名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(390); 三間飛車に左美濃

2017-01-05 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番桜井先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和52年12月、中原誠先生と第31期棋聖戦第1局です。


大山先生の先手三間飛車、急戦は難しいので中原先生は持久戦です。

左美濃になり、大山先生は石田流を目指します。

大山先生が37桂を跳ねないなんて伝説ですかね。ここまでは跳ねているほうが多いと思いますが。22玉型の左美濃は角のラインが嫌味。それを含みに45歩です。

中原先生は角を移動させる意味もあって74歩ですが、68角から46角を見るのも味が良いです。振り飛車の作戦勝ちか。

中原先生の64歩もあまり突きたくはないのですが、64銀は4筋が薄くなります。

銀は引いて固めることにしました。大山先生は4筋の位を取り

86歩は無視して飛車をさばきます。

気持ちよさそう。

54歩を決め、左銀を使います。

するすると銀が出て

84歩を打たせ

75歩で角を封じます。狙いは44歩から53歩成です。33銀左なら一応受かるのですが

中原先生は46歩と48歩を決めて、寄せ合いを選びます。

金を捨てて角をぶつけ

大山先生も寄せ合いに応じます。

39竜からの寄せの手筋には

29金打で手を稼いで銀を取り、攻め駒4枚ですから難しくはなさそうです。

32桂(よりも32銀のほうが少し難しそうに見えますが、ともかくその桂馬を取って

44桂の筋があるので簡単な寄せです。

22玉型の左美濃は角筋を生かして攻められるのが怖いです。三間飛車や中飛車なら比較的やりやすいのですが、それでも嫌な感じです。大山先生がやや作戦勝ちになり、左銀を繰り出していくだけで有利になりました。84歩を打たせ、75歩で封じる、というところが印象的です。
中原先生は素直に寄せ合いにもっていくのですが、形勢判断が楽観的な先生ですから悪いと思っていなかったのですかね。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:中原誠名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 3四歩(33)
7 6六歩(67)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 2八玉(38)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 5四歩(53)
19 3八銀(39)
20 3三角(22)
21 5八金(69)
22 2二玉(32)
23 7五歩(76)
24 3二銀(31)
25 6七銀(68)
26 9四歩(93)
27 4六歩(47)
28 4四歩(43)
29 4七金(58)
30 4三金(52)
31 3六歩(37)
32 5三銀(62)
33 5六歩(57)
34 8四飛(82)
35 3七桂(29)
36 2四歩(23)
37 4五歩(46)
38 7四歩(73)
39 6八角(77)
40 7五歩(74)
41 同 飛(78)
42 7四歩打
43 7八飛(75)
44 6四歩(63)
45 7六飛(78)
46 4二銀(53)
47 4四歩(45)
48 同 角(33)
49 4五歩打
50 5三角(44)
51 5七角(68)
52 8六歩(85)
53 6五歩(66)
54 8二飛(84)
55 6四歩(65)
56 同 角(53)
57 7四飛(76)
58 5三角(64)
59 5五歩(56)
60 同 歩(54)
61 5四歩打
62 6二角(53)
63 6六銀(67)
64 7三角(62)
65 6五銀(66)
66 8七歩成(86)
67 6四銀(65)
68 9五角(73)
69 7一飛成(74)
70 8五飛(82)
71 7四龍(71)
72 8四歩打
73 6三銀成(64)
74 8六角(95)
75 7五歩打
76 4六歩打
77 同 金(47)
78 4八歩打
79 3九金(49)
80 7八と(87)
81 4四歩(45)
82 5四金(43)
83 同 龍(74)
84 6八角成(86)
85 同 角(57)
86 同 と(78)
87 5二成銀(63)
88 8九飛成(85)
89 4一成銀(52)
90 同 銀(32)
91 4三歩成(44)
92 5七角打
93 2九金打
94 4六角成(57)
95 4二と(43)
96 同 銀(41)
97 4一角打
98 3二桂打
99 同 角成(41)
100 同 玉(22)
101 3四龍(54)
102 4一玉(32)
103 4三銀打
104 投了
まで103手で先手の勝ち
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20170105今日の一手(その443): 受けのテクニック

2017-01-05 | 今日の一手
20170105今日の一手

12月4日の名南将棋大会から、YさんとDさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀桂と飛の交換で、と金を作っています。損得はほぼありません。
玉の堅さは同じくらいですが後手の美濃囲いのほうが一路深いです。
先手の攻め駒は(後手玉に向かっているものだけ数えて)持ち駒飛角2枚。
後手の攻め駒は49角56銀と持ち駒銀桂で4枚。45の桂も控えているので十分です。

総合すれば後手が有利です。

何手で詰めろになるかを見ておきます。
後手玉は22と~31飛~62金~61金で詰めろなので現状5手すきくらい。
先手玉は75桂~67銀不成88玉58銀不成~69銀不成で詰めろ、現状4手すきくらいです。
先手番とはいえこのままでは1手負けなので後手が有利です。
(まだ互いに詰めろまでの道のりが長いので参考まで)

☆ 大局観として
寄せ合いに行くには攻め駒が足りません。22の金を取って、31飛~62金という筋ですが、それでも後手玉は詰めろになりません。
ですから当面は受けて手を稼ぐことです。後手の攻め駒は4枚あるので受けきりは難しく、どこかで反撃を狙うしかありません。(入玉できれば別ですが。)後手の美濃囲いは金銀2枚なのでまだ悲観するところでもないでしょう。


△ 敵の打ちたいところに打て、は57歩です。

後手から57銀打ち(あるいは桂打ち)と打ち込まれるのを防いでいるわけです。
後手は66桂同歩67銀打

という筋は残っていて、67同金同角成88玉57桂成79桂

でまだ難しい局面です。後手は66馬や68成桂では遅いので、68馬でしょうか。78銀と投入して、まだまだです。受けきれませんが、どこかで31飛から寄せ合いを考えます。

また、後手は57歩に37銀

というのもありそうです。56歩26銀成22と・・・と迂回路から寄せ合いです。
どちらも形勢は互角に近いです。


○ 59歩は受ける地点を変える手で

57銀打や57桂打を甘くしています。66桂同歩67銀打

の筋はありますが、これも58の金にひもをつけている(増やしている)わけで、59歩は働いています。
88玉58角成同歩68金

と迫られても後手の持ち駒が歩だけですから(68同金同銀成りに)31飛の攻め合いで先手有望です。

59歩には後手は75桂とすべきなのでしょう。

先ほどは57歩で銀取りだったのですが、59歩なら少しゆっくり攻めます。
22と67銀成88玉58角成同歩68銀

68同金同成銀21飛71金打

金を1枚使わせて、さらに53角62金打64角成から玉を上に逃げる感じでしょうか。62金打としなければ先手から62銀で寄せに行きます。まだ難しいのですが、先手を持ちたい気がします。


× 66角は駒を足す受けで66桂や75桂も消していますが65桂

と足されると、寄せ合いの時に戦力不足ですから少し悪いのでしょう。後手の攻め駒が多いので受けきりにはなりません。


△ 68金寄はかわす受けで

58角成の筋や66桂の筋を受けています。
57銀打に58歩48銀成22と

銀を捨てて手を稼ぎました。うまい受けですが、31飛に71桂とか埋める駒を渡すので形勢は互角です。


× 実戦は59金寄

催促する受けでしたが、58角成同金65桂66角57銀打

当然角を切って攻められます。59歩に66銀成同歩57桂右成同銀同桂成69飛67銀打

懸命に受けましたが、後手の攻め駒が減らないので受けきれなくなりました。
大駒が取れると攻めの速度は鈍るのですが、数が減らないと攻めは続きます。1手かけた59金寄の価値が小さいので、得をしていないということなのでしょう。


△ 22と もあって

57銀打に59歩

と受けても、48銀成31飛57桂成48金67角成88玉68成桂

と進んで、後手玉が端から逃げだした時に67の馬が利いてきて捕まえにくい形なので後手が勝ちやすいです。
これは先に受けたほうが手堅いの裏で、後から受けるほうが難しい、ということなのです。

では22と は受けになっていないかと言えばそうでもなく、57銀打に59金打

で千日手に受けられる、という手でした。受けるための駒を入手したのです。本当に千日手になるかどうかは微妙なところではありますが。


△ 88玉の早逃げというのもあります。

67銀成には59金引

で効果がわかります。

戻って57銀打59金引38角成57銀同桂成

という感じでしょうか。これから寄せ合いで、先手玉に詰めろがかかりにくくなった(遠くなった)ので互角の形勢です。


☆ まとめ
今回は受けのテクニックがいろいろ出てきました。

57歩は敵の打ちたいところに打ての手筋。

59歩は受けの場所をずらす手筋。

68金寄は狙われている駒をかわす手筋。その後で58歩と受けるスペースも作っています。

66角は足し算で受ける手筋。

59金寄は催促する手筋。

22と は受けの駒を入手する手

88玉は玉の早逃げの手筋でした。


こういうテクニックはうまく(網羅して)分類できるとよいのですが、これ以外にもありそうです。どれが一番良いかは局面によって変わるのでしょう。59歩を一応の正解としますが、いろいろ覚えて使い分けられれば一人前です。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする