また、池波さんのシリーズものではない作品を数冊
買ってきました。
これで当分は「池波ロス」にならずにすみそうです。
江戸、深川の煙管師、源助の仕事場に、ひとりの浪人
がやってきて、煙管を買ってくれと言います。
しかし、源助は職人であって故買ではないので、
「他へ行ってくれ」と断りますが、それでも「たのむ」
としつこく、そしてついに浪人は逆上して、源助を
斬ってしまうのです。
この浪人、堀辰蔵は、越後のある藩の足軽の息子で、
父を殺した相手を探している「敵討ち」の身なのです。
敵を探して十六年、まだ見つかりません。
職人を斬ってしまって自分でも「とんでもないことを
してしまった」と思い、逃げて、原っぱに横たわり、
疲れて眠ってしまいます。
すると、四人の男が辰蔵を囲み、小便をかけてくる
ではありませんか。怒る辰蔵ですが、四人の男の
ひとりで「先生」と呼ばれている袴をはいた男に
峰打ちを当てられて意識を失います。
ですが、この袴の浪人、辰蔵を自分たちの家に
運べと他の男らに命じるのです。
この袴の浪人、三井覚兵衛といい、辰蔵を助けた
のは「使える」と見込んだからなのですが・・・
さて、いきなり斬り殺された煙管師、源助には
(お道)というひとり娘がいます。
あれから、地元の御用聞きの佐吉が犯人探しを
してくれていますが見つからず、お道は、紹介
で下女奉公に出ます。
その奉公先は薬種問屋、伊勢屋の主人の妾宅。
ある雨の日、伊勢屋の主人が妾宅に来ていると、
いきなり戸が開き、男が入ってきて、伊勢屋の
主人と妾を斬りつけます。
この出来事にお道は気を失います。
男は倒れてる下女を見つけ、顔を見ると(ここに
いるとは・・・)と。
そう、この男とは、堀辰蔵だったのです。(犯人は
現場に戻る)という老刑事の格言ばりに、辰蔵は、
あれから何度か自分の殺した煙管師の家の近くに
行き、お道を見ていたのです。
不幸続きのお道は、佐吉親分の女房が女将をして
いる料理屋(万常)で女中として働いていると、
浅草にある小間物問屋の若松屋長兵衛の妻、お徳が
やって来て「あの子を若松屋で奉公させたい」と、
お道をヘッドハンティングに。
ですが、噂によれば若松屋はお徳が大変(厳しい)
人で、息子は三回も離婚していて、三度とも嫁が
お徳にいびられて出ていってしまった、と・・・
これには佐吉の女房も心配して、お道を若松屋に
出すのをためらいます。
ところで、あれから辰蔵は、(いっぱしの)殺し屋、
つまり「仕掛人」となっていて、伊勢屋の主人と妾の
殺害も三井覚兵衛の「依頼」を受けてのことで、
辰蔵はしばらく江戸を離れていて、久しぶりに江戸に
戻り、三井覚兵衛と会い、酒食と話し合いのために
ふたりが立ち寄ったのが(万常)だったのです。
そこで辰蔵は、数年前に自分が殺した煙管師の娘が
この料理屋の女中にいるのを見つけ・・・
お道は、なんだかんだで若松屋で女中奉公すること
になります。
一方、辰蔵は「仕掛人」としての実力を上げていき
ます。
このまったく境遇の違うふたりが、間接的に、または
直接に関わってくるのですが、まあ古今東西こういった
小説や芝居はあって、これを(ご都合主義)とか(物語的)
と一蹴するのはあまりに勿体ないのです。
読者は、虚構は虚構として楽しむ「スタンス」というのが
必要で、また作者の側はそれをいかに楽しませるか、この
勝負というか駆け引きが読書の醍醐味といえます。
この作品を読んでいて、まったく(ご都合的な)とは思い
ませんでした。お道の話から辰蔵の話に移動するとき
のジョイント部分といいますか、この切り替えが自然で、
別の話を(一話)に感じさせます。
辰蔵に「仕掛け」を依頼する三井覚兵衛ですが、さらに
その上にいるのが(暗黒界の大物)、羽沢の嘉兵衛。
この香具師の元締、鬼平にも藤枝梅安にも出てきます。
さらに「闇の狩人」にも出てきて、たしか「闇の狩人」
では、殺された、あるいは数年後に殺されるという設定
になっていた記憶があるのですが。
そういえば、辰蔵が売ろうとした煙管は(後藤何とやら)
の作、とありましたが、あれ、これは?と思い、「鬼平
犯科帳」を読み返して見たら、平蔵が愛用していた(父の
形見)と同じ、京都の名工、後藤兵左衛門作でしょうか。
平蔵の煙管は特注でお値段はなんと十五両というんですから、
今でいうと200~300万円ぐらいしたんでしょうかね。
買ってきました。
これで当分は「池波ロス」にならずにすみそうです。
江戸、深川の煙管師、源助の仕事場に、ひとりの浪人
がやってきて、煙管を買ってくれと言います。
しかし、源助は職人であって故買ではないので、
「他へ行ってくれ」と断りますが、それでも「たのむ」
としつこく、そしてついに浪人は逆上して、源助を
斬ってしまうのです。
この浪人、堀辰蔵は、越後のある藩の足軽の息子で、
父を殺した相手を探している「敵討ち」の身なのです。
敵を探して十六年、まだ見つかりません。
職人を斬ってしまって自分でも「とんでもないことを
してしまった」と思い、逃げて、原っぱに横たわり、
疲れて眠ってしまいます。
すると、四人の男が辰蔵を囲み、小便をかけてくる
ではありませんか。怒る辰蔵ですが、四人の男の
ひとりで「先生」と呼ばれている袴をはいた男に
峰打ちを当てられて意識を失います。
ですが、この袴の浪人、辰蔵を自分たちの家に
運べと他の男らに命じるのです。
この袴の浪人、三井覚兵衛といい、辰蔵を助けた
のは「使える」と見込んだからなのですが・・・
さて、いきなり斬り殺された煙管師、源助には
(お道)というひとり娘がいます。
あれから、地元の御用聞きの佐吉が犯人探しを
してくれていますが見つからず、お道は、紹介
で下女奉公に出ます。
その奉公先は薬種問屋、伊勢屋の主人の妾宅。
ある雨の日、伊勢屋の主人が妾宅に来ていると、
いきなり戸が開き、男が入ってきて、伊勢屋の
主人と妾を斬りつけます。
この出来事にお道は気を失います。
男は倒れてる下女を見つけ、顔を見ると(ここに
いるとは・・・)と。
そう、この男とは、堀辰蔵だったのです。(犯人は
現場に戻る)という老刑事の格言ばりに、辰蔵は、
あれから何度か自分の殺した煙管師の家の近くに
行き、お道を見ていたのです。
不幸続きのお道は、佐吉親分の女房が女将をして
いる料理屋(万常)で女中として働いていると、
浅草にある小間物問屋の若松屋長兵衛の妻、お徳が
やって来て「あの子を若松屋で奉公させたい」と、
お道をヘッドハンティングに。
ですが、噂によれば若松屋はお徳が大変(厳しい)
人で、息子は三回も離婚していて、三度とも嫁が
お徳にいびられて出ていってしまった、と・・・
これには佐吉の女房も心配して、お道を若松屋に
出すのをためらいます。
ところで、あれから辰蔵は、(いっぱしの)殺し屋、
つまり「仕掛人」となっていて、伊勢屋の主人と妾の
殺害も三井覚兵衛の「依頼」を受けてのことで、
辰蔵はしばらく江戸を離れていて、久しぶりに江戸に
戻り、三井覚兵衛と会い、酒食と話し合いのために
ふたりが立ち寄ったのが(万常)だったのです。
そこで辰蔵は、数年前に自分が殺した煙管師の娘が
この料理屋の女中にいるのを見つけ・・・
お道は、なんだかんだで若松屋で女中奉公すること
になります。
一方、辰蔵は「仕掛人」としての実力を上げていき
ます。
このまったく境遇の違うふたりが、間接的に、または
直接に関わってくるのですが、まあ古今東西こういった
小説や芝居はあって、これを(ご都合主義)とか(物語的)
と一蹴するのはあまりに勿体ないのです。
読者は、虚構は虚構として楽しむ「スタンス」というのが
必要で、また作者の側はそれをいかに楽しませるか、この
勝負というか駆け引きが読書の醍醐味といえます。
この作品を読んでいて、まったく(ご都合的な)とは思い
ませんでした。お道の話から辰蔵の話に移動するとき
のジョイント部分といいますか、この切り替えが自然で、
別の話を(一話)に感じさせます。
辰蔵に「仕掛け」を依頼する三井覚兵衛ですが、さらに
その上にいるのが(暗黒界の大物)、羽沢の嘉兵衛。
この香具師の元締、鬼平にも藤枝梅安にも出てきます。
さらに「闇の狩人」にも出てきて、たしか「闇の狩人」
では、殺された、あるいは数年後に殺されるという設定
になっていた記憶があるのですが。
そういえば、辰蔵が売ろうとした煙管は(後藤何とやら)
の作、とありましたが、あれ、これは?と思い、「鬼平
犯科帳」を読み返して見たら、平蔵が愛用していた(父の
形見)と同じ、京都の名工、後藤兵左衛門作でしょうか。
平蔵の煙管は特注でお値段はなんと十五両というんですから、
今でいうと200~300万円ぐらいしたんでしょうかね。