晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宇江佐真理 『髪結い伊三次捕物余話 雨を見たか』

2020-12-19 | 日本人作家 あ
冬ですね。

もはや本筋に入る前のどうでもいい話すらどうでもよくなってしまいました。じゃあそんなこと書かずにいきなり本筋から書き出せばいいだろって話なのですが、それだとあまりにも味気ないので、まあせめて時候のあいさつぐらい。

さて、髪結い伊三次シリーズ。ずいぶん久しぶりに読みました。当ブログで調べたら前の巻の投稿が2019年2月。

おおまかなあらすじを。
伊三次という髪結いはフリーランスの髪結い。しかしこれは法律違反だったのですが、江戸町奉行の同心、不破に見逃してもらうかわりに毎朝不破の頭を結うこと、さらに同心の手先つまり岡っ引きの真似事(十手は預かってないので)をやらされることに。伊三次には深川芸者のお文という恋人が。やがてふたりは結婚、子もできますが、伊三次の安給料では食べて行けず共働き・・・

江戸町奉行の与力、同心という職業、公式には「一代限り」なのですが、実際は代々継いでいます。とはいえちなみにですが、平岩弓枝さんの「御宿かわせみ」シリーズでは宿屋の女将(るい)の「鬼同心」といわれた父親が亡くなって廃業、娘のるいは宿屋をオープン、恋人の東吾は兄が与力で子がいないので自分が与力継承権第一位なのでるいと結婚できずにズルズル引っ張っていました。

前作から不破の息子の龍之進含む6人の同心見習い(研修期間でこの期間は無給)がならず者集団の「本所無頼派」との対決を描いていて、今作もそれを中心にお届け。

「薄氷」
伊三次はまだ若い女の子に「わたしを買わない?」と売春を誘われます。心配になった伊三次は彼女を家に招き入れ話を聞くと名前はおよし、年齢は13歳。親の借金で遊女にされるので、予行練習で伊三次に声をかけたのでした。数日後、不破の娘が行方不明に。しかにすぐに娘は見つかりますが、なんとその手引きをしたのがおよしで・・・

「惜春鳥」
ある夜、お文が呼ばれた宴会の席で、一人の客が「年増なのにご苦労だね」「付き合いとはいえこんな宴会出たくない」と文句を垂れます。ところが後日、また別の宴会でその嫌味な客に会いますが「先日はすみませんでした」と。話は変わり「本所無頼派」の犯行と思われる事件が起こり、龍之進らは捜査しますが、そのときお文の口から「そういえば、先日の宴会の帰り、走ってた男を見た」と・・・

「おれの話を聞け」
龍之進の仲間で同心見習いの一人には姉がいるのですが、不治の病で実家に戻されています。そこに姉の夫で同心が来て「離婚はしたくない」と表明しますが・・・

「のうぜんかずらの花咲けば」
同心見習いの宿直の夜、岡場所の取締りがあり、何人かの遊女が捕まって、奉行所の牢屋に入れられます。しかし、そこに龍之進の見知った女が。ところが龍之進には別の心配事が。それは先輩の梅田という同心が遊女たちを狙っていて・・・

「本日の生き方」
呉服屋が襲われた事件は、同心見習いが「本所無頼派の仕業に違いない」と調べてはいますが、決定的証拠は見つからず。そんな最中にも辻斬りが頻発。そんな中、龍之進と、やはり同心の息子である緑川のふたりが勝手に寄りのパトロールに・・・

「雨を見たか」
龍之進は、父と仕事の話で「無罪で裁きを受けたという人も中にはいるのでしょう」と聞きます。そのとき不破の脳裏に浮かんだのは、職人の男が大家を殺害し金を盗んだという事件で、あのときの職人の男の「おれはやってねえ、旦那、助けてくれ!」という叫びが・・・

このシリーズでは、タイトルに曲名がつくことがあります。シリーズ5作目「黒く塗れ」は、ローリング・ストーンズの楽曲。これに関しては、作者の宇江佐真理さんがあとがきで解説されていました。
今作でも、曲名ではありませんが「おれの話を聞け」は、きっとクレイジーケンバンドのアレですよね。そして「雨を見たか」は、CCRの「Have you ever seen the rain」なのでしょうか。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 安部龍太郎 『等伯』 | トップ | ジェフリー・ディーヴァー ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日本人作家 あ」カテゴリの最新記事