火力発電所から出るCO2を減らす技術の実用化が世界的に進んでいる=ロイター
日米の企業や研究機関は火力発電所から出る二酸化炭素(CO2)を地下貯留する新技術を共同開発する。
日本のJX石油開発、カーボンフロンティア機構(東京・港)、米国のワイオミング大学が月内に実証実験の連携に関する覚書を交わす。
海底などにある玄武岩にできた隙間にCO2を注入し、化学反応で鉱物に変化させて固定する技術の実用化をめざす。玄武岩はマグマが固まってできた火成岩の一種で、日本を含め世界に広く分布している。
地球環境産業技術研究機構の推計によると、日本近辺の玄武岩の周辺にCO2を貯留できる潜在量は少なくとも14億7000万トンある。日本の森林の吸収量の30年分に相当するCO2の貯留規模が見込まれる。
新技術はアイスランドで実用化が始まっており、欧米が先行している。
ワイオミング大は米オレゴン州で新技術の実証試験を進めており、米国での適地調査をはじめとした幅広い分野で連携する。将来は日本での適地選定につなげる。
2050年の脱炭素社会の実現に向けては、再生可能エネルギーや原発といった電源を増やしながら火力発電の温暖化ガス排出を減らす取り組みが欠かせない。
CO2を地下に貯留する技術を巡っては、日本では経済産業省が枯渇したガス田などにCO2を注入する技術の支援を進めており、30年までの事業開始をめざす。今回の新技術にはガス田跡地に比べて日本周辺で適地をみつけやすいとの期待がある。
国際組織「グローバルCCSインスティテュート」によると、世界では計画中の案件を含めて392件のCO2貯留のプロジェクトが立ち上がり、米欧が先行している。
日本で実用化が遅れてCO2貯留の海外依存が進むと、高いコストがかかる恐れがある。
日経記事2024.10.12より引用