名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(414); 四間飛車に銀冠

2017-01-29 | 大山将棋研究
☆昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和53年6月、淡路仁茂先生と第17期十段戦です。

大山先生の四間飛車。淡路先生は天守閣美濃です。

この歩を突くと作戦負けになりやすいのでお勧めしません。

大山先生はおとなしく対応したので問題は起こらず

淡路先生は銀を57に出たのですが32飛で46銀を強いられました。38飛で千日手というわけにもいきません。

結局は銀冠での引き角棒銀になりました。

これはおとなしい指し方ですが淡路先生らしいじっくりした戦い方。この後銀を立て直します。

大山先生は中飛車から飛車をぶつけます。交換すると後手を引いても52飛よりも39飛のほうが厳しいです。

交換にはならず落ち着いたのですが、37桂は簡単に跳ねないほうが良いでしょう。

42飛に28飛だったのですが、24歩同歩を入れるべきでした。3筋から逆襲されます。こういう時に37桂が傷になるのです。

淡路先生は銀を捨てて2筋を破り

竜を作って桂を逃げます。これでうまくやったようでも、37歩成から と金攻めが残っているので忙しいです。

桂香と銀 と金の交換。馬竜を作っているので現時点では淡路先生が駒得ですが。

急がなければいけないので端攻め。これに大山先生は71銀と投入。壁を作るのは怖いところですが

当面は銀冠なので端はしのいでいます。淡路先生は と金への対応が必要です。57歩と合わせるのは苦心の手で

とりあえず5筋を破られないようにしました。

と金からは右金を逃げていきます。

一段落して、大山先生は玉を引きます。これが大山流。

端攻めから1つ遠ざかって銀を使って守るのです。

淡路先生はそれでも端から攻めるしかありません。重い銀ですが

とにかく端攻め。

大山先生の反撃です。歩の裏に香を打つのは受けにくい攻め筋です。

そして歩をたらします。

大山先生の受けは受けるだけではなく、どこかで寄せ合いで勝てるようになったら手抜きます。角取りに馬取りで返し

淡路先生は銀を捨てて形を決めてから

角を取りました。これに87歩は盲点になりそう。(馬を取るのでは少し怪しい。)

銀で追いかけて

香打ち。詰みがありました。

淡路先生のミスは24歩を突き捨て損ねたこと。その前の37桂もたたっています。そこで少し損をしただけなのですが、逆転を許さない大山先生の指し回しが素晴らしいです。淡路先生もうまく粘って166手ですか。両者の持ち味が良く出ていると思います。なかなかの好局でした。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:淡路仁茂6段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4三銀(32)
9 6八玉(59)
10 4二飛(82)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 3六歩(37)
16 7二玉(62)
17 5八金(49)
18 8二玉(72)
19 8六歩(87)
20 7二銀(71)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 8七玉(78)
24 5二金(41)
25 7八銀(79)
26 6四歩(63)
27 1六歩(17)
28 1四歩(13)
29 6六歩(67)
30 6三金(52)
31 6七金(58)
32 7四歩(73)
33 7九角(88)
34 2二飛(42)
35 7七桂(89)
36 7三桂(81)
37 5七銀(48)
38 5一角(33)
39 6八角(79)
40 3二飛(22)
41 4六銀(57)
42 5四歩(53)
43 8八玉(87)
44 8四歩(83)
45 3七銀(46)
46 2二飛(32)
47 8七銀(78)
48 8三銀(72)
49 7八金(69)
50 7二金(61)
51 2六銀(37)
52 4五歩(44)
53 3五歩(36)
54 6二角(51)
55 3四歩(35)
56 同 銀(43)
57 3五歩打
58 4三銀(34)
59 3七銀(26)
60 4四銀(43)
61 3六銀(37)
62 5五歩(54)
63 同 歩(56)
64 5二飛(22)
65 5八飛(28)
66 5五飛(52)
67 5六歩打
68 5二飛(55)
69 3七桂(29)
70 4二飛(52)
71 2八飛(58)
72 3四歩打
73 2四歩(25)
74 3五歩(34)
75 2三歩成(24)
76 3六歩(35)
77 3二と(23)
78 同 飛(42)
79 2一飛成(28)
80 5二飛(32)
81 2五桂(37)
82 5五歩打
83 1一龍(21)
84 5六歩(55)
85 1三角成(68)
86 3七歩成(36)
87 9五歩(96)
88 同 歩(94)
89 9八香打
90 7一銀打
91 4一龍(11)
92 5四飛(52)
93 5七歩打
94 4七と(37)
95 5六歩(57)
96 4六と(47)
97 5五桂打
98 同 銀(44)
99 同 歩(56)
100 同 飛(54)
101 5七歩打
102 5六歩打
103 2二馬(13)
104 5三飛(55)
105 5六歩(57)
106 同 と(46)
107 6八金(67)
108 5七と(56)
109 6九金(68)
110 5八と(57)
111 7九金(69)
112 5七飛成(53)
113 4五龍(41)
114 8一玉(82)
115 9四歩打
116 同 香(91)
117 9三歩打
118 8二銀(71)
119 9五香(98)
120 同 香(94)
121 同 香(99)
122 9四歩打
123 同 香(95)
124 同 銀(83)
125 9二銀打
126 7一玉(81)
127 9九香打
128 9五歩打
129 1三馬(22)
130 3五歩打
131 9五香(99)
132 同 銀(94)
133 同 龍(45)
134 8五歩(84)
135 5三歩打
136 同 角(62)
137 2三馬(13)
138 8三桂打
139 8四龍(95)
140 9五香打
141 6七馬(23)
142 4七龍(57)
143 4八歩打
144 同 龍(47)
145 8五桂(77)
146 9六歩打
147 同 銀(87)
148 同 香(95)
149 5四歩打
150 5七と(58)
151 8一銀成(92)
152 同 玉(71)
153 9二歩成(93)
154 同 玉(81)
155 9三銀打
156 8一玉(92)
157 8二銀成(93)
158 同 金(72)
159 5三歩成(54)
160 8七歩打
161 同 玉(88)
162 9八銀打
163 9六玉(87)
164 8七銀打
165 同 金(78)
166 9五香打
167 投了
まで166手で後手の勝ち


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20170129今日の一手(その455): 手筋の組み合わせ

2017-01-29 | 今日の一手
20170129今日の一手

1月7日の名南将棋大会から、MさんとTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は77角25桂で2枚。
後手の攻め駒はありませんが、32飛24角はすぐに働きそうです。

総合すればやや後手もちです。

☆ 大局観として
玉の堅さが違うので、攻め合いはあまり望ましくないのでしょう。先手としては45歩同歩と突き捨てて端を攻めるつもりだったはず。一方的に攻められれば穴熊が弱体化するのでよい勝負です。77角25桂19香が攻め駒になるのですね。
(ただしこういう攻め筋は28玉も危険になるわけで、こういう図を見ると藤井システムのように居玉のほうが良いなあ、と思ってしまいます。)

後手のほうから見ると、飛角は働きそうなのですが、攻め駒が足りません。53の銀あたりが攻め駒として働いてくると迫力が違うのですが。

ということで攻めるべきか守るべきか、という選択です。


△ 攻めの筋は2通りあって、64歩と突き捨てて

飛車を攻めに使おうという手です。64同歩に44歩同銀64飛

46歩48金引36歩63飛成53金61竜

ここで55歩を取りづらく、67銀37歩成同銀36歩26銀35銀

という図は、後手の攻め駒が3枚(に近く)、36歩や46歩の拠点が大きく、と金を作らせると4枚の攻めになるのですから、受けきりは不可能でしょう。これは後手が良くなりそうです。


△ もう一つは44歩と取り込んで

44同銀45歩53銀なら

角筋が通ったので35歩同飛13桂成同香14歩

と攻める筋。どこかで13同銀と取れないので迫力がある端攻めです。14同香同香13歩に26香

角が逃げれば23香成です。これは先手よし。

13同桂でも

14歩25桂36歩32飛26歩

とすれば先手が指せそうです。どこかで35歩の前に36桂と王手されても29玉くらいで困りません。

こういう展開なら一方的に攻めている感じでよいのですが、45歩に55銀で

55同銀同歩同角54金

では後手が好調です。


○ この二つ(64歩と44歩)はうまくいかないようなのですが、2つを合わせると
64歩同歩44歩同銀45歩
あるいは44歩同銀64歩同歩(手抜きの可能性もあるが)45歩

でこの図になります。53銀なら35歩同飛13桂成の筋でまあまあ指せそう。
55銀に同銀同歩44歩同金64飛

とにかく急いで攻めるわけです。45金に43銀、というのは後手の飛車の筋がそれますし、43歩なら46歩と打たれなくなります。これで互角ではないか、と思います。


× 実戦ではいきなり13桂成で

13同香14歩36歩13歩成同桂

という順でした。端は得をしたような感じがしますが、36歩の取り込みも大きいです。以下は26香に55桂

という攻め合いで、55同銀同歩35歩同飛24香37銀

と激しい戦いになりました。先手が角を取ったのはよいのですが、穴熊が遠くて後手のほうが指しやすいのでしょう、先手玉を左に逃げ出して頑張ったのですが届かず。


× 14歩として

14同歩35歩同飛13歩

というのも考えられます。13同桂同桂成同香36歩32飛64歩同歩44歩同銀64飛

で36歩を先手で打てたので飛車をさばきます。でも55歩を取りにくく、67銀46歩48金引37歩

桂を渡したのでどんどん攻められます。37同銀45桂26銀47歩成同金57桂成

では受けきれません。


○ 受けるとしたら35同歩で

35同飛に26歩

と後手を引くのですが、後手も案外難しいです。36歩に37歩同歩成同銀36歩同銀同飛

は激しいことになり、36同金57角成58飛同馬同金

というのは互角ですがあまり先手を持ちたくないという人が多いでしょう。

36歩にはじっと48金上

と構えておいて、45歩に64歩同歩37歩同歩成(46歩には36金)同銀

というのがいいのでしょう。32飛には45銀、44銀には64飛ですから、44金に38金か36歩か。動くと反撃をくらいそうなので、とにかく待機してから65歩(同歩同飛64歩85飛)とか44角(同銀に64飛か43金)とか13桂成とか、よいタイミングで攻められれば有利になる、という感じです。


☆ まとめ

攻めるなら後手から36歩を取り込まれる前に攻めないといけません。戦いは歩の突き捨てからというわけで、64歩同歩を入れて44歩同銀45歩が攻めの手順というものです。銀を引けば13桂成以下は藤井システムのような端攻めの手順。55銀なら飛車をさばきます。(とはいえ後手に疑問手があるわけでもないので形勢は互角です。)

受けるなら突かれた歩は取る手から考えるもので、35同歩以下、とにかく金銀を前に出して後手の攻めを食い止めます。怖いのですが後手の攻め駒が足りないのでまだ受ける手段はあるはず。

(とはいえ、振り飛車から見たら3筋を攻められるのは嫌なので、問題図の前で25桂とか45歩とかいく前に銀冠を急ぎたいなあとは思うところですが)
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