名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(410); 四間飛車に玉頭位取り

2017-01-25 | 大山将棋研究
大山全集ではアマチュアとの飛車落ちが入るのですが、省略します。(対香村保文氏、大山勝ち)

☆ 昨日の復習

先手番加藤先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和53年5月、花村元司先生と第19期王位戦です。

大山先生の四間飛車に花村先生は玉頭位取りです。

あれ?引き角にしました。これは展開によってはある手なのですが(66銀右の形で)早いです。

大山先生は腰掛銀で2筋を受けたので66銀右とはやりにくく、また角を戻します。花村先生らしい手損を気にしない序盤です。大山先生も43銀~44銀と手損に付き合うことは考えないでしょう。

角交換を挑まれれば32金で受けました。

立石流のような格好になり

でも24歩~25歩では少し遅いです。24飛とぶつける筋でさらに手得を狙うものでしょう。

花村先生は24飛の前に動きだしました。74同歩なら65銀から55角が狙いです。

美濃囲いを乱したら金を上がっておくのが呼吸です。

42金は大山先生らしい手ですが、端に手をつけられては花村先生のペースです。

大山先生は飛車をさばきましたが、端を取り込まれて55角も残っています。

飛車を成っても花村先生がじっと68飛と回ったのがが好手。89角を避け、27角が狙いです。

大山先生の54角は27角を防いだものですが、手順に利きを止められてしまい

この角が好点なのです。

大山先生は端(玉頭)をケアしますが

花村先生の55馬から85桂打ちは気持ちよいです。

馬の利きを通して攻防の銀の進出があり

小技も絡めて

玉を上から抑えます。

香を取って馬が攻防に利きます。

あとは上から駒を打っておけばよく

投了図。


いかにも花村流(序盤の手損)にだまされた、という将棋でした。大山先生でも喜び過ぎたということがあるのですね。こういうことが少ないので花村先生にはかなり勝ち越していたはずですが。
中盤以降の玉頭位取りの指し方を学ぶにはよい題材です。じっと力をためる手、どんどん攻める手、攻防の手、いろいろ出てきます。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:花村元司9段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 2五歩(26)
6 3三角(22)
7 4八銀(39)
8 3二銀(31)
9 5六歩(57)
10 4三銀(32)
11 6八玉(59)
12 4二飛(82)
13 7八玉(68)
14 6二玉(51)
15 5八金(49)
16 7二玉(62)
17 9六歩(97)
18 9四歩(93)
19 6八銀(79)
20 8二玉(72)
21 7七銀(68)
22 7二銀(71)
23 7五歩(76)
24 4五歩(44)
25 7九角(88)
26 5四銀(43)
27 5七銀(48)
28 6四歩(63)
29 8八角(79)
30 3五歩(34)
31 7六銀(77)
32 3二金(41)
33 3三角成(88)
34 同 桂(21)
35 2四歩(25)
36 同 歩(23)
37 同 飛(28)
38 2三歩打
39 2八飛(24)
40 4四飛(42)
41 6六歩(67)
42 2四歩(23)
43 7七桂(89)
44 2五歩(24)
45 6五歩(66)
46 同 歩(64)
47 7四歩(75)
48 6三銀(54)
49 7三歩成(74)
50 同 銀(72)
51 6七金(58)
52 4六歩(45)
53 同 歩(47)
54 4二金(32)
55 9五歩(96)
56 6六歩(65)
57 同 銀(57)
58 4六飛(44)
59 9四歩(95)
60 4九飛成(46)
61 9三歩成(94)
62 同 香(91)
63 同 香成(99)
64 同 玉(82)
65 6八飛(28)
66 5四角打
67 6四歩打
68 同 銀(73)
69 6五歩打
70 7三銀(64)
71 4三歩打
72 5二金(42)
73 5五角打
74 8四歩(83)
75 9九香打
76 9六歩打
77 3三角成(55)
78 9四香打
79 5五馬(33)
80 9七歩成(96)
81 8五桂打
82 同 歩(84)
83 同 桂(77)
84 8二玉(93)
85 7五銀(66)
86 7四歩打
87 7三桂成(85)
88 同 桂(81)
89 8四銀(75)
90 8一桂打
91 9五歩打
92 同 香(94)
93 9四歩打
94 9二歩打
95 8三銀打
96 7一玉(82)
97 7三銀成(84)
98 同 桂(81)
99 同 馬(55)
100 6二金(61)
101 9五馬(73)
102 7五歩(74)
103 同 銀(76)
104 7六歩打
105 同 金(67)
106 6七歩打
107 同 玉(78)
108 8七と(97)
109 6四桂打
110 4七龍(49)
111 5七香打
112 4三金(52)
113 7四桂打
114 投了
まで113手で先手の勝ち
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20170125今日の一手(その453): 駒得は味が悪い

2017-01-25 | 今日の一手
20170125今日の一手

1月7日の名南将棋大会から、KさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
歩歩と桂の交換です。持ち歩があるので歩をカウントせず、先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうが大分堅いです。金銀3枚と1枚ですから。
先手の攻め駒は35角と持ち駒桂で2枚。
後手の攻め駒は73角1枚。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
84にいた角を73に引いて飛車取りです。銀は取れますが28角成とされるのでそんなことする人はいませんね。飛車取りをどう受けるかです。

駒得ですから長期戦になれば有利です。でも玉が薄いので苦労するのです。金銀が4枚バラバラですね。どうにか局面を収めて駒得を生かすのが課題です。


× 実戦は64歩で

普通なら好手になりそう。でも64同角同銀同銀

と進んだ局面がどうやら先手が不利なようなのです。歩歩歩銀と角桂の交換ですが、今度は歩切れ。駒得が広がったとも言いにくいです。
59銀と引きたいのですが36歩は嫌味(37歩成同桂36歩の筋)。46角は45歩、57角は55歩という調子で少し困っています。
実戦は86金と引いて、これも好手になりそうな手なのですが、75銀とぶつけられて金が逃げにくく、75同金同飛57角に58金

ハードパンチがありました。取れないので79玉57金同金39角66角

39角で決まったかと思ったら(58飛には67銀)角打ちの返し技がぴったり。後手としては39角ではなく67銀でした。
飛車の取り合いになりこういう図(28角成75角49飛88玉29飛成72飛42銀35桂64銀で52銀と打った仮想図)

52銀と打てば寄りでした。(35桂64銀の前に52銀でもよし。これがあるので後手は42銀では42銀打か。)実戦では52銀に気がつかず、86角77歩から受け身になり、後手Nさんの勝ち。

Kさんはなかなかよい手を指しているのですが、この局面ではうまくいきませんでした。


○ じっと18飛のほうがしっかりしていて

82角74歩64銀76銀

という具合で銀をかわしていけば後手に継続の手段が難しいところでした。駒を交換しないほうが良いのです。

途中66に銀を出られたら75桂

で返しておきます。74歩と飛車を抑え込んでいるなら66の銀を持ち駒の桂馬と交換でもよいでしょう。

戻って82角ではおとなしすぎで、64銀なら引くかどうか悩みますが、74に出て

どうでしょうか。どちらかといえば狙いは73銀成ではなくて63銀成です。


× 37歩はつまらない指し方で

手堅いようでも歩切れになります。66銀74銀に77歩

68金には34銀と角を追われてよい逃げ場所がありません。79金には67銀成ですし、取れば76歩の筋(77同桂に76歩、77同金同銀成同桂76歩)。

歩を使うと74歩と打てなくて困っているわけです。


○ 46角は危なさそうなのですが

46同角同歩66銀に74歩なら77歩

これはやはりうるさいです。取るしかなくて、77同桂に(76歩はないけれど)同銀成同金36桂18飛27角

駒得でも飛車を取られるのは嫌な感じです。ただし上に逃げてしまえばということはあるので難しいところ。

この場合は74歩よりも77歩のほうが手堅いです。

67角が怖いですが58角と合わせて

大丈夫。歩切れですか局面が落ち着けば後手陣に角打ちの隙ができてきそうな感じです。


○ さらに怖いのですが、37銀もあって

銀が死ぬ形ですが、75の銀も当たりです。すなわち36歩46銀45歩に74歩

82角75金46歩73銀

怖いことをしているようでも、飛車の横利きが通ったので案外大丈夫です。47歩成も単独では怖くないです。73同角同歩成同飛74銀

72飛には46角の味が良いので飛車を切って手があるかどうか、でも銀3枚だけでは遅いので、寄せ合いと入玉を見てどうにかなりそうです。

途中66銀と逃げられたら

74歩82角75桂

75同銀同金なら73銀と打ち込む筋です。


× 46歩は筋が悪いのですが、考える人はいないでしょう。

角を殺されても前の変化と同じように74歩82角75金と銀を取る変化ならまあまあ。この場合は74歩に64角で悪いです。(34歩74歩64角同銀同銀)



☆ まとめ

駒得は味が悪いもの。桂得でも守りの金銀が離れていくのですから危険が伴いました。(作戦負けになりそうだったので、桂を取って勝負、というのは行きがかり上仕方のないところだったのですが。)
変化を考える上では歩切れを避けておくのが大事なところ。74に歩を打つ変化にしたいのです。飛車を抑えてしまえばなんとか受けきることもできそうです。
条件が良ければ銀を取って73銀と駒得を拡大する、のではなくて、相手の攻め駒角を性能の悪い銀と交換する、攻撃力が低下するという狙いです。その後歩切れで(73同角同歩成同飛に)74銀とか質駒が増えるので飛車も切られて悪くならないか、本当に注意が必要です。

受けの形としては37歩では29桂が働くことが無くなるので18飛のほうがまだ良いです。25歩から縦に飛車を使えませんが、横利きを通して受けに利かせます。その後は59銀と引きたいです。

37銀は駒損になるようですが、1手で飛車の横利きが通るのが魅力。読んでみれば結構指せそうです。

46角と交換するのはあまりよくない気がするのですが、35の角は後手の攻めの目標になるので交換してしまうという考え方もあります。でも金銀がバラバラなので両取りの筋に注意が必要です。
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