晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宇江佐真理 『涙堂 琴女癸酉日記』

2015-12-05 | 日本人作家 あ
ちょっと前ですが家でぼーっとテレビのニュースを見てたら、宇江佐真理さん死去という文字を見て、驚きました。
「髪結い伊三次」シリーズも、その他作品も、まだ半分も読んでないので、まだ未読の作品をこれから心して読みます。

この主人公、お琴は、息子で絵師の賀太郎と、日本橋通油町に暮らしています。近所にはお琴の幼なじみで絵草紙問屋、藤倉屋の伝兵衛や、医者の清順がいて、なにかと話し相手になってもらっていますが、しかしどうにも町人との近所付き合いは時に鬱陶しく・・・

というのも、お琴は北町奉行所の同心、高岡鞘負の妻でした。長男の健之丞は父のあとを継ぎ同心見習いに、そして三人の娘はそれぞれ町方役人に嫁いでいます。五人の子のうち、末っ子の賀太郎だけが、父の仕事とは関係のない絵師に。鞘負は、泥酔し、どこかの浪人に斬られて殺されたというのです。

夫の突然の死にいつまでも気落ちしてもいられず、子たちは、これまでの生活をがらりと変える意味でも賀太郎といっしょに暮らすのがいいと・・・

若くして歌川派の人気絵師となった賀太郎。ようは忙しい賀太郎の「家事手伝い」なのでした。

そんな賀太郎は、ひょんなことから駕籠屋の女主人、子持ちで未亡人のお冴と恋仲になります。よりによって年上の、しかも子持ちで未亡人と、とお琴はがっかり。

さて、夫の死に不審を抱いているのは、お琴だけではなく、五人の子も同じで、彼らは父の死の謎を解こうとしますが、調べていくうちに、町方役人の汚職問題に父が関係しているらしく、ならばどこぞの浪人に殺されたのではなく、謹厳実直な父が汚職を知ったので、口封じのために・・・?
そうなると、息子や娘たちの夫も、調べていくうちに危険が・・・

鞘負の手下だった元岡っ引き、今は汁粉屋の伊十は、鞘負の死後すぐに十手を返上しました。あれだけ忠実だった伊十ももしかして・・・?

市井の暮らし、それから同心の謎の死を追うミステリー、1冊で2倍楽しめます。

ご冥福をお祈り申し上げます。

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