使う日本一位、二位がトヨタとソニー。 自分で調べてごらんなさい。だから彼らの割る具とはなかなかかけない。 広告産業はトヨタとソニーでもっているのです。

 

 

 

(関連情報)

・デュポン財閥-1  概要
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5226329b578cb7902e701c57de715b54

・デュポン財閥-2 フランス革命とデュポン
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/7211f4344bd946895ce4ad7ebc3960b6

・デュポン財閥-3 大化学会社への成功
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/6f831974d28087140f9c05d7d2cef1ca

・デュポン財閥ー4  火薬トラスト
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/07f92b3459f7715d44c1e0b82d049c4e

・デュポン財閥-5 吊るしあげられたデュポン
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/a7f93c98d714c8a95aa4a0b750c568ac

・デュポン財閥ー6 デュポンはナチスを助けたか
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/95f2faf8b9eef20d697850d4b17e80ce

・デュポン財閥-7  一年一ドルで国家に奉仕
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e0a8b6bfc2a62e31574a9e9d603b6844

・デュポン財閥-8 原子力爆弾そして水爆https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/375baf137700633acd6eb73fb735fb98

・風と共に去りぬ(映画)風と共に去りぬ(映画)と「死の商人」https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/2a19d81e462bc6efd2808d9312146efd

・デュポン財閥ー9 『死の商人』デュポン  火薬から原水爆へhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5f11068293da4d008dcb1e63330b5748

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

哲学・宗教・思想 ここまでの投稿記事一覧
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/7da98797504886d8b9eaa2e5936655e6

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ロスチャイルド財閥 今まで投稿してきた記事リスト (1/4)
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/1f87a836a42cfdcf5bc18c8a5e212fe5

ロスチャイルド財閥 今まで投稿してきた記事リスト (2/4)
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/40a30f12de3651f13810a90405370238

ロスチャイルド財閥 今まで投稿してきた記事リスト (3/4)
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/47e334f8ba710639aefdcc8d7824f9fa

ロスチャイルド財閥 今まで投稿してきた記事リスト (4/4)https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b33a59636d98b97ec0575f2d8a22bd83

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

世界の財閥 ここまでの投稿記事リスト
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/14d30c37bfae00d834c78d49da070029

日本の財閥 ここまでの投稿記事リスト 
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/6958fc72746302160416dd6dad039f68

ゴールドマン・サックス ここまでの投稿記事リスト
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/0b4c5b8ba383a38e0af1df7b1a477ea3

Black Rock ここまでの投稿記事リスト
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/93ef8de49c1ff9039ce7446f1f3fb0e8

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・フリーメーソン・イルミナティ・秘密結社 ここまでのまとめ
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/d52e37f7e9a7af44f93554ed333744b3
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

・ロスチャイルド財閥-111 国際金融財閥の序列
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/af41696ec05203f68b46d63b897e9b3d

・ロスチャイルド財閥-215 ロスチャイルド当主 ANAホテル(赤坂)プライベート会合https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/15e42c79348485224e0b9ae63ca899e4

・ロスチャイルド財閥ー224 Black Rock と親会社 Black Stone、そしてワシントンコンセンサス
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/9e5f232ed05a223f6fabc318428554b7

・Bloomberg ブラックロックCEO、現代金融理論を支持せず-「くず」と一蹴https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f8723862229429fc9507648b3cfd56e2

・アホの一つ覚えのMMT信者https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/edfec0faeef39871e87a42779cd369b4

 

・『死の商人』デュポン財閥 今まで投稿してきた記事リストhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5aed80e18c285ccaa9f5fb87e06a08ad

・日本の『死の商人』 今まで投稿してきた記事リストhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/878b15c4eaa371f00e54ec6f1fd489aa

・シャープの歴史と物語
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/1f62e622090b68cdccbc94c432d5b8c3

・ト-マス・グラバー ここまでの投稿記事一覧
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/659dadfd8abcded85689534cb5c627a6

 

 

★Renaissancejapanの自己紹介 記事一覧
https://blog.goo.ne.jp/admin/entries?ymd=&category_id=863afcc284ad7e9435b8d005d847a1ec#block1

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。