20151018今日の一手
先月27日の名南将棋大会からHさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さはやや先手のほうが堅いです。66に打ちこまれる傷や87歩の筋があるのですが、後手玉はまだ囲いの外です。
先手の攻め駒は25桂46角で2枚。
後手の攻め駒は93角で1枚。73桂は85に利いているので2枚とするかどうか悩みますが。
総合すれば互角です。
矢倉戦ですがあまり見ない形ですね。
この図は46銀37桂の形(灘流と呼ぶべきと思いますが)が見直されて、初期のころに4手角では攻め合い負けするとして消えたのです。端をついていないので微妙ですが、35歩同歩25桂で指せていると思います。
ここから先攻をやめて、55歩と歩交換して56銀と形を直した間に65の位を取られました。位というより拠点ですか。
ここで86歩とは驚きました。ないことはないのですが、6筋は薄くなります。ここから問題図に進みました。
大局観として
後手からは66歩から65桂または銀で攻めたいのですが、46角のにらみで攻めきれないとみて43金右の陣形整備です。このまま囲わせて良いのかどうか。攻めるのか守りを固めるのか。いろいろ考えられます。
今のところは先手の攻め駒のほうが多いのですが、38飛を使って攻める、という形にはなっていません。攻めるなら左から、後手の攻め駒を狙う手を考えます。その時にはカウンターも覚悟しなければなりません。
今は後手玉が堅くないので、一番いいのはせめて来いと焦らせて動かすことです。
どれも先手玉が少しでも堅い変化を選んだ方が勝ちやすくなります。
△ 実戦は75歩でした。
さらに驚きです。ここから行くとは思いませんでした。危なさそうに見えますが。
55歩74歩66歩
いろいろ駒があたっていて悩みますが、77金右ではなかったかと思います。
実戦は68金右65桂同銀同銀73歩成
ここからも難しい展開でしたが、25銀から76桂で先手玉を薄くされて、少し足らなくなりました。こういう手順なら77金右のほうがいいのです。
△ 最初に77金右と固めたらどうか。
これの問題は57の利きが少なくなることで、45歩のとき角を逃げにくいです。64角同飛84銀とすることになります。
82角73銀成71角73成銀26角63歩
これで飛車を取る手を狙います。
途中、71角では85桂も手筋ですが
85同銀71角74銀
74同飛は65銀で飛車が取れます。
どちらの変化にしても飛車を取ったとしてすこし手間がかかるので、後手玉に逃げられて相入玉のコースかと思います。
× 角を切るつもりなら35歩が手筋です。
35同銀とさせて質駒ができて33歩とたたけるというわけです。
35同銀64角同飛84銀
82角83銀成71角73成銀59角
68金右26角成63歩
前の変化と比べて得にはなっていないようです。攻め駒が少ないので右から攻めようとしても切れてしまいます。
○ 77桂は強い手。
66歩としたら後で65歩を狙おうという手です。前の変化に出た59角の筋を防ぐという意味もあります。
66歩68金右75歩で危なさそうですが
63歩同飛65歩
これが狙いで、55銀同銀同歩には64銀
65同桂同桂同銀同銀同飛には91角成
どちらの変化も後手玉が囲いの外なので先手の方が指せそうです。
後手としてはすぐに行かないで31玉としたいのですが、52歩が飛んできます。
取れませんね。66歩68金右75歩51歩成
63歩同飛65歩とするには歩が足りないのですが、と金でけん制します。
76歩52と63飛74歩
77歩成同金右65桂同銀同銀73歩成
後手から76歩87金寄77銀とされるので大変ですが、先手も飛銀を持てば詰めろをかけられるので先手が勝ちそうです。
○ 96歩は角を攻める手。
先手玉の形がよくなる味の良い手でもあります。
31玉なら95歩同歩94歩
95同香もありますが、この場合は歩のほうが紛れがないです。
71角に84歩
82歩なら95銀から93歩成。両方謝られたら52歩もあります。これは先手が楽勝に見えます。
後手はなにか動かなくてはならないのですが、66歩68金右45歩くらいか。
37角35歩95歩36歩28角
端が間に合いそうです。
○ 最後は52歩
31玉に52歩というのが手順なのですが、すぐに52歩もありそうです。
52同玉には64角同飛84銀
82角73銀成71角73成銀
45歩63歩44角77金右
ここからは62歩成から清算するのではなく57桂から65銀で飛車を取りたいです。
66歩68金引45歩と突いたほうが1手得かもしれません。51歩成同玉64角同飛84銀
82角83銀成71角73成銀
これは26角に63桂から65歩で飛車を取れますね。
1歩捨てたけれど後手玉が危険になり、先手が勝てるのかもしれません。最低相入玉だと思います。
相矢倉では91~19のラインに角を据えることは序中盤の目標と前に書きました。先手は銀を繰り替えて実現したのですが、この角の筋で後手の攻撃を抑えているのです。反面右から攻めるには駒が足りませんから、左から攻められればよくなります。そういう意味で86歩同歩85歩の逆襲や75歩の桂頭攻めでした。ですが難しい戦いでしたね。
64角から84銀の筋に気が付いたら、どの形で行くのがいいか比較検討です。すぐに52歩が一番いいように思います。これは後手玉の位置が悪いから成立するのです。一番働いている46角を捨ててしまうというのはもったいないです。
77桂で迎え撃つ、というのは少しやりにくいですが、自分から75歩と行くよりは効率が良いようです。
相手からたいした手がないと気が付けば96歩としたいなあと思います。後手の攻め駒は93角だけで62飛や64銀や73桂はまだ働いていないのですから、働きの良い93角を責めるのが一番効率がよいはずです。86歩同歩85歩と行ったからには継続手という気がします。
相手に無理に動いてもらってカウンターが一番効率がいいというのも書きましたね。