去年、著者のデビュー作で横溝正史賞受賞作「ノーペイン・ノーゲイン」
を読んで、意外で斬新な構成と旧式の密室トリックを融合させるという
作品で、けっこう楽しめました。
『あたり(魚信)』とは、釣りで魚が餌に食いついたときに浮きが
ちょんちょんと引っぱられる手応え。これをタイトルにするという
わけで、川魚釣りの短編オムニバスです。
ある地方都市に流れる支流は、工業排水などが流れ込まずに清流の
状態を保っている貴重な川があり、そこにはさまざまな人たちが釣り
を楽しみに竿を垂れます。
この地域には「奇跡を信じたければ釣りをするがいい」という言い伝え
があり、その昔、隠れキリシタン狩りから逃れてきた人たちが隠れ住み、
飢えをしのぐために魚釣りをして、それが地元の村人に見つかったの
ですが、その時代の地元民たちは網などの漁しか知らなかったので、
竿と糸と針を使った魚釣りというのを教えてもらうことになり、この
地域で匿ってもらうことになったのです。
そんな言い伝えが、悩みを持った人たちにとっての救いとなり、まさに
小さな「奇跡」が起こるのです。いや、何もしなければ奇跡なんて訪れ
ません。彼ら彼女らが何かしら行動することによって、その行動のうち
のひとつが良い事になり、やがて人生は好転していくのでしょう。
釣りを介して、失われてしまった、本来人々があたりまえに持っていた
はずのものと出会います。
オイカワ、雷魚、うなぎ、鮎、たなご、真鮒といった川魚にまつわる
話、それらの生態や釣り方などが詳しく説明されていて、正直それまで
川魚釣りに興味がなかったのですが、「奇跡」がほしいかどうかは別に
して、ちょっと出かけてみようかな、なんて気になりました。
を読んで、意外で斬新な構成と旧式の密室トリックを融合させるという
作品で、けっこう楽しめました。
『あたり(魚信)』とは、釣りで魚が餌に食いついたときに浮きが
ちょんちょんと引っぱられる手応え。これをタイトルにするという
わけで、川魚釣りの短編オムニバスです。
ある地方都市に流れる支流は、工業排水などが流れ込まずに清流の
状態を保っている貴重な川があり、そこにはさまざまな人たちが釣り
を楽しみに竿を垂れます。
この地域には「奇跡を信じたければ釣りをするがいい」という言い伝え
があり、その昔、隠れキリシタン狩りから逃れてきた人たちが隠れ住み、
飢えをしのぐために魚釣りをして、それが地元の村人に見つかったの
ですが、その時代の地元民たちは網などの漁しか知らなかったので、
竿と糸と針を使った魚釣りというのを教えてもらうことになり、この
地域で匿ってもらうことになったのです。
そんな言い伝えが、悩みを持った人たちにとっての救いとなり、まさに
小さな「奇跡」が起こるのです。いや、何もしなければ奇跡なんて訪れ
ません。彼ら彼女らが何かしら行動することによって、その行動のうち
のひとつが良い事になり、やがて人生は好転していくのでしょう。
釣りを介して、失われてしまった、本来人々があたりまえに持っていた
はずのものと出会います。
オイカワ、雷魚、うなぎ、鮎、たなご、真鮒といった川魚にまつわる
話、それらの生態や釣り方などが詳しく説明されていて、正直それまで
川魚釣りに興味がなかったのですが、「奇跡」がほしいかどうかは別に
して、ちょっと出かけてみようかな、なんて気になりました。