名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(412); 三間飛車に腰掛銀急戦

2017-01-27 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和53年5月、石田和雄先生と第4期棋王戦です。

大山先生の先手三間飛車に、石田先生は腰掛銀。右四間飛車にはならないのですが

早い仕掛けです。大山先生は56歩の代わりに67銀としておいて、68飛を間に合わせるほうが無難だったかも。

石田先生はどんどん攻めます。

飛車をさばけば満足でしょう。

大山先生は四間に移動して

石田先生は馬を作ります

が馬が消えました。

桂馬を殺しても82歩があり、取れば71角です。大山先生がうまく反撃しています。

大山先生の香得になり、角の打ちあい。

68飛はもちろん逃げません。歩をたらすのも好手。

ですが、65飛と走って62歩と受けさせるのは味消しです。先に81角成のほうが受けにくいです。

石田先生は金取りを無視して寄せに出ます。65飛をとがめているわけです。

金をはがされても、この攻めがかなり厳しく

飛車を重ねて打ち

48香から角を取れば39角があり(48香に39金だったか)

駒得になった石田先生の攻めは切れないです。

大山先生の玉もかなり堅いのですが戦力不足。

金銀を削られてしまいます。

石田先生は再び金取りを無視して寄せに出ます。

後手玉に詰めろがかかりましたが、角を捨てて

角を抜いてしまえばよいと。

大山先生の攻めはやや遅く

投了図。詰まされました。

石田先生の見たことのない急戦でしたが、仕掛けは十分成立しているようです。大山先生の56歩が無造作でしたか。
でもその後の反撃はうまいです。振り飛車党にはよい教材です。でもうまくいきすぎて65飛はつい手が滑ったという感じです。
終盤は駒損でも粘る大山先生の玉を石田先生がうまく寄せました。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:石田和雄7段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 3四歩(33)
7 6六歩(67)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 2八玉(38)
16 6四歩(63)
17 3八銀(39)
18 6三銀(62)
19 5八金(69)
20 5四銀(63)
21 5六歩(57)
22 6五歩(64)
23 5七銀(68)
24 6六歩(65)
25 同 銀(57)
26 6五歩打
27 5七銀(66)
28 7七角成(22)
29 同 桂(89)
30 8六歩(85)
31 同 歩(87)
32 同 飛(82)
33 5五歩(56)
34 6三銀(54)
35 6八飛(78)
36 8八角打
37 6五桂(77)
38 5五角成(88)
39 4六銀(57)
40 4四馬(55)
41 5五角打
42 6四歩打
43 4四角(55)
44 同 歩(43)
45 8二歩打
46 6五歩(64)
47 8一歩成(82)
48 8九飛成(86)
49 9一と(81)
50 7七角打
51 9二角打
52 5四銀(63)
53 5六香打
54 4三銀(54)
55 6四歩打
56 5四歩(53)
57 6五飛(68)
58 6二歩打
59 8一角成(92)
60 8六角成(77)
61 5四香(56)
62 7六馬(86)
63 5二香成(54)
64 同 金(41)
65 6七飛(65)
66 6六桂打
67 5七金(58)
68 6七馬(76)
69 同 金(57)
70 8八飛打
71 6八金打
72 4八香打
73 同 金(49)
74 8一飛成(88)
75 4九香打
76 8八龍(81)
77 5五桂打
78 7八桂成(66)
79 5八金(68)
80 6九成桂(78)
81 4三桂成(55)
82 同 金(52)
83 5七銀(46)
84 9九龍(88)
85 4六歩(47)
86 2四香打
87 4五歩(46)
88 5五角打
89 4六銀打
90 8八角成(55)
91 4四歩(45)
92 同 金(43)
93 6六角打
94 同 馬(88)
95 同 金(67)
96 5九成桂(69)
97 同 金(58)
98 同 龍(89)
99 3六桂打
100 4七歩打
101 4四桂(36)
102 2二玉(32)
103 5三角打
104 3九角打
105 同 玉(28)
106 4八歩成(47)
107 同 銀(57)
108 5三龍(59)
109 3二金打
110 同 銀(31)
111 同 桂成(44)
112 同 玉(22)
113 5四歩打
114 5一龍(53)
115 4四銀打
116 5八金打
117 5三歩成(54)
118 4七桂打
119 投了
まで118手で後手の勝ち

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20170127今日の一手(その454): と金の遅早

2017-01-27 | 今日の一手
20170127今日の一手

1月7日の名南将棋大会から、SさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はないのですが、馬と成銀を作りあっています。角が馬になると4か所利きが増えて、銀が成銀になると1か所増えるだけ、馬のほうが得なので、わずかに先手の駒得です。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は34馬と持ち駒銀で2枚。
後手の攻め駒は56成銀と持ち駒角で2枚。

総合すればほとんど互角、少し先手が指しやすいのかも、というところです。

☆ 大局観として
駒得を生かして持久戦、と行きたいところですが、後手から47歩成とか28角あるいは48角があって、駒得は消えてしまいそうです。これを防ぐ手段は難しそうです。特に47歩成から57と というのが金をはがされそうで痛いですね。
つまり後手の攻め駒は47歩成で3枚になりそうなのです。これに対抗するには先手も攻め駒を増やして寄せ合いを考えるしかありません。と言っても39飛や37桂を使うのは手間がかかかります。と金を作って対抗するのでしょう。
後手よりも先にと金を作れないか、と考えます。それなら互角にはなるはず。というのはどちらも働きが悪い飛車ですが、先手の飛車のほうが守りに働きそうだから。直前の後手の32歩が指したくない手だったのです。もっとも先手の飛車も角打ちの目標になるので威張れたものではないのですが。


× 57歩というのも考えてよい手ですが

55成銀に58金では28角


最後49飛でも38角

があるので、と金作りは避けられません。

また、最初の57歩に同成銀同金48角というのも気になります。

× 実戦では24歩でした。

飛車を取りたい、という手です。でも47歩成23歩成21飛(に32とが利かなくて)22歩71飛32と

飛車に逃げられて桂馬が取れるだけでした。それでも75桂があるのですが、57と33馬74歩42と68と同銀47歩

もう一枚と金を作られてのゆっくりした攻めが間に合って、後手Sさんの勝ちになりました。


△ 一目は44歩ですね。

成銀に当たっています。47成銀なら43歩成48角79飛37角成44馬

54金にも35馬なので53と が実現しそう。後手は桂馬を取っても と金が作れません。こうなれば先手の楽勝か。

55成銀と引いたら

43歩成47歩成33と

逆モーションですが、33同歩同馬が両取りです。21飛32と71飛75桂48角49飛37角成63桂成同金42と

金をはがしたので、52と~62金で寄せられます。(と金を使って4枚目の攻め駒にするほうが良いです。)

他には44歩に12角

と合わせる手。(23角では同馬~34角で両取り。)これは取るかどうか悩ましいですが、35馬47歩成13銀

で大丈夫でした。

だから44歩が好手で先手有利、と思ったら57成銀

という手がありました。57同金48角29飛(よい逃げ場所がないのがつらい、もしかすると56馬として飛車を取らせるのかも)57角成

というのは金をはがされているので寄せあい一手負けか。68銀打とできるのですが、その後 と金に早く当たってしまいます。

ということは57成銀に43歩成

のほうが少し良いのでしょう。68成銀同金47歩成61銀28角

という寄せ合いで形勢不明です。


○ では59飛か。

これなら57成銀の筋が消えます。47成銀に44歩48角79飛37角成43歩成

では59飛の途中下車で1手損ですが、と金の作りあいでは先手が速いので、これでも先手有望です。以下は36馬(44馬の時に54金と出られる)61銀71金52銀成

で53と を狙って指せそうです。


× 他には52歩からと金作り。

44歩~43歩成~52と よりも(これは成銀に当たっていたが)52歩~51歩成のほうが(位置が違うけれども)1手早いのか?という比較です。47歩成51歩成57とに52銀

68と同金48角38飛59角成61と

飛車と馬か成銀を交換できたら(58飛とか)63銀成同金71銀という攻め方ですが、ちょっと心細く、寄せ合い負けになる気はします。後手はいろいろな攻め方があるのも不安です。


△ 最後は61銀

71金なら52銀不成62金引65歩47歩成64歩

で寄せあいになり、これは有望か。

後手としては62金寄

52銀不成同金同馬72銀打

とするか(先手は44歩からと金作り)

手抜いて47歩成72銀成同銀

か、どれもその後の先手の と金作りが早くなるかどうかという比較です。



☆ まとめ
後手の一番働いている攻め駒は56成銀で、これを攻めるのは良い着目点です。
44歩(馬で成銀取り)、59飛、57歩の3つ。
パッと見ると44歩がぴったりなのですが57成銀があるのです。(こういうのに気がつかかないのは「両取り見えない病」の症状かも)これは難解。

59飛は1手損のような気もするのですが、ほぼ47成銀に限定できる(38角は何でもない)ので有力で、これは先手有利か。

57歩は他に選択肢がなければ、という手ですが、歩切れになるのが少し痛いです。その後の44歩や59飛が成銀に当たらなくなりますし。

実戦の24歩もと金作りですが、遊んでいる飛車を取りに行くのは筋が悪い、と言われそう。ましてや手数をかけても飛車に逃げられて大損でした。

52歩成からの と金の作りあいは一手遅いようです。

61銀と引っ掛けておくと後手も悩みそう。と金を作った後でも考える手なので、問題図でやっても悪くはないのでしょう。

攻め駒が足りなければ と金作りというのはよく出てきます。1枚はがせば駒得で相手の玉の囲いが弱体化するわけで、一石二鳥、取った金駒で攻めるか自玉の守りに使うかという選択肢ができます。
と金から逃げると相手は0手で攻撃の駒を玉に近づけられます。
こういうのを と金の遅早(おそはや)というのでしたね。(遅いようでも速い、という言葉の略語でしょう。)昔はマムシの と金とも言いました。毒蛇みたいに、気がつかないと命取りになっているということでしょうか。

コメント
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