名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

十一人の棋風

2015-10-20 | 将棋本 断捨離
十一人の棋風―ロールシャッハとMDSによる棋士の心理分析
1989年出版、岡本浩一さん、橋口英俊さんの本です。

ロールシャッハテスト、って聞いたことがありますか?インクの染みの図形を何枚かみて、思い浮かぶことを答えます。心理学者はこの答えから性格とか考え方とかわかるんですね。
それとMDS(多次元尺度構成法)という手段で、自分を加えて11人の組み合わせで棋風の違いの数値を答えさせたものを2次元の散布図にして、どういう基準で分かれているか聞いてみる。これで将棋で何を重んじているか、他者の棋風をどうとらえているかわかるというものです。
とてもユニークな研究です。今の棋士でもう一回やってもらえないかなあ。

谷川浩司、内藤國男、森雞二、桐山清澄、田中寅彦、高橋道雄、大内延介、有吉道夫、森安秀光、羽生善治、大山康晴の11人。
羽生先生は若いころなので棋風が今より攻撃的です。
大山先生だけMDSのほうをやっていなくて、一流は棋風なんてない、クセなんていらないもの、とうそぶいているのですが、秘密にしたがるところが大山先生らしいです。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20151020今日の一手<その182>;玉の堅さに関係する位は最重要

2015-10-20 | 今日の一手
20151020今日の一手

先月27日の名南将棋大会からHさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。









昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは同程度。先手は金銀4枚の守りですが65に位を取られています。
先手の攻め駒は46角1枚。
後手の攻め駒はなし。
総合すれば互角です。

大局観として
46角のにらみは大きいです。先手が74歩と垂らして後手は82の飛車を72に寄ったところです。
この後ゆっくり駒組みをしたら74の歩をはらわれて1歩損の上後手の攻め駒の配置がよくなりますから、ここではなにか動くしかないところです。


○ 66歩が当然の一手。実戦もこれでした。

66同歩同銀65歩

ここで予定変更で57銀と引いて1手損です。以下は手順省略でこんな形。

44銀が誘いの隙で、先手は17桂~25桂と動いていったのですが、後手は桂馬をもらって66桂から仕留めました。とはいえここでは先手が不利。後手だけ攻められる形です。

なお、問題図で1手損をしないで駒組みをしてもこの図と似たような感じです。少し先手が悪いくらいの形勢なのですが挽回するのは難しいです。

66同歩同銀65歩には同銀しかありません。

65同銀91角成76歩

76同銀同銀同金74飛

後手は手順に飛車を逃げ、81桂を取らせないように指します。
65銀71飛82馬51飛64歩

ここで73銀と打っても91馬で無効です。66歩が手筋で取れば57銀から絡まれますが、無視して63歩成。

こうなれば先手の言い分が通ったと思います。銀香交換でも と金と馬があります。後手の飛を抑え込みました。

なお、問題図の前、74歩72飛の交換を入れずに66歩とすれば

後手からの66同歩を消しているのですが、45歩28角(37角は36歩)92飛65歩同銀

この後銀をぶつけたいのですが、27銀の傷があって動きにくいです。だから74歩と垂らしたのです。


△ 76銀と立ってみます。

74飛75歩72飛

ここで77桂は55歩で

55同歩でも66歩でも75銀からさばかれて悪いです。もう1歩あればいいのですが。

戻って77桂ではだめなので66歩に45歩28角同歩同銀65歩です。

途中45歩のタイミングが大事。57角と引かれないようにします。
65同銀左同銀同銀27銀

この銀の筋がいつもついてまわります。
91角成18銀成81馬75飛76銀

76同飛同金29成銀

この図は先手が駒損ですが攻め道具一式持ってやれそうにも見えます。でも先手玉がもろいので攻め合い負けするようです。81馬が働いていないのが痛い。

途中、81馬としないで18同香

とするほうがよいのですが、49飛76銀81馬

少し後手がよさそうですが、まだこれからです。

もう少し戻って、この図で

65同銀左(右でも同じ)をやりましたが、64角はありそうです。

64同角65銀左42角64歩

角銀交換ですが62歩なら41銀、53金に63銀。先手もやれそうです。

後手は64角に66歩でしょう。

42角成同飛77金右

これは後手を引いて悪そうです。36角68飛57銀というのは後手のペース。

ということは66歩同歩同金65歩64角とやるのかもしれません。

これなら66歩には91角成ですから。
64同角65銀42角64歩

変な形なので自信はありませんが互角なんでしょうか?42角ではなくて53角から35角でまずいのかもしれません。


△ 最後は63歩です。

受けは53角くらいです。先手は38飛として

後手は74飛と歩をはらいたいのですが、62歩成同角75歩

75同銀に91角成73角92馬となれば先手がうますぎます。

53角38飛の後、後手は74飛とできないので45歩28角35歩は46歩

これは先手が少し指しよいです。

38飛には34歩が最善か。

後手は24銀から35銀でけん制します。先手は角利きをキープしなくてはならず、持ち歩も必要なので手が難しいです。


今回は問題図のところでの指し手の候補は3つしかないでしょう。右銀を守りのほうに使うと攻め駒が少ないのです。だから選択肢は限られます。
65の位は大きいので奪回しなければなりません。位奪還のためには角銀交換とか、銀を捨てて角を成るとか、一時的な駒損でもかまってはいられません。玉の堅さに関係する位は最重要なのです。
この場合は後手は65の位は最悪放棄しても代償があればいいのですが、先手は放置したまま駒組みになったら負けます。右から攻める形になっていないし、いまさら低く構えるとか穴熊にするとかでは上からつぶされそうです。









コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする