晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

東川篤哉『探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛をこめて』

2023-06-05 | 日本人作家 は

当ブログの自己紹介にもありますがただ今大学生(通信制)でして、3年前の秋入学ですのでまだ3年生なのですがスケジュールは春入学に合わせなければならず、つまり履修期間は4月〜2月(初年度のみ10月〜)で、進級を希望する人は学年末の2月に次年度の履修科目の登録をする、ということになります。よって、今はまだ3年生なのに4年生の科目を受けているというメンドクサイ状態ではあるのですが、面白いのが、このままちゃんと卒業要件である単位を取得すれば来年の秋(9月)には卒業できますが、その翌年の3月に卒業つまり半年の履修期間延長ができるのです。もちろんその期間の学費は無料。どうせタダなら半年間大学生を満喫しましょうかね、といってもキャンパスライフはほぼ無縁ですが。

はじめてあの娘に出会った朝は 僕は二十歳でまだキャンパスも春。

 

さて、東川篤哉さん。

スーパーに勤めていて発注ミスでクビになった橘良太は地元の神奈川県川崎市の南武線沿いに戻って「なんでも屋」をはじめます。ある日、以来の電話が。今度の土曜日の夜、3時間ほど力を貸してほしいというのです。なんとその報酬3万円、つまり時給1万。いちおう「犯罪以外は何でも受ける」と宣伝はしていますが、大丈夫なのか。最寄りの武蔵新城駅から南武線に乗って武蔵溝ノ口へ。今回の依頼人である篠宮龍也から聞いた住所に着くと豪邸が。龍也の父の篠宮栄作は有名な画家で、龍也も画家。で、その依頼とは、ヌードのデッサン。終わりかけた頃に突然女性の悲鳴が。地下の栄作のアトリエに入ると、頭から血を流して倒れている栄作が。この事件に関わった良太ですが、別件の依頼でまた溝ノ口へ。そこで出会った名探偵夫婦の娘、綾羅木有紗という10歳の女の子の子守りをすることに。ところが有紗は近所で起こった有名画家の殺害事件の関係者の中に良太がいた事を調べていて、事件現場に連れて行ってほしいと・・・という「名探偵、溝ノ口に現る」。

次の依頼はまたしても綾羅木家からで、今度は有紗に武蔵溝ノ口から分倍河原まで電車で行って分倍河原駅の近くの喫茶店で有紗の父親の知り合いに原稿を渡してきてほしい、良太はその「見守り」をする、というもの。喫茶店にすでにいた中崎という男に原稿を渡したのですが、その帰り、ベンチで女の人が死んでいるという噂を聞き、その後警察が有紗のもとにやって来て詳しく話を聞きたいというのです。じつはそのベンチで死んでいた女性というのは中崎の浮気相手で・・・という「名探偵、南武線に迷う」。

ある日「なんでも屋タチバナ」に女性の依頼人が。内容は浮気調査で、依頼人の夫はパチンコ屋やゲームセンターを運営してる会社の社長で、妻が出かけている間に浮気相手を家に連れ込むかもしれないのでその証拠を掴んでほしい、というのです。そして、依頼人の母の友人という設定で良太と有紗が家に泊まることになったのですが、翌朝、夫が起きてこないので部屋に入ると頭から血を流して・・・という「名探偵、お屋敷で張り込む」。

今度の依頼は、地元商店街の草野球チームのメンバーが足りないから出てくれ、というもの。良太が助っ人に入ったチームは惜しくも負けますが、なんと今度はその試合の対戦相手から助っ人として呼ばれることに。試合開始のだいぶ前にグラウンドに着いてしまった良太は、マウンド付近で人が倒れていることに気付きます。近寄ってみるとその人物は今日の良太が入るチームの監督だったのです・・・という「名探偵、球場で足跡を残す」。

東川篤哉さんの作品は基本オフザケ満載なのですが、ミステリやアクション、サスペンスが好きな人が思わず「ニヤリ」とするネタを盛り込んで来るのでその部分が楽しみでもあります。まずタイトルがそうですね。あと有紗の親が依頼があって出かける事件の内容が「アレじゃねーか」と思わずツッコミたくなります。

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ロザムンド・ピルチャー 『夏の終わりに』

2023-05-14 | 海外作家 ハ

今年の、公共放送では大型連休と呼んでいるでお馴染みゴールデンウィークですが、夜勤が1日おきに入ってましてゴールデンウィーク期間中はずっと仕事でした。もっとも土日も祝日も盆も正月も関係ないような職種ですから世間の休みと自分の休みが重なると出かけたくなくなるといいますか。平日のほうが空いてますし。

ワーカホリックではありません。

さて、ロザムンド・ピルチャー。スコットランドの女性作家。だいぶ前ですが「9月に」という作品を読みまして、作者の名前も作品もしらずに買って読んだらこれがまた面白かったのです。「面白い」というのはハラハラドキドキのスリルとかジェットコースターのようなスピード感とかではありません。そういうのは全くありません。ごく普通の登場人物でごく普通の話が淡々と述べられていく、ぶっちゃけ地味な内容なのですが、なぜか物語に引き込まれてしまい、読後にはとても良い本を読んだと心がほんのりあったかくなるような気分になります。

アメリカ西海岸カリフォルニアの観光客はまず来ない場所にある家に住んでいる娘ジェインと父のふたり暮らし。飼い犬もいます。ジェインの父は映画やドラマの脚本家で、もともとはスコットランドに住んでいたのですが、ジェインの母親の死後にアメリカに移り住んではや7年。ある日のこと、父は出かけていてジェインが家にひとりでいると一台の車が家の前に停まり、男が父に用があって来たと告げ、玄関越しにジェインの声を聞くと「ジェインだね?」と言います。

男はデイビッドといいスコットランドに住むジェインの祖母の弁護士。アメリカまで来た理由は祖母が何度も手紙を出しても返事が来なかったからで、ジェインはそのことを知りません。手紙の内容はジェインにスコットランドに帰ってきてほしいということなのですが、じつは父娘がアメリカに来る前、父と祖母が言い争っていたことがあったので、父がそれを読んで娘を帰らせたくなかったので隠してたのか。

もっとも、父と飼い犬を残して帰ることは難しく、スコットランドには帰らないと言いますが「火曜までいるので気が変わったら連絡をくれ」といって帰ります。父の机を開けるとそこには祖母からの手紙が。するとジェインの脳裏に懐かしいスコットランドの情景が思い浮かんできます。翌日、父が恋人のリンダといっしょに帰ってきます。なんとこれからいっしょに暮らすというのです。

ジェインはスコットランドに帰ると決心し父に告げ、弁護士が来て手紙の件も知ってしまったことを言うと「とめないよ」と許してくれます。そして、デイビッドといっしょにイギリス行きの飛行機に乗ります。ロンドンから寝台列車でエディンバラを過ぎてスロンボという駅に着きます。そこから車でしばらく行くとエルヴィー湖があり、ほんの半マイル先にエルヴィー荘が。到着すると中から祖母が出てきて7年ぶりの再会。

デイビッドが帰り、家に入ると祖母が「驚かせたいことがある」といってジェインが振り向くと「お帰り、ジェイン」と、ロンドンに住んでいるはずのいとこのシンクレアが立っています。休暇を取って戻ってきて、ジェインはシンクレアと懐かしい人に会ったり懐かしい場所へ行ったりします。

ふたりでピクニックに出かけると、いきなりシンクレアが「結婚しよう」とジェインにプロポーズを・・・

ジェインがまだ小さかった頃、密かにシンクレアに恋心を抱いていたことはあったのですが、ジェインはオーケーするのか。そして、知ってしまった家族に関する秘密とは。

 

こういう感想だとロマンスぽい内容のようですが、ロマンチックな結末ではありません。冒頭、カリフォルニアから始まったのでびっくりしましたが、その後のメインストーリーはスコットランドになったので安心。そしてスコットランドの情景描写はとても美しく、行ったことがなくてもなんだか懐かしい気持ちになってしまいました。「蛍の光」や「故郷の空(誰かさんと誰かさんが麦畑)」、「スコットランド・ザ・ブレイブ」といったスコットランド民謡やバグパイプの演奏を聞くとなぜか懐かしさがこみ上げてきます。音楽の専門的な話になりますが日本の歌とスコットランド民謡の共通点として「ヨナ抜き音階」というのがあって、ドレミファソラシドを数字にして4と7つまりファとシが無い、ドレミソラドの5音で構成されているメロディーが多いのです。ちなみに沖縄音楽は2と6(レとラ)抜きの「ニロ抜き音階」といいます。じっさいに弾いてみたらわかります。

 

 

 

 

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井上ひさし 『おれたちと大砲』

2023-04-27 | 日本人作家 あ

週に2日か3日くらいですがウォーキングをしてまして、その距離だいたい7〜8kmほど。それくらい歩いてますとシューズのすり減りもたぶん早くて、そろそろ新しいのを買わないといけないのですが今までスニーカーというかランニングシューズを買っていたのですがやはりウォーキングシューズを買ったほうがいいんでしょうかね。

ウォーキングバイマイセルフ。

さて、井上ひさしさん。

江戸、深川の料亭で下働きをしている土田衛生(もりお)。名字があるということは微禄とはいえ一応は御家人つまり直参の武士。この衛生、ある特殊な「芸」があります。それは「尿筒(しとづつ)」というもので、もとは将軍の用足しの際の御用を務めます。将軍様に御尿意をお催しの気配ありと察すれば尿筒を御装束を着たまま御裾から差し入れて御立小便をなさっていただく、という代々の御役が土田家なのですが、衛生は末端のそのまた末端で、生きているうちに将軍様の御用を務めるのは難しいので尿筒の修行と金稼ぎで料亭で働いているのです。

幕末に幕府が設置した武芸訓練機関「講武所」が「陸軍所」と名前を変え、その中に特別幹部養成所というのができ、そこを卒業すれば将軍様の身辺警護の御番人になれるという情報を聞き、衛生は試験を受けることに。そんなこんなで料亭に着くとたいした芸当の新入りがいるというのです。見てみると客の履物をシャッシャと投げて玄関先に立っている客の前にピタリと着地します。この男の顔を見た衛生はあっと思い話しかけると「隊長!隊長の衛生さんじゃないですか!」と気付きます。この男、鶴巻重太もじつは御家人で、将軍様の草履持。しかしお目見得以下でお近づきになることはできないので遠方から将軍様の御足許にピタリと揃うように草履を投げるという御役。衛生と重太は子どもの頃に「黒手組」という貧乏御家人の悪ガキ集団を組んでいて、それ以来の再会。そこで陸軍所の話をしていっしょに将軍様の御役に立とうと誘います。

陸軍所には武芸の試験があるので適当な道場に入門した衛生と重太。ある日のこと、稽古帰りに湯屋に寄ると髪床師に出会います。その床師は衛生と顔を合わせると「土田の衛生ちゃん・・・?」というので「甚吉!北小路の甚吉だろう!」。甚吉も黒手組で、将軍様の月代を剃る髪結之職という御役。そんなこんなで甚吉も陸軍所の試験を受けるために道場に入門します。

ある夜、道場に泥棒が侵入します。3人が泥棒を捕まえて顔を見ると泥棒のほうが先に「あッ、衛生ちゃんに甚吉ちゃんに重太だ」というではありませんか。黒手組の一力茂松は西丸駕籠之者、つまり将軍様の御駕籠を担ぐ御役なのですが背が低く失格となり落ちぶれて泥棒に。

この元・黒手組の4人が揃って陸軍所の試験を受けますが全員不合格。道場の師匠から木製の大砲と金をもらって横浜へ向かいます。なぜ横浜かというと、薩摩の船が停泊してるだろうということで、どこかで大砲の弾丸を手に入れて薩摩船に一発ドカンと当ててやろうと計画します。

甚吉は髪結いの仕事、茂松は力仕事を見つけ、衛生と重太は「花火師見習募集」という求人を見つけて花火屋へ行きますが今は打ち上げ花火の玉は作っておらず線香花火を細々と作っているだけ。しかし火薬の勉強ということでふたりは線香花火を作ることに。線香花火の合間に一貫目ほどの砲丸も作り、いよいよ薩摩船に打ち込んでやろうと小舟で近づいて点火しますがなぜか真上に発射してしまい上空で花火が見事に咲きます。これには薩摩の船上の人が拍手するわ波打ち際にいた英吉利人は金をくれるわ、挙げ句、衛生は波飛沫を被って風邪を引きます。次の作戦は、三寸玉の手投げ弾が8個ほどあるので薩摩船に投げ入れて船に火を放ってやろうとします。夜に壮行の宴を開こうと横浜の遊郭に4人が集合、それぞれ相方を決めて部屋へ。ところが衛生が相方の部屋に入ると若い衆が入ってきて相方さんは黴毒だというではありませんか。しかし衛生は覚悟を決めてるので帰ろうとしません。そこに代診の先生が来て「衛生くんは相変わらずだな。病気になったら本所のお母さんが嘆くよ」というではありませんか。「おまえ、時次郎だな、丸本の時ちゃんだろ?」時次郎の家は代々将軍様の馬方でしたが時次郎の代で御家人株を売って英語と医学の勉強のために横浜に住んでいます。

黒手組の5人が揃って、将軍の慶喜様をお守りするために何をするのか・・・

直参の中でも末端の御家人の、それも御役にありつけない若者が将軍様をお守りしなければということで無謀にも薩長に戦いを挑もうとするあたり、滑稽でもあり哀しくもあります。時次郎が異人言葉で詩を作るのですがその詩が「タウンライツ アー ベリ ビューティフル ヨコハマ ブルーライト ヨコハマ ユー アンド アイ ボース アー ベリ ハッピー」というもので、はじめは普通に読んでたのですが途中で意味が分かって声を出して笑ってしまいました。そして、物語の後半、とある「やんごとなきお方」が読まれた歌が「ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく鮓(すし)をくうらん」「うれしさに席を立ちいでて眺むればいずこも同じ志士の顔立ち」で、なんといいますか、イギリスの作家が有名な詩や戯曲をジョークに使ったりしますが、あんな感じで、「教養あるオフザケ感」がいいですね。

 

 

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ネルソン・デミル 『アップ・カントリー 兵士の帰還』

2023-04-12 | 海外作家 タ

先月は1冊しか投稿できませんでした。

 

さて、ネルソン・デミル。まだ2作品しか読んでませんが好きな作家です。

アメリカ陸軍犯罪捜査部を辞めたポール・ブレナーに、ポールの元上司のカール・ヘルマン大佐からメールの着信が。「明日16時、ザ・ウォールにて K」という文面のみ。ザ・ウォールというのはワシントンDCにあるヴェトナム戦没者記念碑のことで、なぜそんなところで会いたがってるのか全く検討がつきません。そこで、ポールの恋人で現在も犯罪捜査部の職員であるシンシアに連絡してみることに。するとこの件に関しては知らない様子。

指定された時間にザ・ウォールに行くと、カールがやって来て「この壁には戦死ではなく他人に殺害された者の名前がある」と告げられます。1968年にヴェトナムのクァンチ市で中尉が大尉に殺害されたという情報が犯罪捜査部に届いたというのです。その証人は当時の北ヴェトナム軍兵士で、負傷して廃墟に隠れていたときにふたりのアメリカ兵が廃墟に入ってきて激しく口論し、大尉が銃で中尉を撃った一部始終を目撃していたのです。彼らの階級は軍服の肩章でわかります。そしてこの目撃情報の手紙を同じく兵士の兄に出したのですがその兄は死亡、その手紙をあるアメリカ軍兵士が見つけて持ち帰ってトランクにしまいっぱなしにして、30年近く経って退役軍人会に送ったそうで、それを英語に翻訳したら、これは殺人事件の目撃情報だということになって犯罪捜査部に話が来たということ。

現時点で、クァンチ市にその日にいた第一騎兵師団所属の大尉と中尉をある程度までは絞り出していますが確定できておらず、ポールにヴェトナムに行ってもらい、その証人がまだ生きていたら探し出して写真を見せて確証を持って帰ってきてほしい、もしすでに亡くなっていたとしても、生家に行けば証人が中尉の遺体から盗んだとされる物を持ち帰ってきてほしい、とお願いします。

ポールは心のどこかでヴェトナムに行った「過去」と心の中で折り合いをつけなければならないと思っていて、ヴェトナムに行くことに。

手紙に書いてあった「タムキ」という村は地図には存在しません。

ポールはサイゴン(ホーチミン)に着き、アメリカからのメッセージを待っていると、アメリカ人女性が声をかけてきます。スーザンという女性はこのミッションにどうやら関係がなさそうなのですが・・・

はたしてポールは証人に合うことができるのか。

文庫の上下巻で約1600ページにおよぶ長編でして、ミステリーであり、サスペンスでもあり、アクションエンタテインメントでもあり、ロマンスもあり、またロードムービー的でもあり、読んでてものすごく疲れましたが、シリアスな内容の中にユーモアのエッセンスが散りばめられていてどうにかこうにか途中で諦めずに読み切ることができました。

若いスーザンにとっては「私にとってヴェトナムとは戦争ではなく単なる国名であり地名」と言いますが、ポールにしてみればそのような単純に割り切れるものではありません。あのヴェトナム戦争とはアメリカにとって、そしてポールにとってなんだったのか。

ポール・ブレナーが主人公の作品はこれが2作目で、この前に「将軍の娘」という作品があるのですが、読んでみたいのとどうしようかなという気持ちが半々。

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海でコーヒーが飲みたくて

2023-04-10 | 自転車

本日は晴天なり。トゥデイイズファイン。というわけで自転車で海まで行ってランチしましょう。しかも今回はコーヒー豆を挽く手動のコーヒーミルとコーヒー豆とお湯とドリップ用の器具を持って、海に着いたら挽きたての豆でドリップコーヒーをやろうというわけ。

いつもの川沿いの道。風もなくおだやか。

家を出て45分くらいで海にとうちゃこ。ハワイ気取りでヤシの木。いちおうベンチはあったのですが海からの強い風が直撃してドリップコーヒーのペーパーが飛ばされちゃうので他のところを探します。海沿いをしばらく走っていたらちょうどいい場所を発見。海風も防げます。

家で作ったコロッケパン。あとはドリップコーヒーをセッティング。

豆を挽いてフィルターに粉を入れてお湯を注いで淹れたてのコーヒーをいただきます。うまい。

しばらくコーヒーを飲みながら海を眺めてボーッとしました。

高台があったので登ったらナイスビュー。

Googleマップによると家から最初のヤシの木の海岸、そしてランチの海岸まで片道20.2キロ。往復40キロですか。

ある人に休みの日にサンドイッチかなにか作って飲み物も持って海まで自転車で行って海を見ながら波の音聞きながらお昼食べるといったら、ステキなことやってるのねと言われ、じつはとってもいい環境にいるんだなと実感。あと、こういうことができることに感謝しないとですね。

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井上ひさし 『東慶寺花だより』

2023-03-12 | 日本人作家 あ

今年の桜の開花予想が関東では三月の半ばぐらいだとか。もう入学式シーズンで桜というセットはもっと北へ行かないと無理なんですかね。ようやく寒さが収まってきたと思ったら次は花粉症。今年は目のほうは今のところ大丈夫なのですが、鼻の方はマスクをしててもダメですねえ。

春なのに ためいきまたひとつ。

 

さて、井上ひさしさん。「手鎖心中」を読んですっかりハマってしまいました。

滑稽本を一冊出したことのある戯作者の信次郎は、新作の原稿を書くために鎌倉の東慶寺の御用宿「柏屋」に逗留しますが、なかなか書けません。この東慶寺とは「縁切り寺、駆け込み寺」として有名で、現代で言うところの家庭裁判所。当時は離縁はそう簡単にはできず、ましてや離縁なんてバツイチなどといった気軽さではなくもっと深刻で重大で、特に男性は妻から離縁したいと申し出されても承知しないケースが多く、女性側の保護そして離婚調停としてこの東慶寺は機能していました。ここでは本人が敷地内に入るか身に付けているもの(簪など)を敷地内に投げ込めばたとえ追手がいてもそれ以上手出しはできず、寺の中で二年間過ごした後に正式に離縁が成立します。で、調停があるのですが、その人たちの宿泊場所が東慶寺の御用宿で、柏屋、松本屋、仙台屋の三軒。夫側と妻側は別々の宿に泊まらなければなりません。

柏屋には主の源兵衛、おかみさん、娘のお美代、番頭の利平、飯炊きのお勝といった人たちがいて、さまざまな事情を抱えた女性たちが東慶寺にやって来ます。信次郎は若かりし頃に江戸で医者の付き人をしていたことがあります。

砂糖の商人の夫にはなんの不満もないけど離縁したがって・・・という「梅の章 おせん」。

寺内で病人が出たので、東慶寺御用医の代理で信次郎が診察に・・・という「桜の章 おぎん」。

製鉄の職人の妻が東慶寺の畑作業中に地元の漁師に見初められ・・・という「花菖蒲の章 おきん」。

東慶寺に駆け込んだのはじつは替え玉なのでは・・・という「岩莨の章 おみつ」。

女房と離縁したいと駆け込んできたのですが男子禁制で・・・という「花槐の章 惣右衛門」。

信次郎の幼なじみの女房が東慶寺に向かうと家出をし・・・という「柳の章 おせつ」。

妻の実家に金を都合してもらうかわるに離縁したいといっても夫は承知せず・・・という「蛍袋の章 おけい」。

あまりにドケチな姑が嫌になって・・・という「鬼五加の章 おこう」。

親孝行で話題の夫に嫌気ださして東慶寺へ・・・という「白萩の章 おはま」。

江ノ島で芝居の興行をやっている一座の看板役者が柏屋に・・・という「竹の章 菊次」。

去年、二年間のお勤めを終えたのに、また駆け込みにやって来て・・・という「石蕗の章 おゆう」。

柏屋の客の米屋の夫婦と夫の仲間の二人。ところが妻は離縁状を・・・という「落葉の章 珠江」

急病人の診察をした信次郎。しかし男子禁制の寺内にいるのに子を宿して・・・という「黄檗の章 おゆき」。

寿司職人の女房がなぜかその夫から東慶寺に行って二年間入ってきなさいと・・・という「蓼の章 おそめ」。

剣術道場の娘が道場破りをして勝手に父の道場を継いだ男に勝手に結婚させられて・・・という「藪椿の章 おゆう」

 

ホロリときてしまう人情話あり、笑ってしまう話もあり、まるで名人の小咄を聴いているよう。この時代の演芸に関わってる人の素養として落語や浪曲、講談などはあったはずですからそういう印象を持ちますよね。青島幸男さんの書く小説もそうですし。

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沼ってきました

2023-03-04 | 自転車

自転車は真夏は暑いので乗りたくない真冬は寒いので乗りたくない夜は危ないので乗らない雨の日も濡れたくないので乗らないと、あくまで苦行ではなく趣味で楽しみたいだけでして、そんなこんなで自転車を車載して行ってきました印旛沼。

 

印旛沼の外周にサイクリングコースがあって、一周15キロだそうです。

オランダ風車があります。この写真だけ見たらオランダ?となりますが、千葉です。佐倉です。4月にチューリップ祭りがありますね。

サイクリングロード。ずっとなだらか。気持ちいいですね。途中にあった「かっぱ公園」。かっぱには遭遇しませんでした。そして沼の写真。

  

帰りに近くのスーパー銭湯みたいなところに寄ってきました。あー気持ちよかった。

レンタルサイクルもありましたし、ロードバイクでガッツリ本格的な方もいましたし、水鳥の写真を撮ってた方や犬の散歩してた方もいたりして、とても良いサイクリングコースでした。今度はお弁当持ってこうかな。

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On the Shore of the Wide World(この広い世界の浜辺で)

2023-02-26 | 自転車

しばらく自転車の投稿はお休みしてました。寒い中に凍えながら乗るほど酔狂ってわけでもありませんし、ですがさすがに2月も終わりになってきますと日中はポカポカしてきまして、夜勤明けではありましたが見事なピーカン晴れだったので、普段は夜勤明けだと家に帰って朝食のあとちょっと仮眠するのですが、食べ物を持ってサイクリング、海まで行ってブランチといきましょう。

いつものサイクリングコース。海に近づいてきてあと1キロくらいになってくると潮の香りがしてきます。

海まであと500メートルくらいのところの川沿いに河津桜?キレイですね。

そんなこんなで海!風が冷たかったのですがサーファーがけっこういました。

とりあえず座って、ハムとチーズとレタスとブロッコリースプラウトのサンドイッチとバナナ、ボトルにはミルクティー。ぼーっと海を眺めながらいただきます。波の音をBGMに寝っ転がってぼーっと空を眺めました。

家から海まで10キロ弱で海岸沿いの道をプラプラと移動したので往復25キロくらいですか。行きはスムーズだったのですが、帰りは超絶向かい風。途中何度かくじけそうになりましたが無事生還。今度はもうちょっと暖かくなって風も弱い日にまた行こうかな。

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池波正太郎 『侠客』

2023-02-25 | 日本人作家 あ

「これから〇〇を始めようと思います」という宣言を周囲の友人になりネットになり公表すると「言った手前やるしかなくなる」といった感じで自分を追い込むのもそれはそれでいいのですが、やはり一番かっこいいのは「不言実行」。もちろん「いついつまでに目標達成する!」といってその途中経過をブログやSNSで報告していくのは楽しいですけどね。と書き込んでいる最中にそういえば10年ほど前に「20キロ減量!」とSNSに投稿してたことを思い出しました。ちなみに現在の体重はそれからさらに10キロ減ってます。

 

年齢いくと痩せたら心配されますよね。

 

さて、池波正太郎さん。主人公は幡随院長兵衛。「お若えの、お待ちなせえやし」ですね。まさにタイトルの「侠客」の日本版元祖といわれていますが、そもそも侠客とはなんぞやと思い、こころみに調べてみますと「中国において義侠心を持って人の窮境を救う武力集団」とあり、いわゆる賭場や香具師の元締めとその配下、軒下三寸借りて「お控えなすって、手前生国とはっしますところ・・・」といった(やくざ)とは本来の意味は違います。

大和郡山・本多家家臣の奉公人、二十歳の塚本伊太郎は、ある使いの帰りに侍同士の斬り合いを見かけます。なんとそのひとりが伊太郎の父、塚本伊織だったのです。助けに加わりますが、父は斬られ、最期に「か、ら、つ・・・」と言い残して息絶えます。この争いを止めようと父を襲った相手を追い払ったのが、水野百助という侍。

塚本伊織は、もとは九州は唐津十二万石の大名、寺沢志摩守の家来で、伊太郎が五歳のときに藩から逃げて父子と塚本家の家来の三人で流浪の旅に出ます。途中で家来と別れ父子は江戸に。伊織は「八百屋・久兵衛」の離れに住み、伊太郎は大名家の奉公人になります。父の最期の言葉が気になるところですが水野百助は使いの途中だった伊太郎にとりあえず用を済ませてこいといい、伊織の遺体はおれに任せておけと引き受けます。

この水野百助、三千石の大身旗本、水野出雲守成貞の長男で、二十九歳。伊太郎が八百屋久兵衛に着くと百助に礼を言い、「おれに手伝えることがあったらいつでも屋敷に来てくれ」と言い残して帰ります。

塚本伊織の葬式は上野の幡随院新知恩寺で行われ、葬式の後、和尚が伊太郎に今後のことを聞くと浪人になって父の敵討ちをすると宣言。さっそく五年前に旅の途中で別れた塩田半平を探しに大坂へ行くことにします。しかし途中、伊太郎は侍に襲われて斬られます。それを助けてくれたのが旅の老人で山脇宗右衛門と娘のお金。宗右衛門は江戸で「人いれ宿」という現在でいう人材派遣・職業斡旋を営んでいます。

宗右衛門は伊太郎の話を聞いて、権兵衛という若者を大坂に向かわせますが、その時、半平は何者かに襲われ、大坂から逃げ江戸へ向かいます。権兵衛は大坂に着きますが半平が逃げたと知って急いで宗右衛門のもとへ戻り、伊太郎もいっしょに江戸に戻ります。そして半平が江戸に着くのですが何者かに殺されます。

それから数年後、塚本伊織と伊太郎殺害の命を受けていた辻十郎が斬られます。そこに「何をしてる」と通りかかったのが水野十郎左衛門。百助が家督を継いで名を改めたのです。瀕死の辻十郎を助け家に連れて行って十郎から伊太郎の父伊織を暗殺した理由を聞き、それが唐津藩の現当主の寺沢兵庫守からの命令だと知った伊太郎は兵庫守を敵討ちしようと・・・

この作品は文庫で読みまして、だいだいここまでで下巻の真ん中あたり。で、伊太郎は山脇宗右衛門の娘のお金と結婚して人いれ宿の後を継ぐことに。伊太郎は名前を捨ててまったく別の人間になろうと幡随院の和尚に相談し、長兵衛という名前をもらいます。そして世間から「幡随院長兵衛」と呼ばれることに。

しかし、運命とは残酷なもので、長兵衛はどんどん頭角を現し「町奴」と呼ばれるようになります。一方、戦も絶えて平和な時代になり、武士は官僚となりつつあるこの当時、父や祖父のように武士の本分である戦場を駆け回ることのない一部の旗本の孫や子世代にとってはフラストレーションがたまる一方で、町で乱暴狼藉をします。そんな彼らは「旗本奴」と呼ばれるようになり、その頭目が水野十郎左衛門。

町奴と旗本奴はたびたび衝突して、とうとう双方が我慢の限界に達しようとなってしまい、十郎左衛門は長兵衛と話し合いをすることに・・・

 

歌舞伎や講談は「より面白く」するために史実を脚色したりするわけですが、この作品でも歌舞伎や講談のストーリー的に不自然な部分の辻褄を合わせるようになっています。以前読んだフレデリック・フォーサイスの「オペラ座の怪人」の続編「マンハッタンの怪人」でも、「オペラ座の怪人」の不自然な部分の辻褄を合わせています。

もともと侠客や仁義や義侠心といった「弱きをたすけ強きをくじく」が、いつから「強きをたすけ弱きをくじく」になっちゃったんでしょうかね。

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半村良 『晴れた空』

2023-02-19 | 日本人作家 は

暦の上では春とのことですがまだまだ寒いですね。暖房費の高騰が気になって、基本的には冬場のアウトドアやキャンプなどで使用する、ポンチョとしても着られて、開けば布団に、ファスナーを閉じれば寝袋にもなるというあったかグッズを購入しました。さすがに朝晩はストーブをつけますが日中に家にいるときはそのポンチョを着れば意外とオーケー。家の中なのにアウトドア気分。

 

ソロキャンプに目覚めようかしら。

 

さて、半村良さん。この作品は戦前・戦中辺りからはじまってるので、父母か祖父母がその世代であればあまり「歴史」とは思えませんが、知ってる家族が全員戦後生まれだとこの時代の小説は「歴史小説」と捉えるのでしょうか。

太平洋戦争で劣勢になった日本はとうとう本土に空襲攻撃を受けます。そして一九四五(昭和二十)年三月十日、東京大空襲。その夜の死者数は公式記録では八万八千七百九十三人とされています。しかし、いたるところに黒焦げの焼死体が転がっていてひとりひとりの識別などできず、地域によってはガマ口の口金を拾い集めて数えて死者数を推定したといいます。

東京は上野駅の地下道。行き場のない人たちでいっぱいに。背の高い浮浪児が「おす」と壁にもたれている二人の浮浪児に話しかけます。「なんだ、バアちゃん」バアちゃんと呼ばれた浮浪児は「飴屋と級長には教えといたほうがいいと思って」と言います。バアちゃん、飴屋、級長というのは、浮浪児たちはもはや本名は必要とせずあだ名で呼び合っています。

「今日の昼にラジオで天皇陛下がなにか喋るみたいだぞ」

この日は八月十五日。バアちゃんからそう聞いた飴屋と級長の三人は地下道の外に出て、正午、君が代が流れます。

「敗けたんだってさ」「どうしようもねえや」

三人の浮浪児は仲間の浮浪児を探します。そこに新聞を積んだトラックがやって来ると級長は新聞の束を持って逃げます。他の浮浪児も参加した連携プレーで級長は逃げおおせ、この新聞を一枚一円で売ることに決めます。ちなみにすいとんが一杯一円の時代。

新聞を売りさばいた浮浪児たちはそれぞれ自己紹介をします。級長、飴屋、バアちゃん、そしてニコ、ゲソ、アカチン、マンジュー、ルスバン。バアちゃんだけが十四歳で他は偶然みな十三歳。

ある日のこと、駅の改札口近くで四歳か五歳くらいの女の子が座っておにぎりを食べています。級長が助けようとすると「この子をよろしくお願いします」という手紙が。急いで母親を探します。その母親は遠くで見ていました。そして級長は持っていた外食券を母娘に渡して「三月十日に僕らはみなあの晩母を亡くしました。がんばってその子といっしょにいてあげてください」といって食堂に案内します。

すいとんを食べて元気になった母娘を見て安心し、自分たちが臭いと思った級長と飴屋は盗んだ石鹸で土砂降りの雨の中で体を洗います。そして自分の母を思い出し「かあちゃん」「かあちゃぁん・・・」と泣き出します。

その日から母娘は級長ら浮浪児たちの仲間になって、故買商といえば聞こえはいいですが、ようは道端に風呂敷を拡げて彼らの盗んできた品物を売ることに。母はみんなから「お母さん」、娘は頭を丸刈りにしたので「ボーヤ」と呼ばれることに。お母さんは誰もがハッと見とれてしまう(もちろん級長たちも)ほど美人で小さな子が横にいるので売れ行きは良く、どんどん盗んできては売って、そのうち彼らの目標は「お母さんとボーヤの住む家を買う」になります。

級長が食堂にいると、酔っ払った飛行服を着た元航空隊が。級長が話しかけると、男は「俺は特攻隊の死に損ないよ」といいます。この前田という男は級長たちに妙に気に入られて彼らの仲間に。そして飲み屋で仕入れてきた有益な情報(どこの倉庫に何が置いてある)を教え、盗みに行って、それをお母さんとボーヤが売るのです。そうして金も貯まって、ルスバンの家のあった場所に家を建てることに。

しかし、この背後には、お母さんがじつは亡くなった海軍中佐の未亡人で、中佐に恩義がある影の実力者たちの手回しが・・・

この作品は文庫で上中下それぞれ四〇〇ページ以上、つまり千二百ページ超の長編で、ここまでが上巻の終わりのほう。このあとさらに中、下と続くのですが、まあネタバレにならない程度に触れますと、学校に通うようになった級長たちは彼らの特性というか長所を生かした道を歩むことに。お母さんは商才と人を惹きつける魅力があり、なんと会社を立ち上げます。そして前田はお母さんと少年たちの補佐というか日向となり陰となります。そしてラストは「ええ・・・」となります。この作品のタイトル「晴れた空」というのが、美しくもあり、悲しくもあります。

時間的に余裕があったらもっと早く読み終わっていたと思うのですが、ちょうど読み始めたあたりからこまごまと忙しくなって時間がかかってしまいました。機会があれば今度はゆっくりとじっくりと読みたい、そう思わせてくれる作品です。

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