名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

対局する言葉

2015-10-31 | 将棋本 断捨離
対局する言葉―羽生+ジョイス (河出文庫)
単行本は1995年出版、文庫は1996年出版で、羽生先生と柳瀬尚紀さんの対談です。

柳瀬尚紀さんは翻訳家。文学とか翻訳とか、言葉の世界のプロです。さすがに羽生先生でもそこまで知識がないので、対談は難しいのですがそれでも成立させてしまうのが一芸は万芸に通ず、というところでしょうか。
文学や翻訳の世界の話も興味深いのですが、羽生先生の言葉を記録しておきます。(そのままではないです。)

天野宗歩は序盤の感覚が手合い違いだった。升田先生も同じ。時代の最先端だった。

大山先生の将棋は大局観、相手との兼ね合いで手を進めて間違いをとがめて勝つ。

米長先生は、将棋は奥が深いからどうやってもいいと勢いを重視していたが、年を取って若者の将棋を取り入れた。

中原先生は逆に独自路線、従来の感覚を捨てた。

(高柳先生によると)谷川先生は論理、羽生先生は思考の飛躍がある。

将棋は難しくてわからないけれど、ここ10年で部分的にはわかるとわかってきた。

全力を出し切ったことはない(狂気の世界に入るからブレーキをかけた、ということではなく、まだできていないと後に書かれた。)というのはおまけ。

この時は羽生先生6冠で、7冠達成の少し前。神がかっていたころ。興味深い話が多いです。
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20151031今日の一手<その193>;勝負手

2015-10-31 | 今日の一手
20151031今日の一手

24日の東海リーグからもう1局。形勢判断と次の一手を考えてください。








昨日の一手の回答

対局相手のKさんのブログはこちら。
http://blog.goo.ne.jp/kengosky6/e/c26dc9b7c8ed20598df94550517b06d2
両方の立場で見ると面白いです。

☆ 形勢判断をします。
飛歩と桂香の交換で先手やや駒損です。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は21馬と持ち駒銀桂香で4枚。15香は加えるべきか悩みます。
後手の攻め駒は19角26銀持ち駒飛で3枚。
総合すれば互角です。

大局観として

この局面は互角だと思うのですが、後手玉に迫るのが難しく、考え込んでしまいました。といっても読めないのでいつものように早指しなのですが。迫る手が難しいというのは、先手(実際は後手ですが)が歩切れだということ、馬はあるのですが、飛がないので後手玉が6,7筋方面に逃げ出すと攻め足が遅いということに起因しています。

先手玉は28飛と打たれると38銀には27銀成と使われるので69玉29飛成38銀ということになります。持ち駒銀を使うので攻撃力が減ってしまいます。
では28飛を防ぐべきかどうか。例えば39金で防いだとしたら、(その局面が互角だとして)互角の局面で相手の手番になるのでやや苦しいのです。1手かけたら相手の攻めが2手遅れるような受けがあるか。それを考えます。


× 実戦では39金としました。

28飛が厳しいという判断です。これに37銀成とか17歩成同歩18飛69玉28角成とかの攻め筋もあったと思います。でも15銀と取られました。そこでまた悩んで46香。

悩んだのは、25香31銀33玉に14桂

が見つからなかったからで、見つかったのでやや自信があって46香と指したのですが。

本譜の31同金

は43香成41玉33桂31馬まではすぐに見えて、あいいだろうと思って、33玉のほうばかり考えていたのです。でも銀を取られて逃げられたら手がありませんでした。

こうなると攻め足が遅いんですね。後手からの攻めが29香成なのですが、これが案外早いのも誤算です。29香成の後、39成香は詰めろ。29同金37馬が王手です。つまり、39金で1手稼いだくらいのつもりが、稼いでいなかった、後手は駒得しながらの攻めなので切れないという状況になって、敗勢です。

感想戦で、46香(これはKさん想定外)の代わりに66香ではないか、ということになったのですが

挨拶してくれれば攻めが速くなるのですが、25香64香29香成

48金64歩のときに、45桂は31香でだめ。

39飛には49銀と使わなければいけないのでまず勝てません。

46桂が一番難しそうですが

25香34桂51玉84香52飛

後手は少し妥協してこれくらいでも悪くないです。32馬から42金で飛車を取っても攻め合い負けになるようです。


× 39金の他に、38金は形が悪いのでろくに考えなかったのですが

実戦のような25香の筋が緩和されています。でも27銀成がありました。

27同金は39飛から29飛成でぼろぼろになるので、38金28成銀49金29成銀

これは問題図より後手が得していますね。

他に、28飛を受けるのに38銀と投入するわけにもいかない(攻め方が無くなる)ので、受けない手を探します。


○ 少し遅いように見えますが、13香成(12でも同じ)が自然な手。香取りから逃げたという意味もあります。

28飛に69玉

29飛成38銀18竜ここまでは見えて、つまらないからと止めたのですが、32馬がありました。


32同玉29金で竜を殺します。同竜同銀で

12飛から飛車の素抜きが残りますね。41玉21飛52玉22飛成42桂23成香

37馬38銀55馬

33成香51金66銀

あとは馬を追いかけつつ後手玉に迫ればよいです。先手玉が堅くなったこともあわせて、先手有利。

後手としては、竜が取られることに気が付いたら18飛成が正着。

でも気が付かないと思うのですが。あるいは28角成から19飛としておくべきか。
まあ、ここから22成香同金同馬28角成

39金打29馬同金同竜

今度は金がないので竜が死にません。やや後手有利。


△ 先に69玉は含みを持たせた手。

28飛13香成なら前の変化に合流です。
15銀66香28飛39金

香車を取られても、この金寄りがあるのです。
18飛成64香同歩55桂

38香31銀33玉42銀打

42同飛同銀不成同玉43桂成

43同玉41飛33玉61飛成39香成

なんとも激しい順ですが、ここまでくれば後手が有利か。後手が受け待ちがいそうなので実戦ならわかりません。


× 最後は66香。

28飛69玉29飛成38銀

18竜32馬同玉29金同竜同銀

この時に66香より13香成のほうが働いているので、やや損です。

あるいは、66香に15銀として

64香同歩55桂

25飛31銀33玉42銀打

42同飛同銀不成同玉43桂成

43同玉41飛33玉61飛成29飛成

この図も後手がよいです。


問題図では39金がピッタリした受けだと思ったのが敗因です。ぬるく見えるのですが15銀と香車を取るのが攻防なんですね。25香から29香成が思っていたより速いので負けです。受けた1手が1手の価値しかなかったので少し苦しいです。
38銀と打つところまで見えていたのに、そのあと飛車を殺すことに気が付けばよかったのですが。この日は手は見える読める、と調子は良かったのですが、読みを打ち切った先に自分や相手の好手があったのが不運でした。
少し悪いという形勢判断があれば(悪くないと思っていました)29金を考えたかもしれません。
形勢が悪い時は変化球を考える、飛車を打たせて召し上げるというのが攻防にもなるので勝負手です。見破られて18飛成とか28角成から19飛とかなら少し悪いのですが、そのときは仕方ありません。


後手一手損角換わりは、悪い手を指していなくてもやや苦しく、気が付かない手が最善で、それならやや指せたかも、という展開が多いです。なので別の戦法を考えていたのですが、ついやってしまいました。











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