晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

池井戸潤 『七つの会議』

2020-07-11 | 日本人作家 あ
去年から今年にかけて、なんだかすごい「激動」ですね。個人的にも、といってもまあ小さなことですが、去年から今年にかけていろいろと動きがあってなにかと大変ですが、代り映えのしない日々をだらだらとやり過ごすよりはいいかなと。おかげで気持ちは若返ったような気がします。

さて、池井戸潤さん。
テレビに映画に、もうひょっとしてすべての作品が映像化するんじゃないかというぐらいの勢いですね。ちなみにこの作品も映画化しましたね。

大手総合電機メーカー「ソニック」の子会社で「東京建電」という中堅企業。ここで、ある奇妙な人事異動が。営業部のエース、坂戸が(人事部に飛ばされる)というのです。その理由というのは部下へのパワハラ。しかし部下といっても先輩。八角という、出世街道から外れた万年係長で、居眠りはするわ、ふらっと消えて帰ってこないわ、そりゃ切れ者の坂戸からしたら八角に対する態度ははじめこそ多少は遠慮気味の注意だったのが、最近は遠慮なく声を荒げて叱責。

ある日。坂戸がパワハラ委員会にかけられるという噂が。訴えたのは、まさかの八角。それまでは坂戸からガミガミ叱られても(馬の耳に念仏)のごとく平然と受け流していたように見えていたのですが、根に持ってたのか・・・

そこで新しく営業一課の課長に就任した原島。

舞台は変わって、町工場の「ねじ六」。名前の通りネジを作っています。しかし、東京建電との契約が切れてからは赤字続き。ある日のこと。ねじ六に新しい営業一課長の原島がやって来ます。話を聞けば、以前の坂戸という課長はどこかに異動したそうで、原島は「またねじ六さんのネジを使いたい」と言うのです。
増産体制に入ったねじ六は、おかげで資金繰りもどうにかなりそう。しかし社長にはどうにも解せません。というのも、前任の課長からバッサリと切られた契約をなぜまたすんなりと再開させたのか。しかし原島は具体的には教えてくれませんでした。ふと、社長は、原島が持ってきたネジを見つけ、それを手にすると・・・

ふたたび東京建電。経理課の新田は、営業一課で行われた部品の仕入れ先の変更が気になりますが、営業部の人間に聞いても「そんなの経理に関係ないだろ」とけんもほろろ。これはあやしいと思った新田は独自調査に。営業部のエースだった坂戸が突然(飛ばされた)あの不可解な人事もなにか関係あるのではと思った新田は、とうとう八角に直に質問。すると「あまりこの件に首をつっこまないほうがいいぞ」と言われます。そんな脅しに屈するものかとさらに調べを進めようとした新田に「大阪に行って営業をやってもらう」という辞令が・・・

いったいこの会社で何が起こっているというのか。ひた隠しにしている「秘密」とは・・・

この「本筋」に、社内でドーナツ販売をはじめようとする女性社員の話や、カスタマー室(クレーム処理)の話、ソニックと東京建電との関係性などが「会議」というキーワードで繋がっていきます。
そして、合い間合い間で語られる、登場人物の背景。
この組織の中における人を「人」としてきちんと描く、というのは、池井戸潤さんの作品に共通していますね。

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