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「新編 銀河鉄道の夜」
宮沢賢治 著
やっと読み終わりました。宮沢賢治の3冊目。賢治君の代表作「銀河鉄道の夜」ほか「双子の星」、「よだかの星」、「セロ弾きのゴーシュ」など、よく知られた童話が14編、収録されています。
「銀河鉄道の夜」は、途中の展開の美しさに比べて、終わり方が僕にはあっさりと感じられて、少し意外でした。ひょっとしたら、あのラストの時点では、ジョバンニは、ただただ混乱していたのかもしれませんが。
今回、一番の気に入りは「セロ弾きのゴーシュ」。ラストの一言は非常に印象的でした。
あとは「シグナルとシグナレス」のラストの二人の嘆息や「オツベルと象」と「猫の事務所」の破壊的な終幕など、ハッピーエンドではないラストが、今の僕には、正直しっくりくる感じがします。一方で「ビジテリアン大祭」の、菜食主義を巡るユニークなディベートには、大いに楽しませていただきましたが。
前回の「注文の多い料理店」でもそうでしたが、賢治の童話は死が身近です。ラストも必ずしもハッピーエンドではない。主人公の願いがかなわずに終わる物語の、後に残る余韻が尾を引きます。だから、むしろ、大人が読んだ方が面白い作品なのかもしれません。