星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

ケロウナ便り(59) 横断歩道

2007年06月29日 10時35分15秒 | Weblog

運転者の注意を喚起するとともに、車に徐行ないしは停止して「もらう」ために、日本では歩行者が手を挙げて横断歩道を渡る習慣があります。それを無視してすっ飛ばすマナーの悪いドライバーもいるので、横断歩道を渡っても安全かどうかを歩行者が確認しながら注意深く渡っているとういのが実情だと思います。こちらが横断歩道に入って明らかに歩き出そうとしている姿を見ていながら、一向にスピードを落とさない悪質なドライバーには、懲らしめのために、こちらもわざと早足で横断するようなフェイントをかけてやることがよくあります。焦って急ブレーキを踏み、こちらを睨みつけますが、こちらも睨み返しながら運転マナーを教えてやっています。ある意味「命がけ」の指導です。

カナダでは人が横断歩道に入ったら(横断歩道に入ろうとしていたら)、横断を始めていなくても車は止まることが道路交通法で義務付けられています。つまり、運転者は横断しようとする人がいるかどうかに常に注意を払い、横断しようとする人がいたら必ず停止して、決して歩行者の邪魔をしてはいけないのです。

交通量の多い道路でも安全に横断するための横断歩道ですが、そこまで行くのが面倒くさいので、適宜判断して歩道以外の場所で自己責任のもとで横断しているのは日本でもカナダでも同じことです。

横断歩道を巡る「異文化の衝突」のお話です。

午後9時半を過ぎても「薄暮」より明るさの残る真夏のケロウナ。ゴルフ場に沿って住宅の並ぶリゾート内の道路。我が家に向かって左折する丁字路近くで4~5人の男女がブラブラ散歩しながら横断しているらしい姿を手前から認めました。横断歩道ではありません。二人は急ぎ足に横断したものの他は左側に残っています。「車が来るから早く渡ろう」というはっきりとした横断の「意思」が感じられません。私の車をやり過ごすために横断を中断したようなので私は徐行しながら左折しました。ルールに叶った行動で、非の打ち所がありません。

すると、左折している私の車にゴルフクラブを二本持った爺さんが近づいてきてクラブで車を叩きます。グリップ部分であったから損傷ありませんが、こちらもムッと来て車から飛び出し、道路を挟んでの異文化間コミュニケーションです。

Excuse Me?」(語尾を精一杯高く上げ、『おいおい、なんだっつうのよぉ!』)

We are crossing the road, don’t you see? 」(『横断してるの見えないのかよぉ?』)

No pedestrian’s crossing here! 」(『ここは横断歩道じゃねーじゃねーかよぉ!』

Are you going to kill us? (『汝は我等を殺す気なりや?』)

「ハア?(語尾上げ)アホらしい、くそ爺ぃ!バ~カ!」(英語が面倒くさいのと、表現方法に自信が無かったので、最後は日本語での捨て台詞でした。)

むかっ腹が収まった後の冷静な分析結果は次の通りです。

     横断歩道の無い道路での対処の仕方には、当方には落ち度は無く、違法行為は無い。

     交通量の多い一般道路とは異なるリゾート住宅地内の道路には「横断歩道」は無いものの、交差点には眼に見えない「横断歩道」があるとも解釈でき、交差点をブラブラ渡っていた連中を責めきれない。

     リゾート内道路でもあり、一旦停止して「横断させてあげる」ゆとりが欲しかった。法以前の道徳、マナーの範疇の問題。カナダ人なら停まったと思われる。

     爺さまは「自分なら停止して横断させてやる」状況で、停止しなかった車に怒りが爆発。但し、クラブで車を叩くのは暴力行為。この点はキッチリと言ってやる必要あり。

それにしても、とっさの一言は日本語でも難しく、「あの時ああ言えば良かった」と反省したり後悔したりするものです。同文化の中でのコミュニケーションでも難しいのに、上の分析内容を現場でとっさに英語で意思疎通しなければならない異文化コミュニケーション、難しいものですねぇ!


ケロウナ便り(58) 話せば分かる

2007年06月29日 00時42分43秒 | Weblog

ゴルフに関する今年の落ち着きぶりには我ながらビックリしています。去年は事前に納めた年会費の回収のためにシッチャ気になったということなのでしょうか、目の前に広がるコースのグリーンを見ても去年ほどガツガツと血が騒がないのです。けちな貧乏人根性なのでしょうか?

腕の調子も完全ではないし、去年ほどのペースではゴルフはやらず、滞在二年目の今年は他の楽しみも見つけ出そうと自分に言い聞かせてきたことも、この「落ち着き」に貢献しているようです。

とは言っても、ゴルフが中心の生活であることに変わりは無いので、早速会員権の相談にゴルフ場に行って来ました。バッグドロップエリアで働く若いアルバイトの坊や達を除くと、去年の顔見知りのスタッフが今年も残っていて、こちらの顔を覚えていて笑顔で挨拶に来てくれるのはなんとも気持ちのいいものです。それだけここに入りびたっていたと言うことなのでしょうね、去年の夏は。

去年はBear, Quail二つのコースを無制限に使える「正会員」だったのを、今年はBearだけを月曜日から木曜日に限定して利用する「週日会員」を試してみることにしました。正会員の年会費2350ドルに対して週日会員は年会費1640ドルと割安です。週末はゴルフ抜きも良し、よそのコースでプレーするも良しと選択の幅が広がります。昨年の「正社員」から今年は「パート社員」への切り替えみたいなものです。でも、仕事は仕事です。

7月~8月猛暑の時期の企画として昨年あった999ドルの「期間限定平日会員」の存続を期待して来たこと、シーズン開始から既に2ヶ月が過ぎていること、外国人はビザの関係でそうそう長期にも滞在できずシーズン最後までは居られないこと等を理由にそれなりの配慮は出来ないものかと相談したら、さすがカナダ、「おっしゃることは分かる。上とも相談しますが、私の権限で2割引かせてもらいます」と大人の対応。第一関門突破です!

とりあえず2割引で週日会員契約の手続き完了。でも、これで終わってしまうと「上とも相談」のネタがなくなってしまうではないか。何か上と相談する材料を考えてあげなくては、彼女の立場がありません。そこで私、返す刀で、「週末のプレーは去年ほどのペースではないが、皆無でもない。そこで相談だけどさぁ、上司と相談して何某かの週末優待券なんてのも考慮してくれない?わざわざ太平洋越えて来たんだしさぁ。来年も来るからさぁ。友達も来ると思うけどなぁ。 枚数は任せるけど”The more, the better”って感じ? 」

「週末招待券4枚を出させていただきます」と翌日電話が入りました。話せばわかる大人ですねぇ、カナダ人!