去年か一昨年でしたか、古本屋をウロウロしていたら、ディケンズの
『オリバー・ツイスト』が棚にあったので、ちょうどその頃、漱石に
ハマっていて、英国留学時代に影響を受けた作家ということで興味が
あり、これはラッキーと、確認もせずに文庫で上下巻買ったつもりが、
見てみたら上巻が2冊。
店員も「これ、上巻2冊ですけどよろしいですか」の一言くらいあって
もよさそうじゃないか、なんていう自分勝手な怒りをツイッターでつぶ
やいたものです。
とりあえず、上巻を読んで、そのまま放置。そして先日(たぶん)同じ
古本屋をウロウロしていたら、下巻を見つけたのでした。
上を読んだのはだいぶ前で、もう一度読み返して、長い時間をかけて、
ようやく読了。
イギリスにある救貧院で、ある身重の女性が男の子を出産し、まもなく
死んでしまいます。この男の子は、救貧院の“ならい”で、アルファベ
ット順に名前を決めるもので、「オリバー・ツイスト」と名づけられる
のです。
この救貧院とは、救貧法という法律が1600年代に原型が出来て、そ
れが実用的になったのが、ちょうどこの作品の書かれた1800年代の
中期で、この法律は富裕階級の善意から生まれたものではあったのです
が、その運営たるや劣悪を極めるもので、オリバーをはじめとする、親
のいない子ども達の境遇は、つねに栄養失調状態で、粗末な服で、ちょ
っとしたことで暴力をふるわれ・・・
オリバーは、そこそこ働ける年齢(といっても7歳とか8歳で)になるや、
煙突掃除の奉公に出され、次に棺桶大工のもとに奉公に出されるのですが、
そこにいた兄弟子みたいな陰険な小僧にいびられて、耐え切れずにオリバー
はそこから脱走します。
どうにかロンドンのまで歩いてたどり着いたオリバーは、疲れて座っている
ところ、「若い紳士」に声をかけられます。
よくわからないままついてゆくと、その「若い紳士」、実際はまだ少年でし
たが、彼はユダヤ人のフェイギンという窃盗組織の親分の手下だったのです。
オリバーはフェイギンに懐柔され、街中でスリを決行しますが失敗、警察
に捕まってしまいます。しかし被害者の老紳士は、寛大にもオリバーを許し、
家に招きます。
ここでオリバーは、家に飾られた一枚の絵にひどく惹きつけられるのですが、
それは老紳士ブラウンロー氏と、のちのち関係してきます。
一方、フェイギンら窃盗団は、アジトを知っているオリバーが捕まったと
聞き、なんとしても連れ戻さねばと、外出していたオリバーをひっ捕まえて
ふたたび悪の巣窟へ・・・
今度の悪巧みは、スリや万引きといったレベルではなく、強盗。しかし、
中にいた使用人が気付いて、銃を発砲、先に忍び込んでいたオリバーは撃たれ
てしまい・・・
たまたま強盗に入った家ですが、そこの夫人はじつはオリバーと関係があって、
さらに先述したブラウンロー氏もオリバーの出生を知っていて、というふうに、
ずいぶんと(都合のいい)話の展開なのですが、それを差し引いたとしても、
19世紀のロンドン、イギリスの情景、とくに貧困層の暮らすエリアの描写
は、ヘタな歴史書を読むよりずっと身に入ってきます。
これで思い出したのが、漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」。この作者
の秋本治さんの描く東京の下町の情景描写、そして主人公の両津が語ったり
思い出したりする生まれ故郷の浅草に関する話題は、そこら辺のガイドブック
よりも素晴らしいです。
『オリバー・ツイスト』が棚にあったので、ちょうどその頃、漱石に
ハマっていて、英国留学時代に影響を受けた作家ということで興味が
あり、これはラッキーと、確認もせずに文庫で上下巻買ったつもりが、
見てみたら上巻が2冊。
店員も「これ、上巻2冊ですけどよろしいですか」の一言くらいあって
もよさそうじゃないか、なんていう自分勝手な怒りをツイッターでつぶ
やいたものです。
とりあえず、上巻を読んで、そのまま放置。そして先日(たぶん)同じ
古本屋をウロウロしていたら、下巻を見つけたのでした。
上を読んだのはだいぶ前で、もう一度読み返して、長い時間をかけて、
ようやく読了。
イギリスにある救貧院で、ある身重の女性が男の子を出産し、まもなく
死んでしまいます。この男の子は、救貧院の“ならい”で、アルファベ
ット順に名前を決めるもので、「オリバー・ツイスト」と名づけられる
のです。
この救貧院とは、救貧法という法律が1600年代に原型が出来て、そ
れが実用的になったのが、ちょうどこの作品の書かれた1800年代の
中期で、この法律は富裕階級の善意から生まれたものではあったのです
が、その運営たるや劣悪を極めるもので、オリバーをはじめとする、親
のいない子ども達の境遇は、つねに栄養失調状態で、粗末な服で、ちょ
っとしたことで暴力をふるわれ・・・
オリバーは、そこそこ働ける年齢(といっても7歳とか8歳で)になるや、
煙突掃除の奉公に出され、次に棺桶大工のもとに奉公に出されるのですが、
そこにいた兄弟子みたいな陰険な小僧にいびられて、耐え切れずにオリバー
はそこから脱走します。
どうにかロンドンのまで歩いてたどり着いたオリバーは、疲れて座っている
ところ、「若い紳士」に声をかけられます。
よくわからないままついてゆくと、その「若い紳士」、実際はまだ少年でし
たが、彼はユダヤ人のフェイギンという窃盗組織の親分の手下だったのです。
オリバーはフェイギンに懐柔され、街中でスリを決行しますが失敗、警察
に捕まってしまいます。しかし被害者の老紳士は、寛大にもオリバーを許し、
家に招きます。
ここでオリバーは、家に飾られた一枚の絵にひどく惹きつけられるのですが、
それは老紳士ブラウンロー氏と、のちのち関係してきます。
一方、フェイギンら窃盗団は、アジトを知っているオリバーが捕まったと
聞き、なんとしても連れ戻さねばと、外出していたオリバーをひっ捕まえて
ふたたび悪の巣窟へ・・・
今度の悪巧みは、スリや万引きといったレベルではなく、強盗。しかし、
中にいた使用人が気付いて、銃を発砲、先に忍び込んでいたオリバーは撃たれ
てしまい・・・
たまたま強盗に入った家ですが、そこの夫人はじつはオリバーと関係があって、
さらに先述したブラウンロー氏もオリバーの出生を知っていて、というふうに、
ずいぶんと(都合のいい)話の展開なのですが、それを差し引いたとしても、
19世紀のロンドン、イギリスの情景、とくに貧困層の暮らすエリアの描写
は、ヘタな歴史書を読むよりずっと身に入ってきます。
これで思い出したのが、漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」。この作者
の秋本治さんの描く東京の下町の情景描写、そして主人公の両津が語ったり
思い出したりする生まれ故郷の浅草に関する話題は、そこら辺のガイドブック
よりも素晴らしいです。