20151003今日の一手
先月13日の名南将棋大会からMさんとSさんの対局です。
昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の銀歩得です。これは大きい。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒銀2枚。37桂も45桂とはねればすぐに使えます。
後手の攻め駒は22角76飛で2枚。77歩も働きそうですがまだ数えません。
総合すれば先手が優勢です。
大局観として
銀得ですが飛角がさばけていません。どちらか1枚でもさばく(交換するか敵陣に侵入するか)こと、あるいは持ち駒の銀を投入してでも2枚ともさばければ優勢をキープできます。
これくらい条件がよいと、いろいろな手が有効になってきます。この一手と思い込まずに、これもあるあれもあると比較して一番よさそうな手を選びましょう。
1手パスして後手から78歩成とされたらもう大変になりますから、この次の一手が大切です。
○ 実戦は(多分)87銀でした。
78歩成76銀68と71飛79と71飛
飛角と飛の交換で損しました。これでも角銀交換でまだまだですが、銀を打って敵陣に攻め込むまでに時間がかかります。逆転でしょう。
87銀78歩成には同飛です。
78同飛成同銀99角成
82飛73桂88角
これで飛角がさばけました。
88同馬同飛成44角77歩65桂
後手のねらいは66角です。受けて指すこともできますし、81竜から74角でカウンターで仕留めることもできそうです。
また、飛車を取り合った後、68のと金を角で払うのも普通でしょう。
99角成に77角
77同馬同桂79飛71飛
7筋の銀桂は取られそうですが、取らせて働くという感じ。81の桂馬は拾って寄せ合いで勝てそうです。
こういう展開の時に、美濃囲いの56歩を突いていないので66角の筋がなくて堅いのです。(逆に55桂はありますが。)
△ 67銀と打つと
78歩成なら前の変化に合流します。
後手は86飛を選ぶことができます。86飛には88飛
87歩98飛では後続がなくて、88同飛成同角66歩(87飛もありそう。)
56銀に78歩成で角が死にます。45銀88と34銀
これで26飛や71飛を狙って先手が指せないことはないです。元から比べると少し損かなあという気はしますが。
△ 88角もあります。
78歩成なら22角成同玉67銀
68と76銀で
後手に と金を作られたのは損ですが、飛角をさばいて71飛が先手で入ります。これは寄せ合い勝ちできるでしょう。
後手は78歩成ではなく87歩です。この時歩切れになりました。
64歩88歩成(62銀は63銀88歩成同飛で先手よし)63歩成
歩切れなので先手の飛車先を止められません。78歩成52と68と63金
後手は受けるなら31角ですが、53金同金41銀
22玉に32銀打という調子です。受けられません。
63金には58と から攻め合いです。
53金52金同金49と
49同銀から先手が残しているように見えますが、どうでしょうか。終盤に自信があればこういう変化でもいいでしょう。
× すぐに64歩と突きだします。
62歩や66歩は微妙。多分先手が得だと思いますが。
78歩成63歩成68と52と79飛成63金85角
前の変化に比べて後手は飛車をスムーズに活用できます。
以下は53金とはできなくて、53と99角成という感じで後手が勝ちそうです。
△ 88飛とまわります。
78歩成なら81飛成79と77歩
この歩が後手の飛角を止めてとても感触の良い手です。26桂とか45桂とか先手が楽勝です。
88飛には86歩
67銀78歩成同飛同飛成同銀99角成
最初にやったのとは86歩があるかないかなのですが、この場合は82飛から竜を引き付けることができなくて少し損です。互角に近い感じです。
先手は86歩に68角とできます。
78歩成なら86飛です。73桂59角65桂
じっと桂馬を使われるとつまりません。73桂のところで67銀とするか(後で77角とできる)。まあ悪くなったわけではないのですが。
問題図で自然なのは67銀ですね。それでは86飛があるから87銀が正解、と考えるのが普通だと思います。
有利なときは自然な手がよいというのは基本的な考え方です。
でも優勢で時間があれば、あるいは家に帰って棋譜を調べる時には、いろいろな手を考えてみるのもいいことです。思わぬ好手を発見することもあります。
私はこういうところ、あまり(考えるのが苦手で)考えないで指してしまうのですが、盤面を広く見て候補を挙げたうえで、こういう理由でこの手が自然、と選びたい、そう訓練したいです。「両取り見えない病」が治るといいのですが。