この作品は、山本一力作品にたびたび登場する、深川の料亭「江戸屋」
の4代目女将、秀弥の幼少時代から女将を継いで、という作品。
江戸屋では女将が代々「秀弥」を襲名するならわしで、玉枝(のちの4代目)
の母親は3代目秀弥です。
店の切り盛りが忙しく、娘の玉枝を踊りの師匠のところに預けて、躾や
もろもろを春雅という師匠に教わります。
お正月といっても年明けの夜中に」母と雑煮を急いで食べるだけ、女の子
にとっての一大行事のひな祭りもよその子は着物を着させてもらってお母
さんに手をひいてもらってお参りに行くのを、なんで自分はさせてもらえ
ないのだろうと悲しくなります。
「つらいときは好きなだけ泣いてもいい、でも自分を可哀相といってあわれむ
のはいけない」
と師匠から教わるのですが、まだ小さい玉枝には、同じ泣くでもつらいときと
自分を憐れむの違いがいまひとつ分からないのですが、それでもきつい仕事を
頼まれても泣くのを我慢します。
さて、そんな玉枝も厳しい修行から数年、母の3代目秀弥に連れられてお得意先
まわりに行くように。
まだ8つか9つなのに、4代目としての器量の片鱗を垣間見せたりして、まわり
の大人たちを驚かせます。
ある日、一見さん3人が江戸屋を訪れます。自分は干鰯(ほしか)問屋の者で、江戸
でも有名な干鰯問屋の名前を出し、そこの紹介で来た、というのです。
身なりも口調もしっかりしているし、下足番は店に上げます。
仲居頭も安心して接客をし、こんど30人の寄合をえどやで開きたい、と予約を
承諾します。
が、玉枝だけは、この3人を怪しいと見抜くのですが・・・
冒頭で「すでに四十路をすぎた」とありますが、他の作品でも4代目秀哉は独身。
ですが、ちょっとした恋の話も出てきます。
そのお相手は武家のお侍さんで、料亭の女将と武家ではしょせん叶わぬ恋なので
すが、ちょっとほろ苦いエピソード。
そこでちょっと気になったのが、「損料屋喜八郎」シリーズに出てくる喜八郎と
4代目秀弥は、お互い惹かれあってはいるものの、どっちからもはっきりとした
態度を出さず、まわりをやきもきさせるのですが、『梅咲きぬ』での秀弥と武家
の辛いお別れは寛政二(1789)年となっていて、「赤絵の桜」での、まわりが
ちょっと仕組んで秀弥と喜八郎をくっつけてやろうとする話はその翌年。
ん?秀弥って武家と喜八郎を秤にかけて・・・と、まあちょっと思いましたが。
の4代目女将、秀弥の幼少時代から女将を継いで、という作品。
江戸屋では女将が代々「秀弥」を襲名するならわしで、玉枝(のちの4代目)
の母親は3代目秀弥です。
店の切り盛りが忙しく、娘の玉枝を踊りの師匠のところに預けて、躾や
もろもろを春雅という師匠に教わります。
お正月といっても年明けの夜中に」母と雑煮を急いで食べるだけ、女の子
にとっての一大行事のひな祭りもよその子は着物を着させてもらってお母
さんに手をひいてもらってお参りに行くのを、なんで自分はさせてもらえ
ないのだろうと悲しくなります。
「つらいときは好きなだけ泣いてもいい、でも自分を可哀相といってあわれむ
のはいけない」
と師匠から教わるのですが、まだ小さい玉枝には、同じ泣くでもつらいときと
自分を憐れむの違いがいまひとつ分からないのですが、それでもきつい仕事を
頼まれても泣くのを我慢します。
さて、そんな玉枝も厳しい修行から数年、母の3代目秀弥に連れられてお得意先
まわりに行くように。
まだ8つか9つなのに、4代目としての器量の片鱗を垣間見せたりして、まわり
の大人たちを驚かせます。
ある日、一見さん3人が江戸屋を訪れます。自分は干鰯(ほしか)問屋の者で、江戸
でも有名な干鰯問屋の名前を出し、そこの紹介で来た、というのです。
身なりも口調もしっかりしているし、下足番は店に上げます。
仲居頭も安心して接客をし、こんど30人の寄合をえどやで開きたい、と予約を
承諾します。
が、玉枝だけは、この3人を怪しいと見抜くのですが・・・
冒頭で「すでに四十路をすぎた」とありますが、他の作品でも4代目秀哉は独身。
ですが、ちょっとした恋の話も出てきます。
そのお相手は武家のお侍さんで、料亭の女将と武家ではしょせん叶わぬ恋なので
すが、ちょっとほろ苦いエピソード。
そこでちょっと気になったのが、「損料屋喜八郎」シリーズに出てくる喜八郎と
4代目秀弥は、お互い惹かれあってはいるものの、どっちからもはっきりとした
態度を出さず、まわりをやきもきさせるのですが、『梅咲きぬ』での秀弥と武家
の辛いお別れは寛政二(1789)年となっていて、「赤絵の桜」での、まわりが
ちょっと仕組んで秀弥と喜八郎をくっつけてやろうとする話はその翌年。
ん?秀弥って武家と喜八郎を秤にかけて・・・と、まあちょっと思いましたが。