晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

岡崎琢磨 『珈琲店タレーランの事件簿』

2015-12-12 | 日本人作家 あ
この作品は、第10回「このミステリーがすごい!」大賞の「隠し玉」として世に出たもので、大賞ではなかったけど埋もれてしまうのは惜しいので、改訂して出版しよう、というもの。

タイトルの「タレーラン」とは、世界史でフランス革命からナポレオン時代を生きた外交官であり政治家。で、このタレーランが残した言葉に「良いコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、そして恋のように甘い」というのがあるそうで、これがこの物語に登場する喫茶店の店名になった、と。

京都に住む大学生のアオヤマは、恋人と喧嘩し、彼女を追いかける途中で、奥まった小路にある喫茶店を目にします。
とりあえず入ってみると、店名と店の雰囲気からすると気難しそうなお爺さんがやっていそうに想像したのですが「いらっしゃいませ」と若い女性。
ホットコーヒーを頼み、飲んでみると、衝撃が走ります。これぞまさに理想の味・・・!
そこで携帯が。喧嘩した彼女から。アオヤマは財布を落としたらしく、それを拾った彼女が「はやく追いかけてこい」と。
アオヤマは後で必ず払いますからと自分の連絡先を店員に渡し、店を出ます。

こんな始まり。
女性店員、切間美星は、謎解きが好きで、日常の些細な疑問を名探偵のように解決します。そして、喫茶店の奥に座っているのが、オーナーで美星の大叔父の藻川又次。

物語の序盤は、誰かが殺されたとか、なにかが盗まれたとかいう事件らしきことは起こらず、ただ日常のちょっとした出来事を解決する、といった、探偵「ごっこ」的な感じなのですが、少しずつ美星の過去のトラウマが明らかになってゆき、アオヤマの身に危険が・・・

個人的にコーヒーが好きで、自宅でドリップで淹れたり、エスプレッソも粉を買ってきて直火式で作ったりするので、珈琲の薀蓄がミステリーの要素を抜きにしても楽しめました。
あとはこの作品の舞台となっている京都にちょっと行ったつもりになれるので、それも楽しめましたね。

すでにシリーズで4巻まで出てるらしいので、早く読まなければ・・・

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