奥田英朗といえば、現在ドラマ化されている「空中ブランコ」「イン・
ザ・プール」の精神科医、伊良部シリーズがいちばん有名でしょうか。
ユーモラスとシリアスの配分が素晴らしく、とても上手だな、という
印象を持っていました。
そんな奥田英朗のデビュー2作目『最悪』は、ゴリゴリのクライム・
ノベル。
町工場の社長、川谷は、取引先からの無理難題や近所からの騒音苦情に
日々悩み、なんやかやで自分の工場には分不相応と思われる高額の機械
を入れることになったのですが、銀行の担当者から、融資の打ち切りを
言い渡され・・・
その銀行の窓口業務で働くOLのみどり。家に帰ってこない妹、未来の
見えない職場環境、挙句、上司からセクハラ・・・
そのみどりの妹と出会った和也。彼は悪い仲間とトルエンを盗んだときの
不始末でヤクザに絡まれ、盗みの相棒は行方をくらまし・・・
こんな3人の、まったく別な物語があったのですが、ある日、ある場所で、
たまたま居合わせるのです。
こういったクライムノベルの構成というか展開として、例えば事件が起こ
って、逃げる側と追う側はスピーディーに描けるのですが、この話の主軸
となる3人の背景をじっくりと描くと、どうしても途中で「だれる」こと
がよくあります。ですが、ここがとても肉厚で描けていて、なんというか
「嵐の前の静けさ」感がよく現されています。
この3人が、じわりじわりと崖っぷちに追い込まれてゆき、さあ、あと数歩
で落ちちゃいますよ、飛び降りてみますか、死んじゃいますけど?といった
雰囲気作りが秀逸。
そして、締めくくり方もまた素晴らしいですね。
ザ・プール」の精神科医、伊良部シリーズがいちばん有名でしょうか。
ユーモラスとシリアスの配分が素晴らしく、とても上手だな、という
印象を持っていました。
そんな奥田英朗のデビュー2作目『最悪』は、ゴリゴリのクライム・
ノベル。
町工場の社長、川谷は、取引先からの無理難題や近所からの騒音苦情に
日々悩み、なんやかやで自分の工場には分不相応と思われる高額の機械
を入れることになったのですが、銀行の担当者から、融資の打ち切りを
言い渡され・・・
その銀行の窓口業務で働くOLのみどり。家に帰ってこない妹、未来の
見えない職場環境、挙句、上司からセクハラ・・・
そのみどりの妹と出会った和也。彼は悪い仲間とトルエンを盗んだときの
不始末でヤクザに絡まれ、盗みの相棒は行方をくらまし・・・
こんな3人の、まったく別な物語があったのですが、ある日、ある場所で、
たまたま居合わせるのです。
こういったクライムノベルの構成というか展開として、例えば事件が起こ
って、逃げる側と追う側はスピーディーに描けるのですが、この話の主軸
となる3人の背景をじっくりと描くと、どうしても途中で「だれる」こと
がよくあります。ですが、ここがとても肉厚で描けていて、なんというか
「嵐の前の静けさ」感がよく現されています。
この3人が、じわりじわりと崖っぷちに追い込まれてゆき、さあ、あと数歩
で落ちちゃいますよ、飛び降りてみますか、死んじゃいますけど?といった
雰囲気作りが秀逸。
そして、締めくくり方もまた素晴らしいですね。