20151005今日の一手
先月13日の名南将棋大会からKさんとAさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得です。戦いが始まって後手は55歩を取り返せるのですから少し割り引いてみますが、一応先手の得です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒はありません。
後手の攻め駒は52飛44銀85桂で3枚。22角も含めて4枚としてもいいです。
総合すれば互角です。
大局観として
後手は自玉が薄いのですが仕掛けてきました。先手の攻め駒はまだ働いていません。しばらくは受けなければならないでしょう。後手の攻めをしっかり受け止められるか。後手玉は大分薄くなりましたからうまく反撃できれば先手が有利になります。4枚の攻めは切れないといっても、反撃を見せれば攻撃力を制限できます。「攻撃は最大の防御なり」です。
× 実戦は68銀でした。
桂馬を取ろうという意味でしょうか、玉の堅さを主張するという意味でしょうか。けれど違和感がありますね。79角が守りにしか働きません。
55銀同銀同角18飛27銀
58飛と逃げたいけれど66角で困ります。56歩18銀成55歩29成銀に41銀
ここが唯一の反撃筋です。後手は55飛と誤ってしまい、32銀不成58歩43銀成
こうなると先手玉が堅く、攻めるに困りません。先手優勢。後手は41銀に42飛32銀成同飛なら優勢でした。
先手としては、18飛とかわすところで46銀と打つほうがいいです。
33角86歩65歩55歩
64銀打85歩55銀
桂馬を取り切って、68銀と引いた手の顔を立てました。以下は77金右でまあまあです。
後手は68銀に65歩のほうがいいでしょう。
86歩55銀85歩66銀なら
後手の角は22ですが、1手早く先手玉を狙えます。
ということで、68銀は疑問手です。
× 86銀が自然な手です。
55銀同銀同角には46銀と打ちます。後手の65歩が怖いのでしっかり受けるしかないです。
33角55歩に95歩
先手は持ち駒を使いきったので後手は落ち着いて端を詰めます。
37桂44銀45桂
先手が攻めるならこれくらいですが、45同銀同銀55角46歩65歩
歩切れなので角筋を止められなくなります。これは後手が指しやすいです。
△ 77の銀を逃げると後手の角筋が怖いことがわかりました。仕方ないので24歩は
24同歩同飛23歩28飛77桂成同桂55銀同銀同角46歩
長く進めましたが、最後の46歩で済む(銀を打たなくてもいい)のです。41銀が残っているので、41飛に56歩22角55桂52銀(54銀かも)45銀
飛車先を交換したので23の地点を狙えます。これはまあまあです。重い攻めなので本来は37桂と使いたいのですが、後手から58歩とか47銀とか69銀とか絡まれるので、ちょっと焦らされています。
○ 56金とするのが手厚い手です。
77桂成同桂
76の地点を金で守っていないのですが、後手が歩切れなので今は大丈夫です。後手は55銀と突進するしかありません。
55銀同銀同角同金同飛
後手の飛車は59にしかなれません。よって37角51飛65歩が厳しい反撃です。
55歩64歩同銀65歩73銀52歩
飛車先が止まれば55角が気持ちよいです。79の角を46に出れば応援が利きます。これは先手優勢。
問題図の少し前、後手は55歩同歩85桂と仕掛けたのですが、これはやや無理な攻めです。できれば85桂68銀55歩としたいのですが、86歩でどうか。自信ないかもしれません。
95歩~51飛と待機して、先手が98香から穴熊を目指したら85桂なので、後手の作戦勝ちだったのではないでしょうか。
矢倉崩しで85桂(25桂)として角筋から攻めるというのはよく出てきます。あるいは65歩同歩同桂というのも。どの場合でも銀を逃げる一手かどうかは考えたほうがいいです。
すぐにつぶれるなら逃げてはいけませんし、代償があるなら逃げないほうを積極的に考えたいです。
銀桂交換は銀のほうが得、というのは一般則ですが、攻撃に使うなら銀より桂馬がよいことも多いですね。もちろん受けるなら桂馬より銀のほうが良いです。だから銀桂交換の損得は場合によります。
この問題図では、73桂は守りの桂です。だから77銀(守りの銀)と交換になってもまあまあともいえます。取られても先手玉は金2枚と桂馬、後手玉は金銀だけ、まだ先手玉のほうが堅いのです。