名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(416); 四間飛車に居飛穴

2017-01-31 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?



☆ 今日の棋譜
昭和53年6月、森安秀光先生と第17期十段戦です。

大山先生が四間飛車で、森安先生は居飛穴に。

昔は66歩と突かない形が多かったのです。その時には78金右とせずに、59角~66銀~75歩同歩78飛としたほうが攻めやすいとされていました。この時期はまだそんなことはわかっていないのでしょう。

4枚の穴熊なので堅いです。(だから振り飛車は66歩と突かせるのを選ぶようになったのですが)でも大山先生はおとなしく指します。

そろそろ振り飛車もなにか主張したいところ。4枚の穴熊が堅いですが、駒が片寄っているので右側の戦いは優位に進めやすいはずではあります。

大山先生は45歩から44銀でした。2筋が危険ですが

桂を跳ねて受けます。

でも飛車を寄られてちょっと困った感じがします。35歩から角銀交換ですが

歩切れなので駒得とも言えません。穴熊は大駒よりも金駒のほうが価値が高い時もありますから。まずは46歩で、角を打ち込む準備。

森安先生は46歩を取らずに34飛、47歩成には44飛ということです。大山先生は角を移動して、44飛~41飛成に飛車をぶつけます、という意味。

24歩には角を打って45角成を狙い

46歩と取らせて42飛44銀に45桂、取れば同角成です。

左桂がさばけました。森安先生は と金で対抗します。

大山先生に持ち歩があれば と金で攻められるのですが、

成桂と と金では迫力が違います。

底歩で守るのですが、と金を作れなくなりました。

剥がしあい、打ちあいで長期戦になり

森安先生は と金を使えるので少しずつ得になります。

大山先生は8筋から攻めます。

でも金を埋められ

攻防の桂打ちから

銀を埋められます。再構築する穴熊が堅すぎて、寄せ合いになりません。

とりあえず粘りますが、入玉しか望みがないのがつらいところ。

森安先生はゆっくり寄せればよく、こういう香もあとで入玉阻止になりそう。

大山先生の粘りもこれまで。

投了図。


中盤で角銀交換でも歩切れが痛かったです。左桂をうまくさばいて感心していたのですが、と金攻めと金銀を埋める手厚い指し方が森安先生の勝因。
森安先生は粘りの振り飛車党ですが、居飛穴を持っても金銀を埋めるのが自然に浮かぶのでしょう。穴熊が向いている感じがしますね。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:森安秀光7段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5七銀(48)
14 8二玉(72)
15 7七角(88)
16 4三銀(32)
17 8八玉(78)
18 5二金(41)
19 9八香(99)
20 7二銀(71)
21 9九玉(88)
22 6四歩(63)
23 8八銀(79)
24 7四歩(73)
25 7九金(69)
26 9四歩(93)
27 2五歩(26)
28 3三角(22)
29 5九金(49)
30 9五歩(94)
31 6九金(59)
32 6三金(52)
33 3六歩(37)
34 8四歩(83)
35 7八金(69)
36 7三桂(81)
37 5九角(77)
38 8三銀(72)
39 6六銀(57)
40 7二金(61)
41 1六歩(17)
42 1四歩(13)
43 3八飛(28)
44 3二飛(42)
45 6八角(59)
46 5四歩(53)
47 3五歩(36)
48 同 歩(34)
49 同 飛(38)
50 3四歩打
51 3六飛(35)
52 6五歩(64)
53 7七銀(66)
54 4二角(33)
55 8六歩(87)
56 4五歩(44)
57 2六飛(36)
58 4四銀(43)
59 2四歩(25)
60 同 歩(23)
61 同 角(68)
62 3三桂(21)
63 6八角(24)
64 2五歩打
65 3六飛(26)
66 3五歩(34)
67 同 角(68)
68 同 銀(44)
69 同 飛(36)
70 4六歩(45)
71 3四飛(35)
72 6四角(42)
73 2四歩打
74 2七角打
75 4六歩(47)
76 4二飛(32)
77 4四銀打
78 4五桂(33)
79 2三歩成(24)
80 5七桂成(45)
81 3三と(23)
82 4一飛(42)
83 4三と(33)
84 4九角成(27)
85 3三飛成(34)
86 3一飛(41)
87 3二歩打
88 5一飛(31)
89 4二と(43)
90 6六歩(65)
91 同 歩(67)
92 8一飛(51)
93 5二と(42)
94 4六角(64)
95 5三と(52)
96 6四金(63)
97 4二龍(33)
98 1九角成(46)
99 3一歩成(32)
100 6七成桂(57)
101 6二と(53)
102 7八成桂(67)
103 同 金(79)
104 6二金(72)
105 同 龍(42)
106 7二金打
107 4二龍(62)
108 5九馬(49)
109 5三銀成(44)
110 6一歩打
111 6五桂打
112 同 金(64)
113 同 歩(66)
114 6二香打
115 6八銀(77)
116 6九馬(59)
117 7九金打
118 5八馬(69)
119 4一と(31)
120 8五歩(84)
121 5一と(41)
122 8六歩(85)
123 8四歩打
124 同 銀(83)
125 6一と(51)
126 8七桂打
127 同 銀(88)
128 同 歩成(86)
129 同 金(78)
130 8六歩打
131 同 金(87)
132 9三玉(82)
133 7八金打
134 8五銀(84)
135 同 金(86)
136 同 桂(73)
137 8六桂打
138 8四玉(93)
139 8七銀打
140 6一飛(81)
141 5二龍(42)
142 3一飛(61)
143 3二歩打
144 2一飛(31)
145 6二成銀(53)
146 8三金(72)
147 2二歩打
148 同 飛(21)
149 6三成銀(62)
150 2三飛(22)
151 6四成銀(63)
152 7三銀打
153 6一龍(52)
154 4三飛(23)
155 9一龍(61)
156 4九飛成(43)
157 5九香打
158 4八馬(58)
159 5五歩(56)
160 6四銀(73)
161 同 歩(65)
162 8二銀打
163 同 龍(91)
164 同 金(83)
165 6三歩成(64)
166 8三金打
167 6四銀打
168 9三玉(84)
169 9四香打
170 8四玉(93)
171 5七銀(68)
172 投了
まで171手で先手の勝ち

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20170131今日の一手(その456): どういう振り飛車を好むか

2017-01-31 | 今日の一手
20170131今日の一手

1月7日の名南将棋大会から、HさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。先手玉は広いという感じですが。
先手の攻め駒は銀がぶつかっているので56銀は攻め駒と数えてもよいですが、48角は93にしか利きが届いていないので攻め駒とも言いにくく、1枚としておきます。
後手の攻め駒は52飛64角65銀で3枚。

総合すれば後手がやや有利です。

☆ 大局観として
後手はいわゆる飯島流引き角戦法(平美濃戦法)から銀冠穴熊にしたようです。ここまで組んで飛角銀桂が使えているので作戦勝ちです。
先手は3,4,5筋の位を取っているのが主張で、抑え込んで指そうとしています。
そこで後手に76の銀を65に引いてぶつけられたのが問題図。

すぐに駒得にするというのはないのですが、銀を交換して41銀というのは金銀交換になるのでわずかに駒得です。それがいいかどうかの判断です。駒得で後手玉が薄くなるのですが、後手の攻め駒が増えるのでデメリットもあります。

銀冠穴熊は2筋を攻める形を作っておきたいのですが、26歩が間に合っていません。突いてあれば玉が広いし、25歩同歩24歩で銀冠を崩す筋もあります。ということは玉を固めるというか、広くするというか、攻め筋を見せてというか、玉の堅さに注目するなら26歩でしょう。

あとは攻め駒を増やす手。58飛や48角が攻め駒になるような手を探します。あるいは歩を垂らして将来の と金を狙うか。

また、後手の攻め駒を増やさないで受けに徹するというのもあります。流れというか、問題図では後手の攻め駒が間違っても4枚にならないように指さないと簡単に終わってしまいます。65の銀さらには73の桂が働きださないようにしておけば、まだ簡単には悪くならないでしょう。

ということで、3つの要素のどこに着目するかで指し手が変わってきます。振り飛車党ならセンスの問われるところ、と言ってよいでしょう。


× 実戦では65同銀と取って

65同桂に41銀51飛32銀成同金

と指したい手を指しました。これで形勢が良くなったかというと
金銀交換でわずかに駒得です。
後手玉は少し薄くなりました。同等くらいにはなっているはず。
先手の攻め駒は1枚ですが、後手の攻め駒は5枚に。(65の桂も57に利いているので攻め駒としてみてよいでしょう)
ここでは先手の攻撃力が上がっていないので、後手玉を薄くしても後続の攻めが遅いのです。後手の攻撃力が格段に上がっていますから受けきるのも難しく、これは先手が勝ちにくい流れなのです。

この後は78飛と使って、57銀に同角同桂成

74飛では55角で自信なし。ひねって65金63銀64金同銀74飛55銀36金65角

55の駒を銀にしたので36金とかわせるようになったのですが、それでも65角が痛打でした。72飛成に38角成から47銀で寄せられました。

△ ただし65同銀に同桂66銀

と打つつもりならまだそんなに悪くはなりません。後手の攻め駒は4枚に近いのですが、65の桂を取り切れれば、まだまだ。55角からの強襲にも備えています。57歩68飛67歩88飛58銀

受けにくそうなのですが、すぐに取らないで39金69銀不成47銀58歩成同銀同銀成同飛

で後手は歩切れ。桂先の銀定跡なりでまだまだこれからでした。というかこれなら先手を持ちたいかも。86角77歩62飛には88飛です。



○ 振り飛車らしいさばきは68飛

まずは飛車ですね。攻められたところに移動して、角の浮き駒を狙います。66歩には65銀同桂66飛55角同金同飛56歩

これは駒得になりそうで、後手の攻め駒が減る駒得ですから先手よし。

後手の変化は86角

88飛56銀同金と返して(角を取るのもありそうですが)

75角同角同歩83飛成92角86竜62飛65歩

これくらいまで進むのでしょう。92角が両取りの筋でしたがどうにか耐えています。竜を作っているので先手のほうが指せそうです。


○ 他には77桂と使うのもよさそうな手で

56銀同飛62飛65歩

これなら桂馬の関係が対等です。75角から交換ならば53角から馬を作ればよいですし、逃げれば54歩が気持ちよいです。これは先手よし。

後手は銀を交換せずに76銀とすべきで

勢いは85桂ですが65桂

桂の跳ね違い手筋は、中央に跳ね違えた方がほぼよくなるものです。

ですから78歩が仕方ないです。

62飛65歩86角54歩

となればいい勝負です。


△ 他には63歩

というのも感触の良い手です。後手が大さばきに来れば、どこかで62歩成を利かせるか、後で と金を作るか。動きにくいので56銀同飛65銀59飛66歩

と抑え込みのように指して、69飛56歩47銀打

55角に62歩成が利くのでこれで形勢互角です。56銀と払う手や、77桂76銀66飛という筋もあるので後手もどうするべきか難しそう。


△ 26歩も指したい手だと書きました。

56銀同飛65銀58飛66歩68歩86角

というのは互いに次の手が難しいです。(やはり41銀は指さないほうが良い。)


△ 47銀引も玉を固める手で

66歩68歩86角

で次にどう指すべきか互いに難しいです。
こういうのは玉が堅いのですが抑え込まれている感じはします。


× 67銀と引くと

66歩で銀が死ぬので、後手から66歩同銀同銀同角62飛67歩65桂

くらい。1歩儲けましたが、あまり指したいという感じではありません。これで後手が歩切れならよいのですが。後手にだけ57歩とか57銀とか、攻める手段があります。


☆ まとめ
つい銀交換して41銀と割打ちを打って、金をはがして、さあそれから、と考えたくなりますが、この場合は穴熊の遠さは変わらず、自玉を守るのが難しくなってしまいます。65同銀同桂とすると、後手の攻め駒が増えた、という計算なのです。割打ちでさらにもう一枚増えてしまいます。
攻めたつもりでも準備不足で、寄せ合いには程遠いです。

ただし65同銀同桂に66銀と打つのが、桂馬を守りにくい形なので攻めを呼び込む強い受け、という手でした。

振り飛車らしいさばきは68飛と77桂。飛車や左桂を使う手は、さばきの振り飛車党なら一目でしょう。

63歩のような、歩の手筋を使うのが好きな振り飛車党もいるでしょう。相手に動いてもらってカウンター、というタイプ。

47銀引は玉の堅さ重視ですが、振り飛車党には少ないかもしれません。26歩は堅さより広さを主張する感じで、終盤の寝技が得意な振り飛車党が指したい手かも。

どれもありそうな手なので、好みが分かれたかもしれません。この時に、なぜその手を指したいのか、形勢判断の面から裏付けを取っておくと、棋力向上に役立つと思います。玉の堅さ重視か、さばき=攻め駒の働き 重視か、受け=相手の攻め駒を増やさない なのか。

自分はどの指し方が好みか、というのは、どの能力が優れているかということと関係しているはずです。その優れた能力を発揮できるから、そういう指し方がしっくりくるのでしょう。
あなたの強味は攻めの鋭さか、間合いをはかるのがうまいのか、逆転の筋を探すのが好きなのか、相手の言い分を聞く受けがよいのか、受けきりか、寄せあいか、、、、細かく分けていくといろいろあるとは思うのですが、好きな感じが強いところなのだろうと思います。それをどう伸ばしていくか、どういう形を目指したら生きるのか、そういう戦略を考えてみるとまた楽しみが増えますよ。








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