晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

大沢在昌 『炎蛹』

2012-08-25 | 日本人作家 あ
だいぶ遅ればせながらですけど、「新宿鮫」にハマって、シリーズ5作目、
まできました。

今回、鮫島が追っているのは、家電などの窃盗品密売グループで、ジョー
というイラン人。
張り込んでいて、ジョーたちの車は都内を北上し、埼玉県にある倉庫に。
するとそこに、中国語らしい叫び声とともに男たちが襲撃。倉庫の中から
銃声が聞こえ、鮫島は応援を要請。

駆けつけた埼玉県警と鮫島は、ジョーの死亡を確認、アジと呼ばれていた
男は重傷で病院に搬送。一方、襲ったのは中国の福建のグループで、主犯格
は逃走。

そんな大捕物とは別に、新宿のホテル街でコロンビア人娼婦が殺害され、
さらに一件のラブホテル火災が発生します。
エレナ・マリア・ロハスを殺したのは、「サンディ」という娼婦に恨み
を持っていた男が間違えて別の娼婦を殺してしまったのですが・・・

さて、鮫島のもとに、消防庁の吾妻が訪ねてきます。新宿でおきたラブ
ホテル火災は、じつは最近都内のあちこちで多発しているというのです。
無線で時限発火装置をホテルの部屋に隠すという、新手の放火。

放火犯が娼婦を殺したのか?すると、新宿署に電話が。村上と名乗る男
は鮫島に会って、例の埼玉の事件の主犯格を知りたいのでファミレスで
待っていると言ってきます。
しかし、そのファミレスに村上という男は現れません。

そうこうしているうちに、今度は歌舞伎町のアパートでまた外国人娼婦が
殺されたのです。
被害者のリタという女性は、つい最近日本に来たばかりで、このアパート
に住むサンディのもとに居候していて、そのサンディとヒモの男は行方が
つかめず。
部屋に入ると、そこにはジョーが捌いていた家電がズラリ。サンディのヒモ、
モハムッドという男が「ジョー」なのか・・・

そこに、農水省の横浜植物防疫所の甲屋という男が入ってきます。甲屋の話
によると、リタの姉アナが成田の税関でコカイン所持に引っかかり、所持品
を調べていると、民芸品のようなものを持っていて、そこにイネの害虫の卵
が付いていたというのです。
その害虫は「フラメウス・プーパ」というゾウムシの一種で、南米の一部で
イネの被害が出たとのことで、まだ日本には入っていない大害虫。
なんでも繁殖力が尋常ではなく、もし卵が孵ってしまったら、とんでもない
被害が発生するらしいのです。
そして、この民芸品はリタも持っていたらしいのですが、部屋にはリタの荷物
は無く、サンディとモハムッドが持って逃げたらしく・・・

ラブホテルの連続火災の犯人は何者なのか、サンディを追って人違いで2人も
女性を殺害した男は何者なのか、そして害虫の卵はどこに・・・

別々の話のようですが、それぞ小さな接点でつながっていて、まるで雑多な
新宿という街をあらわしているよう。

消防庁の吾妻、農水省の甲屋、そして埼玉県警(ちょっとだけですが)の捜査一課
の人。このシリーズに出てくる別の組織は、たいてい鮫島の邪魔をしたりするの
ですが、今回はむしろ味方というか彼の良き理解者となっています。


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