晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

万城目学 『とっぴんぱらりの風太郎』

2017-12-17 | 日本人作家 ま
寒いですね。

毎度おなじみ、更新頻度がとても遅いことについて。
暑けりゃ暑いで「本を読む気にならない」と駄々をこね、
じゃあ寒いんだからさぞかし読書も捗りますなあと自分に
皮肉を言ってもしょうがないですが、たとえば病院など
待ち時間が長くなる場合は本を持って行って読んだりする
のですが、待合ロビーがとっても気持ち良い温度でヌクヌ
クしてきまして、ヌクヌクとくれば次はウトウトでしょ、
ってなもんで、持っていた本を床に落としてバサッという
音で「ハッ」と目を覚ます、なんて状態。

ま、そんな与太話はさておき、この作品は戦国末期の忍者
の話です。そういえば去年の大河ドラマの「真田丸」、ツ
イッター上では盛り上がっていたそうですがその中にある
歴史マニアみたいなオッサンがなにかと「これは史実と違
う」などと難癖をつけていて、気になったある人がその人
の過去のつぶやきを見てみたら「なぜ真田十勇士を出さな
い」と怒っていたようで、まったくニントモカントモ。

場所は伊賀。風太郎という忍者が、城に侵入しようとして
います。南蛮育ちの(黒弓)という仲間の忍者の協力もあって、
天守閣まで登ります。ですがこれ、試験。

「柘植屋敷」という忍者学校では落ちこぼれだった風太郎。
ミスは死という過酷な状況でも生き残ったのですから、よく
いう「強いものが生き残るのではない、生き残ったものが強
いのだ」で、悪運は強いようです。というのも柘植屋敷が火
事で全焼したさい、持ち前の「肺の強さ」で救出されます。

なんとか天守まで登りますが、試験のルールとして「城は傷
つけない、警固の侍は殺さない」というのを破ってしまい、
御城の殿、藤堂高虎は激怒、忍者を統括する采女様は「風
太郎はお堀に落ちて死にました」ということにして、伊賀
から出ていけと命令されます。

それから一年半。京の都のあばら家に住んでいる風太郎の
もとに、黒弓が訪ねてきます。黒弓は現在は商人をしてい
て、公家相手のビジネスで京に来て、風太郎に仕事を紹介
します。それはひょうたん屋で働くこと。
夜、黒弓が置いていったひょうたんから謎の老人が出てき
て、風太郎に話しかけます。「因心居士」と名乗っていま
すが、どういうことなのか。

風太郎は、ひょうたんを売りに出かけたり、ひょうたんの
栽培もはじめます。しかし、伊賀から出ていけと言われた
ものの、忍びの仕事に戻りたいという希望は捨てきれてい
ません。

戦国時代も終わり、太閤秀吉の死後、江戸の徳川家康さん
が天下取りレースの優勝者となりますが、大坂ではいまだ
豊臣の残党が踏ん張っていて、家康もかつては秀吉の部下
だっただけに自分から豊臣勢をぶっ潰すというのも今後の
イメージ悪化になるので様子をうかがっているところに、
例のお寺の鐘に彫った一文に「国家安康」と自分の名前が
分割されてると現代のクレーマーも真っ青な言いがかりで
大坂の陣がはじまります。

一方、風太郎はひょうたん屋での仕事と因心居士からのお
願いで向かった先は、なんと高台院。またの名を(ねね)、
秀吉の奥さん、秀頼のお母さんですね。
さらにビックリ、そこにいたのは(常世)という忍者。
じつは常世は伊賀の采女様の命で、大阪城の奥に侵入して
情報収集をしていたのです。

そこで常世から、謎の依頼が。ひさご様という、さる
「やんごとなき」お方が、京の祇園祭りを見物したい、
さらに京の街もブラブラしたいというので、その御供に
とお願いされます。前から常世に片想いだった黒弓も
誘ってひさご様を街へ連れ出すと、そこに浪人集団が
現れてひさご様と3人の御供は囲まれます。
「こいつらただの狼藉者ではなくて、忍びだ」とすぐに
見抜きますが、なぜひさご様が狙われているのか・・・

忍者に戻って忍びの仕事をしたかった風太郎でしたが、
高台院様に会って心が揺らぎます。というのも伊賀の
領主の藤堂家とは、現在は徳川家の家臣。忍びに戻る
ということは豊臣側の敵になります。

さらに因心居士から、じつは自分は対の存在で、その
片割れは大阪城にいる「果心居士」だといい、ぜひとも
大阪城に連れて行ってくれと・・・

どうしても世代的に忍者といえばハットリくんになって
しまうのですが、実際は、他国に侵入して、足軽や百姓に
変装して情報収集や嘘情報の流布などがメインの仕事だっ
たそうで、でもどこかで「いやいや忍者といえば手裏剣に
水遁の術、煙に巻かれてドロンでしょ」と思ってしまいます。
コメント
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