会議すればすべて決定する。
果たしてそうだろうか?
事前に何も考えず、組織関係者を集めて合意形成することが重要?
ミーティングマネジメントの基本は、その前提を打ち崩す。
よく考えてほしい。
今、現代科学力と技術力の叡智を集めた最先端集積回路を開発しているとする。
一般人を集めた1時間の会議時間の中で、1億個以上実装される回路の、最も情報伝送距離が短い最適な配置と配線について、何も検討せず設計資料がない状態で結論は出ない。
結論が出ないという結論が出ることは確定できる。
そんな必要があるかわからないが、仮に国家問題として、全国民にフェルマーの最終定理の定義と解法の歴史を正確に理解する対策を国会で審議する。
全く専門家がおらず、何も資料がない中で一日議論しても結論は出ない。
事前に専門家のチームを集め、十分な調査をして、検討を行い、これであれば実施可能であるという計画や設計ができて、どうしても決まらない部分を検討するために、叡智を集めた会議を行えば、結論は出る。
そういった計画や設計がない状態で、専門家でもない人が集まって会議しても、まともな結論は出ない。
棒を立てて、倒れた方向に進む位の組織意識決定を、大量の人数と時間を消費して決めているようなものである。
じっくりと物事を作り上げる時間と、
組織的リソースを分配して勝負する交渉時間を、
同じように扱ってはならない。
決まった時間内に、これであれば勝てるという戦略計画を立案するのが優れた会議なのだけれど、何も考えず、ぼんやりと人を集めれば何かいいアイディアや結果が出るはずという、博打を打っている会議が実際には多いのですよ。
それを自分の仕事だとして、1日中会議をしている人は、コストカットするべき最優先候補である。
そんなものは、知り合いの噂話で盛り上がる井戸端会議と、生産性では大して変わらない。
棒倒しをして一瞬で方向を決めたほうが、遥かに業務を簡略化できる。
実際の大企業で管理職などという仕事をしている人は、この勘違いを平気でしているわけで、これを見て私は、
「真面目にやれ」
と思うのだけれど。
そのうえで優秀な人材が定着しないと嘆いているのだが、自分たちが自分たちの死ぬための墓穴を掘っている姿を見せ続けて、
「私達とともに進もう」
と言って付いてくる人などいないことを理解しなければならない。
それに付いてきたら本当に救いようがない。
20年ほど正社員として開発現場で働き、5年ほど派遣を行ったけれど、このような低レベルな組織が日本の企業を構成している事実を目の当たりにして、終身雇用など崩壊させたほうが良いとは思っていますよ。