20151021今日の一手

先月27日の名南将棋大会からNさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損です。少し後手が得ですが、すぐに歩は入手できるのでほとんど影響はないです。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒はなし。
後手の攻め駒は42角
総合すれば互角です。
同型矢倉からの攻め合いです。米長流急戦矢倉を63銀型で受けるとこの形になるのでたまに出現します。
子供のころ読んだ入門書には後手の65歩ではなく35歩が解説してあって、

35同角同銀同銀

角銀交換でも44歩から45桂で先手よし、というのが出ていました。
今は45歩同歩同桂のほうが主流ですね。

角を換えて飛車を引きます。これで24歩同歩51角が狙い。
こちらのほうが先手の攻勢がはっきりするので好まれるのでしょう。
大局観として
後手は65歩で攻め合いの意思を示しました。同時にどこかで64角からけん制する余地もあります。35歩と取るよりはこちらが本筋でしょう。
36銀37桂というのは部分的な好形なのですが、まだ攻め足が遅いです。後手からの攻めをどこまで受けるか。後手はいざとなれば35歩から銀を入手できるので、先手が後手の攻めを余して勝つというようにはなりません。
端歩を突いていないことにも注目します。24歩同歩23歩同金15桂という筋で寄せられるので攻撃している方が有利になりやすいです。
ということで、どこかで攻め合いを考えます。
△ 実戦は65同歩でした。

後手も75歩66銀74銀とする同型は見たことがありません。さすがに1手速いので先手よしか。
65同桂66銀に86歩同歩85歩

これはやられた瞬間に「しまった」とおもいます。後手はもう1歩あるので玉頭に拠点を作られました。
三歩持ったら継歩に足れ歩というのは初心者用の格言のようですが、決まれば大きいです。(二歩ですが85の歩を突き捨てるので同じこと)
85同歩86歩75歩85飛65銀

これで76銀を用意して桂馬を取り切ったのですが、後手から35歩で銀を取られては攻め合い負けです。
どこかで手抜かなくてはいけません。66銀とかわすところで24歩同歩34歩と行きましょう。

77銀を取られるのは少し痛いですが、桂馬をもらえるなら23歩から15桂があります。
64角24飛23歩27飛

77桂成同角38銀

25飛37角成45銀

銀損ですが、これは先手も戦えます。
後手からも86歩同歩87歩を決めるとか、工夫の余地があり激戦です。互角なら後手(後手番)を持ってもいいというところでしょうか。
△ 65歩を取ると複雑になるのですぐに攻める手を考えます。24歩から。

24同角には45銀

45同銀同桂44歩には34歩がカウンター。

45歩24角同歩44歩というのは後手が指しきれないでしょう。
68角成なら33銀ですし。
後手は44歩ではなく44銀のほうがいいのですが、68角成に同金引が味がよいです。

これは先手が楽勝に見えます。
ということで、24歩には同歩しかなく、34歩と取り込むのが自然。

66歩同金65歩67金64角

ここで突き捨てが生きて、24飛23歩27飛と手順に交換できました。

46歩45歩53銀57金

どちらも囲いが弱くなるのですが、これからです。後手は玉頭の薄さがあるので少し先手もちかという気はします。
△ 24歩同歩を入れないで34歩は

66歩同金65歩67金64角27飛

途中24歩を入れるタイミングは65歩の時ですが、24同角もあって難しいです。
25歩を交換していない分だけ少し損ですが、形勢は互角です。
後手は46歩ではなく34金とやりやすくなるのですが、35歩33金引45銀

は先手が好調なので、結局46歩57金のコースかと。
○ すぐに45銀は激しい手。(24歩同歩ならそこで45銀でもよいです。)

45同銀同桂44歩に34歩

45歩44歩同金24歩同歩同角

24同角同飛23歩71角

早めに44歩同金としておくのがポイントです。
42飛は44角成同飛33歩成から44飛があるので、後手は24歩の一手。82角成38飛68金右

先手は桂損ですが取り返せます。後手玉のほうが薄いので先手有利。最後の68金右が好手です。
変化として、先手は82角成ではなく44角成も考えられます。

33歩43銀23銀なら千日手のようですが

32銀成同銀43金23銀打33歩成

これで33桂の形になったら34歩で取れるので先手の攻めがつながります。
ですから23銀打ではだめで、43同銀です。

43同馬32金に23歩

23同玉33歩成同金21馬

これで先手もまあまあに見えますが、後手から38飛が攻防なのでちょっと勝ちにくいか。
× 最後は45桂

これは64角で困ります。

19香を取られるか、37角成を許すか。46歩は35歩で撤退するしかなくなります。
継歩に垂れ歩を食らったら不利。65同歩同桂で攻めるのは少し損な感じです。手抜いてすぐに攻めるほうがわかりやすいのです。
24歩同角がよさそうなので、24歩同歩までは入れてもよく、34歩には64角のけん制の筋で互角。一番激しく45銀が有望でした。
この流れわかりますか?
現代矢倉は先手がいかに攻めるか、切れそうで切れない一番激しい攻め筋が有効、というように定跡が進化しているような気がします。
定跡化するなら24歩同歩45銀以下の変化を調べるのでしょう。一番普通の受けをやってみましたが、先手が有利なので後手が変化する順を探します。
先後同型から45歩同歩35歩44銀36銀65歩なのですが、44銀ではなく65歩なのかもしれません。
後手はこの同型矢倉がまずいのなら、米長流急戦矢倉の受け方を研究しなければなりません。あるいは後手番で米長流急戦矢倉なら先手は同型矢倉にして先手十分ということかもしれません。そんなふうに定跡がつながっています。