名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

羽生善治 頭の鍛え方

2015-10-28 | 将棋本 断捨離
羽生善治 頭の鍛え方―いかにして「考える力」「集中力」をつけるか (知的生きかた文庫)
1996年出版、大矢順正さんの本です。大矢さんは観戦記者ですね。

インタビューやエピソードをつなげてまとめた本、7冠達成のあとくらいでしょうか。

読み直して羽生先生の強さについて考えること。

森下先生曰く、頭の良さと意志の強さ。
頭の良さについて
羽生先生は得意戦法がないということになっていて、大概の戦法は指しています。オールラウンドプレイヤーといわれます。(価値がないと思って)やらない戦法はあるのですが。
大山先生は後半は振り飛車しか指さなくなって、でも同じ変化にはしなかったことと同じ意味だと思ってよいでしょう。時々は不利な変化でも指しました。
羽生先生は定跡を無視するわけではなく、自分の感覚や読みで見直すのでしょう。いろいろな戦型をやることで実戦の中でこの経験が増えます。だから「初見で正解がわかる」といわれますね。

また、メンタルの強さについて。
対局が開くと調子を崩したことがあり、勝っても負けても将棋が好きなのだなあとおもいます。勝敗より内容というか、ただゲームとして楽しんでいるのでしょう。楽しいから読みに手を抜かないのです。読みを打ち切るところが違うのだろうという気がします。楽をして勝とうとか、負けて楽になろうとか思わないのです。

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20151028今日の一手<その190>;俗手の好手

2015-10-28 | 今日の一手
20151028今日の一手

先月27日の名南将棋大会からAさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。








昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
飛角交換です。ほとんど差はありません。
玉の堅さは先手のほうがかなり堅いです。
先手の攻め駒は28飛と持ち駒飛銀で3枚。
後手の攻め駒は持ち駒角銀銀で3枚。
総合すれば先手が有利です。

大局観として
先手が有利ですが、37歩成を受けて優勢、というわけにはいきません。桂馬を取られても と金を作られても後手の攻め駒が4枚になります。幸い後手玉が薄いので断固攻め合いです。と金を作られたとして、28飛を捨ててもいいですし、58飛とまわれば金取りになるのも好都合です。
ここは強く攻める手を探して、だいたい後手玉が寄り、というところまでめどをつけておきたいです。


× 実戦は45桂でした。

45同桂同歩で後手を引きます。46角58飛57歩

57同金11角成66金51香21飛62銀

こういう進行です。後手玉のほうが堅くなってしまいました。まだ互角ですが、これではつまりません。


× 34歩も場合によってある手。

37歩成33歩成28と32と

取り合いで後手を引いています。と金が使えるのでやや先手リードかも知れませんが選びにくい変化です。

途中、37歩成に58飛53歩33歩成47と は考えられますが

この飛車の始末がよくわかりません。取らせたくはないし、逃げたくもないし、難局です。

なお、最初に58飛とすると53歩と受けられて、この変化に合流しそうです。


○ 53歩と打診します。
62金は51飛で61金41飛成

52歩成と32竜から23飛成を見て先手優勢。

途中51飛に61銀打は58飛

42金34歩37歩成33歩成47と

42と58と同金左

これで52歩成からの寄せを見て先手有利。

戻って、53歩に51金は21飛

62銀58飛42金52銀

これは受けにくいでしょう。先手優勢。

戻って、53歩には42金右が最善で、62銀とおいておきます。

狙いは51飛で、まあ61銀打でしょう。同銀成同銀51飛72銀打58飛

47角にも52歩成

58角成61と

これは先手勝勢。後手は角を渡せないので49馬に71銀92玉62と で受けが無くなってきます。

残りは53歩に同金ですが、51飛で

(71角の受けも結局は同じような局面になります)62銀41飛成37歩成58飛

54歩32竜71角34歩

後手は持ち駒を投入して受けたのでゆっくり攻めます。47と にも59飛と逃げます。先手有利。


○ 41銀は俗手ですが

この場合は32金がいなくなれば23飛成で先手よしですから、受けることはできなくて37歩成しかありません。
37歩成52銀成28と62金

62金も俗手ですね。俗手を指すとなぜか俗手が継続手になることが多いです。これが72金から62飛という筋と71飛から72金を見た好手。受けることができません。
62金ではつい62成銀71銀52金とやって、千日手含みで難しくしてしまいそうです。あるいは52飛にして32金を取るのもいいのですが、長引きます。


△ 25桂はなくはないです。

これに37歩成58飛53歩33桂成同金31飛

というのは先手がいいでしょう。

25桂には同桂同飛で、37歩成には41銀

前の41銀の変化に似てきます。
47角52銀成56桂と脅されたら

58金左25角成62金

これも先手が勝ち。

戻って、25同飛には23の地点を受ける14角です。

このときには53歩の変化を応用して、51金62銀54桂

58飛の応援はないのですが、桂馬を使って攻めることができます。

なので、53歩には同金が結局最善になって、

27飛に62銀

これは先手有利ですが先は長いです。


問題図で攻め合い、と思えば53歩が手筋。自然な手です。これは寄せのセオリーにもあっています。
王手はまだ早い、72銀もまだ遠い、52金を攻める。
攻めるなら小さい駒からで53歩。
と順番に考えるのです。
ただし変化は多いです。どこに逃げるのか受け手も迷いますし、先手が読み切るのも大変です。まあ歩を渡しても罪は軽いので打ってから考えてしまいがちですが。

その次に考えるのはセオリーなら銀です。41銀。素直に42金左は23飛が残る。あれ?有力か、と読みを入れます。42金左は32銀成同金52飛が厳しい。手抜いての取り合いで62金が読めれば解決です。
金は取れても銀を渡すし、手抜かれても銀を使ったことになるし、とマイナス面も多いのですから、しっかり読まなくてはなりません。

次に考えるのは58飛ですが、53歩と打たれると次の有力な手がないので却下。

あとは45桂とか34歩とか25桂はおまけです。その前の手がうまくいかないときの選択肢です。


41銀は俗手ですが、俗手のほうが相手の応手が少なくて読みやすい時があります。手抜かれて形勢を悪くするときも多いので、しっかり読まなくてはなりません。なぜか俗手(筋の悪い手)を指すと、次も筋の悪い手が最善なときが多いです。

別の言い方をすれば、41銀は重い攻め。重い攻めは攻め足は遅くても確実です。軽くて速い攻め(53歩)とどちらがいいかは局面次第です。



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