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2006年/日本/130分
監督:中島哲也
出演:中谷美紀/瑛太/伊勢谷友介/香川照之/市川実日子
ミュージカルのように音楽、歌を多用しているのが、悲惨な松子の人生をそれ以上どよ~んとさせない。そして、ヴィヴィッドな色彩の画面、とんがった色の洪水。
父親の愛情が欲しかった松子が、中学教師となりそしてあれよあれよという間に転がり落ちていく。
全編を通じていつも精一杯に与え続け、尽くし続ける松子に胸をつかれる。なんだかんだといってもすべてゆるし、受け容れ流されて生き死んでいった松子。そんな松子の背後にはいつも川がある。川はきらきら色んな表情を見せ、その時の気分を映し出す。そして、それを眺める松子の背中と、松子が何者であったかを探す甥っ子の笙の背中の向こうにとうとうと流れる川が美しい。
実はもう観てから2週間以上経っているのだが、「松子」というとあの溢れる色彩と切なさを思い出す。