畑村洋太郎氏の、「失敗学」という本がある。
失敗学(しっぱいがく)または失敗工学とは、事故や失敗が発生した原因を解明し、(将来)経済的な打撃をもたらしたり人命に関わるような重大な事故や失敗が起きることを未然に防ぐための方策を追求する学問。
失敗の原因を究明し、同じ愚を繰り返さないようにするためにはどうすればよいか、という方策を追求・探求する学問であり、さらに、こうして得られた知識を社会に広めることで似たような失敗を起こさないための方策も探求する学問である。
失敗のすべてをオープンにする必要はないけれど、失敗を失敗として認め、繰り返さないためにどうするかをしっかり考えて対策すること。
多くの物ごとに挑戦するほど、当然失敗も増える。
失敗しないということは何も行っていないということでもある。
失敗は恥ずかしいけれど、失敗したということは多くのことを行ったということでもあり、それは誇りに思っていいこと。
失敗をなかったことにして、とにかく隠ぺいしようとすると、非常にまずいことになる。
それどころか、失敗を繰り返さないための対策を考えないことで、同じ失敗を繰り返す。
次第に、「これは失敗するものだ」と認識していく。
失敗が当然になっていき、「これが正しいやり方」と認識していく。
第二次世界大戦で、「特攻」を美徳とした結果、多くの命が失われた。
連合国は、「特攻」による失敗を学び、対策した。
未だに、「特攻」を美徳とする文化は残っている。
日本における、「当然」や「常識」は、失敗を失敗と認めずに、正しいやり方と認識している文化の名残が多い。
いまだに、部活動などで夏場の運動時に水分補給をしてはならないなどと指導し始めたら、パワーハラスメントやいじめと言われたり、実際にそれが原因で死人が出てもおかしくはない。
日本の労働関連法も20年前に比べて変化している。
基本となる労働法が存在していて、これは大きく変わってはいないものの、2008年(平成20年)に労働契約法が施行され、2012年と2015年に労働者派遣法が改正されている。
過去の失敗をもとに働く常識も変わっている。
ところがこの基本を知らずに、同じ失敗を繰り返しているのが、日本の会社でもある。
学んでいないんですよね。