晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

デブラ・ドイル&ジェイムズ・D・マクドナルド『サークル・オブ・マジック 魔法学校再訪、氷の国の宮殿』

2018-07-12 | 海外作家 タ
さて、9年越しに読んだ「サークルオブマジック」ですが
シリーズとしては3巻までで、今回投稿する「魔法学校再
訪、氷の国の宮殿」は、ファンからの熱い要望にお答えし
ての続編、あれから1年後、とうことになっております。

「あれから」というのは、シリーズ3巻のおさらいになり
ますが、ブレスランドという世界がありまして、ここが王
の不在で戦国時代でして、ドーン城のランドルという見習
い騎士が魔法使いになりたいといって修業をし、従兄弟で
騎士のウォルターと吟遊詩人のリースと3人で旅をしなが
らいろんなことに巻き込まれつつ最終的にブレスランドに
平和が戻ってくる、というお話。

で、1年後。王女ディアマンテがブレスランド王に即位し、
ランドルは女王直属の魔法使いに、ウォルターはブレスラ
ンド王国軍の騎士に、そしてリースも宮廷専属の歌手に。

そこに、ブレスランドの東を治める男爵から、息子を預
かってほしいとのお願いが。
なんでもその息子、ウィルフリードは、魔法学校に通っ
ているのですが落ちこぼれらしいのです。そもそも彼は
魔法使いになりたかったわけではなく、「夢のお告げ」
で魔法学校に通うことに。ランドルも魔法学校時代に落
ちこぼれだったこともあり彼に同情し魔法を教えること
に。しかしウィルフリードは魔法よりも騎士のウォルタ
ーに憧れを抱いている様子。

ある日、ウォルターがちょっと怪我したので治してくれ
とランドルに治療の魔法をお願いします。するとウィル
フリードが「僕に魔法をかけさせてください」といって
治療の魔法をかけて、見た目は治ったのですが、次の日
にウォルターの手が腫れ上がり死にそうになります。
そういえばランドルはウィルフリードがウォルターに魔
法をかけたときになにやら不気味な何かを感じたのです。

これはおそらく悪魔がウィルフリードに乗り移っている
かもしれないということで魔法学校に行って原因を探ろ
うとしますが、ランドルのかつての先生たちは「そんな
わけないだろ」と非協力的。もしやすでに学校全体が悪
魔に支配されているのではと考えたランドルは昔お世話
になった先生にいきなり攻撃を・・・

そっちの問題はさておき、今年ははるか北のバスキナと
いう王国で十年に一度の歌唱コンテストが開催される年
ということで、リースは出場したがています。
そこにタイミングよくバスキナから王がブレスランドに
来るというのです。晩餐会でリースはバスキナ王に歌声
を披露し、歌唱コンテストに招待されることに。
ところが、バスキナ王の周りになにやら魔力を感じたラ
ンドルは心配になっていっしょにバスキナまで行くこと
に。
どうやらバスキナ王はランドルを歓迎していない様子。
そこに2巻で登場した金にがめつい傭兵のデイゴンがい
るではありませんか。なんと「ブレスランドの王女から
ランドルを守るように依頼された」というのです。
さて、長い時間を歩いて海を渡ってようやくバスキナに
着いた一行。ですがそこは話に聞いていた楽園とはほど
遠い様子で・・・

いちおうこれですべて読み終わりました。あとがきによ
ると完全に終わったわけではないらしく、まだ続編が出
るかわからないそうですが、この「魔法学校再訪、氷の
国の宮殿」が出版されたのが2004年ということです
から、まあ、そういうことですね。ハイお疲れ様です。
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デブラ・ドイル&ジェイムズ・D・マクドナルド『サークル・オブ・マジック ブレスランドの平和』

2018-07-01 | 海外作家 タ
まず、長期間ブログの投稿を放置していたことについて。

この『サークルオブマジック』は全3巻と続編1巻の計
4巻あって、1巻と2巻は読んだのですが3巻は読んで
ないままでした。

ネットで注文すれば一発で手に入ったんでしょうが、ま
あこういうのは「出会い」っていうんですか、どこかの
本屋で見かけたら買う、そんな感じでいましたら、とう
とう出会いました。

1、2巻を読んで当ブログに投稿したのが2009年。
内容を全く思い出せなかったので、ブログに投稿したの
を読んでおさらいしようと思ったのですが、その内容た
るや「それからなんだかんだで~」「かくかくしかじか
で~」ともはや意味不明。ということで1巻と2巻をは
じめから読み直して、いよいよ3巻へ。

ざっとおさらいしますと、ブレスランドというところに
ドーン城というお城があって、そこの見習い騎士だった
ランドルという少年が、城を訪ねたマードックという魔
法使いに「魔法使いになりたい」とお願いし、魔法学校
に入学します。魔法学校では最終試験で旅をしなければ
ならず、ランドルは旅に出ます。途中、リースという歌
の得意な少女とランドルの従兄弟で騎士のウォルターと
いっしょに行動することに。

で、1巻では、ランドルは魔法を使ってはいけないし、
武器も持ってはいけないという条件付きの旅でしたが、
途中、魔法の研究のため塔に籠っていた老魔法使いに
会いに行くと、老魔法使いから魔法の使用許可を得て、
ランドルは老魔法使いといっしょに悪魔と戦います。

2巻では魔法が使えるようになったランドルとリース
とウォルターの3人が邪悪な魔力を利用してブレスラ
ンドを支配しようとするやつらと戦います。

さてここから3巻。3人は鐘楼城というところに着き
ます。名前の通り城には大きな鐘があって、ランドル
はこの鐘の音に強力な魔力を感じます。さらにこの城
の城主はフェス卿といって、2巻で邪悪な魔力で世界
を支配しようとしていた親玉なのです。

鐘楼城の周りをエクター男爵率いる軍団が取り囲んで
いますが、攻め入ることができません。ランドルは、
この付近に住むダーナという魔法使いに会って鐘楼城
の秘密を聞き、みんなのいる場所に帰るとエクターか
ら金貨泥棒の疑いをかけられてしまいます。
無実を証明しようとランドルはある魔法をかけたので
すが、それが相手の罠だったのです・・・

ランドル、リース、ウォルターの3人は、気が付くと
鐘楼城の地下牢にいたのです。そこにレディ・ブランチ
と名乗る女性がやってきます。じつはレディ・ブランチ
はブレスランドの王位継承者の生き残りで、フェス卿
に捕えられて政略結婚させられそうになっていたので
す。それをやめさせようにも城内の強力な魔力でラン
ドルは魔法を使えません。そこに、ランドルにとって
見覚えのある男が。その男とは、ゲイマーという魔法
使いで、ランドルと魔法学校時代のルームメイトで、
魔法のおぼえが悪いランドルをよくバカにしていた、
いやなヤツだったのです。そういえばゲイマーは自分
は貴族の家系なのだと自慢していたのをランドルは思
い出します。それがフェス卿だったとは・・・

傲慢で性悪な性格にいちだんと磨きがかかったゲイマー
の魔力は邪悪そのもの。ランドルら3人は鐘楼城から
脱出できるのか・・・

そしてさらなる難題が。じつはブレスランドの正当な
王位継承者の王女がいるのですが、彼女は妖精の国に
いるというのです。王女をブレスランドに連れ戻して
正式に王位に就いてもらわないと、ブレスランドの戦
いは終わりそうにありません。そこで3人は妖精国に
行くのですが・・・

1巻と2巻をはじめて読んだときの感想は「まあ続き
は気になるけど夢中になるというまでではない」など
と小生意気なことを当ブログに書いたものですが、読
み返してみて、けっこう夢中になってザーッと読み進
めました。9年前はまだ読解力が無かったのですね、
きっと。
さて、近いうちに続編を読みます。今度こそ近いうちに。
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ネルソン・デミル 『ナイトフォール』

2017-03-06 | 海外作家 タ
最近あまり読んでないなあ、という外国の作品です。

といっても実はこれ、ずっと家の本棚に置いて
あった、いわゆる未読本。
この作品はシリーズ3作目ということで、じゃあ
前の2作を読んでからじゃないといかんわなと、
放置してました。
ですが、それぞれが独立した話になっていて、
これから読んでも差し支えないらしく、そんなら
読みましょう。

1996年7月、ニューヨーク州ロングアイランド沖
で、トランス・ワールド航空パリ行きの便が空中爆発
をして、乗客230人全員死亡という痛ましい事件
がありました。

元ニューヨーク市警の刑事で、現在は連邦統合テロ
対策特別機動隊(ATTF)捜査官のジョン・コーリー
は、妻でFBI捜査官のケイトと車でロングアイランド
に向かっています。今日は、5年前に起きた航空機爆発
事故の追悼式があり、それに出席するのです。

結婚前、ケイトはこの事件の目撃者からの事情聴取を
担当していて、あれから5年、ケイトはどうやらこの
事故に関する政府の公式見解に納得がいってない様子。

追悼式の会場で、コーリーのもとに、FBIのグリフィス
と名乗る男が「この件を蒸し返すな」と、脅しとも取れる
言葉を残します。

ケイトに話を聞いてみると、5年前の航空機爆破は、
飛行中にタンクに引火したという事故調査委員会の
出した「公式見解」ですが、じつは、海中から飛行機
にめがけて(光の筋)が見えた、という目撃証言が
多数あったのです。

この(光の筋)は、爆発して上昇を続けた航空機と、
燃えながら落下した機体の一部が重なって見えた
「目の錯覚」というのが政府の公式な結論なのですが、
ケイトが集めた目撃証言の中には、元空軍兵士で、
(光の筋)を確かに見た、という人までいるのに、
政府の結論はこの可能性を隠そうとしているようなのです。

そうなってきますと、あれは「事故」ではなくて「事件」
なのでは・・・?

さらに、航空機の爆発した時刻に、海岸に「ある男女」が
いたらしく、その2人がビデオ撮影をしていた可能性があり、
これは当時、大掛かりな捜査が行われましたが、この2人は
見つからずじまい。

コーリーはこの件の真相究明に向かいますが、FBI、さらに
CIAまでもがこの件の真相を懸命に隠蔽しようとコーリーを
あの手この手で邪魔します。
いったい5年前に何があったのか。

この話の結末は、コーリーが懸命な捜査で真相を掴み、
それを問いただそうと、証拠隠滅に躍起になってた関係各位
に問いただそうとするところで終わります。
つまり、連邦政府側が「確かな証拠」を見せつけられて
ハハーと土下座しながら「コーリーさんごめんなさい」
これにて一件落着とはなっていません。

ものすごくシリアスな内容なのですが、読んでて思わず
ニヤニヤしてしまう表現があり、中には吹き出しそうに
なるところもあり、それが絶妙な配合で、文庫の上下
合わせて900ページを超える長さでも、読み疲れる
ことがありませんでしたね。

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ディケンズ 『大いなる遺産』

2014-06-10 | 海外作家 タ
ようやく読みました。買ったのはずいぶん前だったのですが、わりかし長編
なので、後回しにしてました。

原題は「Great Expectations」で、expectは期待するとかいう意味なので、
つまり”遺産を相続できる可能性は期待していい”ですね。

イギリスの田舎に住む少年ピップは、幼くして父母を亡くし、姉夫婦のもと
で育ちます。姉は夫のジョー、そして弟に「とっとと飯を食えこの豚野郎」
と言ったり、ときたま棒でひっぱたいたり、恐怖の存在。

そんなわけでピップとジョーは(被害者の会)のような仲良し。

ある日、ピップが教会で自分の両親の墓にお参りをしていると、囚人服を
着て足枷をはめたままの男が食べ物とヤスリを持って来いとピップを脅します。
なんとかして家から食べ物を盗んで、鍛冶職人であるジョーの仕事場からヤスリ
も持ち出し、脱獄囚のもとへ。

そんな忌わしい出来事があったのち、ピップはあるお屋敷の女主人ミス・ハヴィ
シャムの世話をすることに。世話といっても話し相手になるだけで、女主人は
暗い部屋にこもって意味不明な言動をし、養女のエステラにひどい言葉でなじられます。

ピップは自分では意識していなかったのですがエステラの美貌に惹かれ、
お屋敷に通い続けますが、しかしエステラはパリに旅立ちます。

やがてピップはジョーに鍛冶職人の弟子入りすることに。そんな矢先、ピップは
弁護士を名乗る男に、どこかの富豪から遺産相続の見込みがあると告げられます。

そのためにはロンドンに住んで紳士になる教育を受けるとあり、ピップは
ロンドンに旅立ちます。

ミス・ハヴィシャムのお屋敷で出会った青年ハーバートと一緒に住み、財産管理
をいている弁護士から月々の生活費を与えられ、贅沢な生活を送ります。

放蕩三昧な暮らしの中、ピップは田舎で世話になったジョーたちを疎ましく感じる
ようになり、紳士というよりは”鼻持ちならない都会人”になってゆくのです。

やがてピップは、自分に遺産を相続してくれる謎の人物の正体を知るのですが・・・

「オリヴァー・ツイスト」でもあったように「あの人とあの人がじつは」といった
ような”都合のよい”展開があったりしますが、そこはそれ、物語として面白ければ
いいのです。

文中で特に笑ってしまったのが、ピップと同郷の人が出演する芝居を観に行くシーンで、
ここが素晴らしいのが芝居のタイトルを敢えて説明せずに物語の舞台(デンマーク)や
登場人物(かの優柔不断な王子、王の亡霊)で描写しているところ。
客の野次など絶妙で、なんというか古き良き芝居文化がそこにあるような。

それにしてもイギリス文学ではちょくちょくシェィクスピアを”教養として当然知って
いるもの”として引用しますね。
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レイモンド・チャンドラー 『長いお別れ』

2013-02-26 | 海外作家 タ
だいぶ昔、20年くらい前でしょうか、「ハードボイルドだど」でお馴染みの
故・内藤陳さんのエッセイか何かを読んで、「フィリップ・マーロウ」という
作家を本屋で探しても見つからず、あとでレイモンド・チャンドラーの創作
したキャラクターということがわかったという、こっ恥ずかしい思い出があり
ます。

そのときに読んだのが、確か遺作の「プレイバック」だったと記憶しているの
ですが、正直内容はほとんどおぼえておりません。

カリフォルニアに住む私立探偵、フィリップ・マーロウは、バーの前に停めて
ある車の中にいた、白髪で頬に傷のあるテリー・レノックスという男と知り合
いになります。
レノックスはひどく酔っていて、同乗していた女性はひどく怒っています。

レノックスを家に連れて帰り、そこで、さっきの女性は離婚した妻で、名前は
シルヴィア・レノックス。後日、シルヴィアはカリフォルニア在住の億万長者、
ハーラン・ポッターの娘とわかるのですが、それはおいおい。

ある日突然、レノックスがマーロウに「メキシコのチュアナに連れて行ってくれ」
と頼みにやってきます。じつは、シルヴィアが自宅で殺されているところを発見
されますが、レノックスは「僕じゃない」とだけ言い、マーロウの運転でチュアナ
まで送ってもらい、メキシコシティ行きの飛行機に乗って別れます。

さて、それから後、マーロウのもとに警察が来ます。シルヴィア殺害の容疑がか
けられている元夫のテリーをチュアナまで車で送っていたことで、マーロウは警察
に連行されます。

厳しい取調べにもマーロウは、なぜレノックスを空港に送っていったのか話しません。
しかし、そこに衝撃の知らせが。なんとレノックスがチュアナのホテルで拳銃自殺を
したというのです。

彼は自殺するような男ではないと信じるマーロウ。が、すんなり警察から釈放されます。
ハーラン・ポッターがこの事件を闇に葬りたいのか・・・
後日、ギャングのメネンデスという男が事務所にやってきます。彼はレノックスの軍隊
時代からの有人で、レノックスのおかげで命拾いしたこともあるそう。そこでメネンデス
は、もうこの件に首を突っ込むのはやめろ、と脅します。

それから数日して、ニューヨークの出版社の人から電話があり、こんどロスに行くという
ので会う約束をします。その日の夜、家にメキシコからの手紙が届いていました。
中を見るとそれはレノックスの”告白文”で、5千ドルが同封されていました。

「事件についても僕についても忘れてくれ。だがその前にぼくのためにギムレットを飲んで
ほしい、そして、こんどコーヒーをわかしたら、ぼくに一杯ついで、バーボンを入れ、タバコ
に火をつけてカップのそばにおいて、すべてを忘れてくれ」

さて、出版社の人とホテルで会ったマーロウは、そこでとんでもない美人を見つけます。
出版社の人はその美人と知り合いで、作家のロジャー・ウェイドの妻アイリーンと名乗り
ます。
依頼はというと、ロジャーはスランプというかアル中で、つい先日は妻を階段から落とした
そうで、今は行方不明だというのです。手がかりは頭文字がVの医者のところにいるらしい
というだけ。
マーロウはなんとかして、その”V医師”を探し出し、ウェイドを見つけ、家に連れて帰り
ます。

ところが、このウェイド夫妻と関わることになって、思わぬ方向に・・・

途中まで、のらりくらりと話が進んでいたのが、ウェイドの登場で急転直下、展開が激しく
なって、最後は「なんと!」という驚き。

もう、フィリップ・マーロウの”名言””迷言”が炸裂しっぱなし。あとがきで翻訳者が
「一歩まちがえばキザで嫌味になるところを崖っぷちでとどまって」とありますが、まさに
素晴らしいたとえですね。
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J・R・R・トールキン 『ホビットの冒険』(再読)

2012-05-04 | 海外作家 タ
「指輪物語」を読み終えて、どうしてもその世界観にまだ浸って
いたくて、つい手を出してしまいました。
この『ホビットの冒険』は、「指輪物語」の前に書かれた作品で、
「指輪物語」での指輪保持者であるフロドの継父であるビルボが
賢者ガンダルフと13人のドワーフとともに冒険をするといった話。
この13人の中に「グローイン」というドワーフがいるのですが、
フロドの旅の仲間であるギムリのお父さんですね。
そもそもギムリは、この13人の中にいたバーリンというドワーフが、
霧ふり山脈のモリア抗に探検に行くといったまま音信普通になって
しまい、バーリンを探しに行くという別目的もあったのです。

話は、唐突にガンダルフが登場します。ほんとうに唐突。一応、過去
にビルボとガンダルフの交流は書かれていますが、さらりという程度。

そして、ドワーフが霧ふり山脈(ホビット庄から見ると東にある大きな
山脈)の反対側に住む竜を退治しに行き、ビルボはなぜか一緒に行くこと
になります。

「指輪物語」にも登場する裂け谷のエルロンドの館を経由して、霧ふり
山脈を越えることに。途中、ゴブリン(オークともいう)の攻撃に遭ったり
もしますが、なんとか山脈を越え、いよいよ闇の森へと進もうとしますが、
ガンダルフは13人のドワーフとビルボとは別行動することに。

この山脈越えの途中でビルボは穴に落ちてしまい、ここでゴクリと出会い、
なぞなぞ合戦に勝って彼の指輪を持ち出すことに。
これが後に「指輪物語」の核となるわけですね。

熊族のビヨルンに途中まで案内してもらい、闇の森に入るのですが、中で
クモに捕らえられたり、なんとか逃げられたと思ったら今度はエルフに捕
まってしまいます。

ここでエルフとドワーフがなぜ仲が悪いのか、そのいきさつが説明されて
います。それはさておき、ドワーフとビルボはエルフの家から脱走し、川
の中洲にある町へたどり着いて、さあ、竜の住む山へ・・・

「指輪物語」の中で、この旅についてはチラッとだけ説明があります。
竜の奪った宝をめぐっての大戦争「五軍の戦い」も描かれていて、迫力満点。

『ホビットの冒険』を読んでから「指輪物語」を読むもよし、その逆でも
いいですが、いずれにしても「指輪物語」の序盤で苦しんだ人は読んだら
スッキリします。
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J・R・R・トールキン 『指輪物語 王の帰還』(再読)

2012-04-30 | 海外作家 タ
ようやく読み終わりました。そして、いかに記憶違いが多かった
ことか軽く自己嫌悪に陥ってしまいました。

前巻「二つの塔」では、もともと9人いた旅の仲間が途中で2人
減ってしまい、パーティーは3方向に分かれて、そのうち指輪保持者
であるフロドと、その仲間サムのふたりだけで、旅の目的である、
指輪をモルドールというところにある火山の噴火口に投げ捨てる
ために、悪の帝王サウロンのいるモルドールへと登ってゆくので
すが、道案内のゴクリに騙されてフロドはオークどもに捕われて
しまいます。

なんとか逃げたサムは、フロドの行方を探し、モルドールにある
塔に侵入、フロドを発見します。塔から脱出したふたりは、食べ物
も飲み物もほとんど取らず、フラフラになりながらも、火山を目指し
て歩いていきます。

一方、メリーとピピン、アラゴルンとレゴラスとギムリ、そして谷底
から復活してきたガンダルフの6人は合流し、ローハン国とゴンドール
の軍に入ります。

アラゴルンは、レゴラス、ギムリと、裂け谷から派遣されてきたエルフ
の戦士と野伏を連れて、「死者の道」と呼ばれる別のルートで向かうの
ですが・・・

そして、いよいよモルドールから大軍勢がゴンドールに向けて押し寄せて
きます。はじめは劣勢に立つゴンドール軍、しかしローハン国から応援部隊
が到着すると形勢は逆転しますが、敵はさらに押し返してピンチとなります。

ようやく別ルートで向かって来たアラゴルン、なんと船に乗って登場。
ゴンドールとモルドールの間に流れるアンドゥインという大河がある
のですが、じつはモルドール側は南の国からの援軍をアンドゥインに
待機させていたのです。
そこに、大量の幽霊を引き連れたアラゴルンが、船に乗っていた兵士たち
を蹴散らし船を奪って、ゴンドールへと向かったのでした。

この「幽霊」というのは、死者の道にいる幽霊で、前の指輪戦争のときに
死んだ兵士たち。先の戦争で活躍した戦士の末裔であるアラゴルンが彼らを
長い眠りから目覚めさせ、仲間にします。

なんとか勝ったゴンドール軍ですが、しかしこれで悪の帝国が滅びたわけで
はありません。モルドール「黒の門」へと向かうガンダルフ一向でしたが・・・

最終的に、フロドは指輪を噴火口に投げ捨てることになるのですが、その
方法とは、かつてガンダルフに「何かに利用できるかもしれぬ」と言われ
ていたことがあり、(それ)とともに指輪は消滅。

ようやく彼らの旅は終わり、と思いきや、ここからまだまだ続きます。
旅の終着点はホビットの4人がホビット庄に到着。しかし、何か様子が変。
なんと4人は警察に捕まってしまうのです・・・


今回再読してみて、(記憶違いは別にして)前に読んだときの疑問や謎が
解明して、さらに、前はあまり感動しなかったシーンに感動したり、その
逆もあったり、なかなか有意義でした。
また数年後に再読してみたいと思います。

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J・R・R・トールキン 『指輪物語 二つの塔』(再読)

2012-04-25 | 海外作家 タ
さて、再読強化月間のほとんどを費やしてしまっている
『指輪物語』ですが、内容をうろ覚えどころか中にはけっこう
重要な部分を間違えて覚えていたりしてました。ひどい話です。

前巻「旅の仲間」では、世界を悪の恐怖に陥れようとしている
サウロンがどうしても手に入れたい指輪を持っているホビット族
のフロドとその仲間のホビット(サム、メリー、ピピン)が、
灰色の賢者ガンダルフ、野伏のアラゴルン、人間の戦士ボロミア、
エルフのレゴラス、そしてドワーフのギムリの9人で、指輪を
火山の噴火口に投げ入れて溶かしてしまおうと長い長い旅に
出かけるところの序盤が描かれていて、山のトンネルで怪物と
闘ってガンダルフが穴に落ちて離脱、8人になってしまい、さらに
途中でボロミアが指輪の魅力に抗いきれずフロドに襲い掛かろうとし、
これに傷ついたフロドは、サムと2人だけで火山のあるモルドールへ
と向かいます。

そして『二つの塔』では、オーク(悪の手下の兵隊)に襲われて
ボロミアが命を落としてしまいます。さらに、メリーとピピンが
捉えられてしまうのですが、どうやら上の者の命令で、殺さずに
生け捕りしてこいということらしく、殺されずに運ばれます。
途中、ローハン国の騎士団とオークの決戦があり、その隙に2人の
ホビットは近くの森に逃げ込みます。しかしその森は不気味で、
なにやら得体の知れない生命の雰囲気が・・・

その「生命」とは、なんと喋り、動き回ることのできる木なのです。
エント族と呼ばれる木の仲間たちは、もはや伝説として語られている
存在で、その中の長老「木の髭」はメリーとピピンを気に入ります。
2人は、旅の目的を木の髭に話し、エントたちも、ここ最近のオーク
どもの無法ぶりには怒りを覚えていて、その諸悪の根源はアイゼンガルド
に住む白の賢者サルマンだというのです。
そこで、エント族の会議の結果、サルマンを懲らしめてやろうと、
ついに木の巨人たちが動き出し、アイゼンガルドへと向かいます。

一方、2人のホビットの行方を探すアラゴルンとレゴラス、ギムリは、
穴から脱出してきたガンダルフと再会、途中にローハン国に寄りますが、
そこの国王セオデンは、サルマンの手下の「蛇の舌」に言いくるめられて
しまっています。

ところで、フロドとサムですが、モルドールへ向かう途中に、もともと
指輪を持っていたゴクリと会います。ガンダルフから「ゴクリは生かして
おいたほうが何かと役に立つかもしれない」ということで、殺すことは
止められています。
なんとか言いくるめて手下にし、モルドールまで案内してもらうことに。
正式ルートである「黒の門」には見張りがいてそこから侵入するのは諦め、
ゴクリの案内で秘密のルートを選びますが、じつはこれはゴクリの罠だった
のです・・・

この『二つの塔』は、読みづらかったり分かりにくかったりという部分は
ほとんど無く、勢いよく描かれています。
いろいろな謎も解明されてゆき、世界も広がり、第3部「王の帰還」へと
続きます。
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J・R・R・トールキン 『指輪物語 旅の仲間』(再読)

2012-04-20 | 海外作家 タ
さて、「再読強化月間」ということで、過去に読んだけど内容が
うろ覚えだったり、あるいはもう一度読んでみたい、という作品を
再読しているのですが、どうやらとんでもないものに手をつけて
しまいました。

今月はブログのタイトルに(再読)と付けた記事を、少なくとも
5作品は更新しようと目論んでいたわけですが、1週間くらい前
から『指輪物語』をよみはじめて、ようやく第1巻「旅の仲間」を
昨夜読み終えて、ただいま第2巻「二つの塔」を読み進めている
最中。こりゃ今月いっぱいかかりそう。

読む前にちょっと検索してみたら、はじめの100ページくらいで
挫折した(読むのをやめた)という人の多いこと。
まずここから「試練」が始まるのです。というのも、いくぶん古めか
しく訳されていて(まあそれが味わいといえばそうなのですが)、
ここさえ乗り越えれば、あとはすらすらと読めると思います。
というか、読むのが辛くなったら飛ばしても構わないです。

冒頭は、主に『指輪物語』の前に書かれた「ホビットの冒険」
のおさらいとなっていて、ホビットという、人間でいうと膝丈より
ちょっと大きいくらいの小さい種族が住んでいて、そのビルボという
ホビットが、灰色の賢者ガンダルフという老人と、これまた小さい
種族のドワーフ(白雪姫に出てくる7人の小人、あれがドワーフです)
といっしょに旅に出て、ある指輪を手に入れて家に帰るまでが書かれて
います。

そして、この指輪こそが物語の核になっていて、指輪が作られて、どの
持ち主に渡り、誰が奪い、ビルボが手にするまでの経緯が説明されます。
ビルボの誕生日パーティーの席で、養子のフロドに家を託すと宣言、指輪
もフロドに渡します。しかしこの指輪、なにやらふしぎな力を持っていて、
災いをもたらすようで、しかも処分するには、前の前の前の持ち主である
悪の大親分、サウロンの住む国にある噴火口に投げ捨てて溶かさなければ
ならないというのです。サウロンの手に渡れば世界の終わり。

というわけで、フロドは庭師のサム、親類のメリー、ピピンの4人で旅に
出ることに。途中、野伏のアラゴルン(はじめは「馳夫」と呼ばれる)も
旅に加わり、裂け谷のエルロンドの館でさらにエルフのレゴラス、ドワーフ
のギムリ、そして人間でゴンドール国のボロミアも仲間となり、ガンダルフ
とあわせて9人で旅に。

途中、ガンダルフがトンネル内で怪物と戦って奈落の底に落ち、案内人を失った
8人はなんとか旅を続けますが、途中、仲間のひとりが指輪の魅力に抗しきれず、
フロドに襲いかかって・・・

レッド・ツェッぺリンのボーカル、ロバート・プラントは「指輪物語」の
大ファンとして知られ、「指輪物語」を彷彿とさせる詩の曲もあります。

次の巻「二つの塔」では、フロドとサム、メリーとピピン、アラゴルンとレゴラス
とギムリの3つのパーティーに別れて、それぞれの旅が描かれます。
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ネルソン・デミル 『ゴールド・コースト』

2012-04-05 | 海外作家 タ
『ゴールド・コースト』とは、オーストラリアの東海岸ではなく、
ニューヨークの東に位置する、長細い島、ロングアイランドにある
海岸で、20世紀のはじめから豪邸が並ぶ、その所有者はヴァンダー
ビルト家、モルガン家などハンパな金持ちではなく、さらにその土地
の広さときたら、この物語に登場するスタンホープ屋敷でいうと、200
エーカー(約80ヘクタール)、よく日本ですと「東京ドーム○個分」と
表現しますが、東京ドームは約4,7ヘクタールですので、17個分。

しかし近年では、アラブ系、アジア系などが買占め、土地を切り売り
したり、そして、この物語の軸となる、イタリア系マフィアが引越し
てきたりと、残された「古き良き」アメリカは消えつつあります。

主人公のジョン・サッターは、マンハッタンとロングアイランドの小さな
町に事務所を構える弁護士で、妻のスーザンは、スタンホープ屋敷で
生まれ育ったお嬢さま。2人の子どもは大学と高校の寮住まいで家には
住んでなく、といっても本邸は50部屋もあるので、夫婦はゲストハウス
に住んでいます。

そして、「古き良き」アメリカの豪邸住まいに欠かせないのが使用人。
年寄りのアラード夫婦は、先々代のスタンホープ家の主人(スーザンの
祖父)から、終身雇用を言い渡され、それを忠実に守っています。

そんなゴールド・コーストに、なんとニューヨークからマフィアの大ボス、
フランク・ベラローサがスタンホープ屋敷の隣に引っ越して来るという
ので大変。
ただでさえ閉鎖的で排他的なコミュニティなのに、マフィアと近所付き合い
など出来ないと心配するジョンとスーザン。

しかし、このフランクと妻アンナはとても気さくで、地域に溶け込みたいと
いう希望もあり、気がつけばジョンもスーザンも彼らと仲良くなっていきます。
ところが、そこはマフィア、ジョンの弁護士という肩書きを、はじめから利用
しようと企んでいたのです・・・

ジョンはもろもろの諸問題に悩み、あげく別荘の脱税疑惑がふりかかってきて
、もともと破滅願望があったのか、これが渡りに船だったのか、とうとう精神が
崩壊してしまい・・・

コミカルな描写や、どぎつい一歩手前で「クスリ」と笑える下ネタだったり、
法律問題、家族の問題、マフィアの抗争などがごっちゃになりつつもきちんと
構成がなされて、エンタテインメントとして楽しめつつも、うーんと考えさせ
られます。

訳者あとがきにもあって思い出したのですが、ロングアイランドといえば名作
「グレート・ギャツビー」の舞台でした。
だいぶ前に読んだのですが、「そういわれてみたらそうだった」というくらい
忘れてました。また読み返さないと。
コメント
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