日本マクドナルドは「ビッグマック」の新CMに日本コカ・コーラ伝説のCM「I feel Coke」の楽曲を使っている
日本マクドナルドが流している主力商品「ビッグマック」のCMが話題だ。
日本コカ・コーラが1980年代後半に放映し「伝説のCM」と呼ばれた「I feel Coke」の楽曲をバックにビッグマックをほお張る人々が描かれ、同時代に青春を謳歌した世代の郷愁を誘っている。昭和の名CMの力を借りてビッグマックを令和の若者にも刺さらせる狙いがありそうだ。
「さわやかテイスティ〜、I feel Coke〜♪」。7月上旬からTVなどでスタートしたマクドナルドのCMメロディーを聞いて目頭を熱くした諸兄諸姉が多いにちがいない。
コーラCM以外の活用は初
この曲は作曲家の井上大輔氏が作曲し、歌手佐藤竹善氏らの歌唱で87年から3年間「コカ・コーラ」のCM楽曲として使われたもの。
マクドナルドによるオマージュだ。同楽曲がコカ・コーラ商品以外のCMに使用されるのは初めてという。
「乃木坂46」の五百城茉央さんらを起用し若い世代にも訴求する
スーツの3人組の女性が闊歩(かっぽ)する後ろ姿など、随所に87年のコーラのCMを想起させる描写が登場する。
アイドルグループ「乃木坂46」の五百城茉央さんなど、若手のタレントを起用することで「懐かしさがある中にも新鮮さを感じる内容」(日本マクドナルド)にした。SNS上では「オトナ」からの当時を懐かしむ声のほか、若年層からも「当時は知らないが、どこか郷愁を感じる」といった声が出ている。
ビッグマックとコーラ、半世紀超えの最強コンビ
CMではサプライヤーとの関係を重視する姿勢を示していることも見逃せない。世界的な気候変動や地政学リスクを背景に安定的なサプライチェーン(供給網)構築のためにはサプライヤーの重みが一段と増しているからだ。
日本マクドナルドは「ビッグマックとコカ・コーラは50年以上続く最強のコンビ。組み合わせを象徴する『I feel Coke』の楽曲を使用した」と説明する。2023年、ビッグマックと合わせる飲料で最も多く飲まれたのがコーラだったという。
日本マクドナルドと日本コカ・コーラは新CM放映に合わせて共同の販促キャンペーンを始めた
マクドナルドとコカ・コーラは互いに「パーフェクトパートナー」と呼ぶ時期があったほど関係が深い。マーケティングなどで世界的に連携を密にしている。
マクドナルドの店舗でのコカ・コーラのロゴが入った「コークグラス」を配る共同販促を04年から10年以上にわたって世界70か国以上で展開した。商品購入でお互いの割引クーポンなどがもらえる企画も定期的に実施する。
コカ・コーラ側もブランドや新商品訴求の場所として世界的な外食チェーンであるマクドナルドを重視しており、09年、注力商品の「コカ・コーラゼロ」をマクドナルド全店に導入した。
サプライヤーも成長の基軸
マクドナルドには米国での創業時から「3本脚の椅子」という考え方が根付く。サプライヤーは、フランチャイズチェーン(FC)加盟店、日本マクドナルド(運営会社)と並んで成長の基軸との位置付けだ。
有力サプライヤーとしてはコカ・コーラのほか、牛肉のパティを供給するスターゼンやバンズ(パン)を担当するフジパン(名古屋市)などもある。両社とも半世紀にも及ぶ取引関係を築いてきた。
マクドナルドはサプライヤーが一つでも欠けると成り立たない(主力メニューの「ビッグマックセット」)
マクドナルドは国内外でシステム障害が立て続けに起こった。6日発表した7月の既存店売上高は前年同月比1.6%減と49カ月ぶりに前年割れとなり、利用者にはもちろんサプライヤーにも少なからず影響が及んだ。
新CMは7月上旬からなので直近のシステム障害発生の前。まさかその後の〝しくじり〟を予想したわけではなかろう。だが、サプライヤーとの絆の深さが読み取れるCMに「彼らへのメッセージも仕込まれているのでは?」などとビッグな深読みをしたくなる。CMが幕を閉じる前に「I feel〜♪」とばかりにもう一回じっくり見てみよう。
(佐藤優衣)
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日経記事2024.08.12より引用
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マクドナルドとコカ・コーラは、同じロスチャイルドGr