名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(408); 四間飛車に中央位取り

2017-01-23 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?



☆ 今日の棋譜
昭和53年5月、佐藤義則先生と第5回名将戦です。

大山先生の四間飛車に佐藤先生は中央位取りです。

素直に6筋の歩を交換できれば居飛車が指しやすいです。

大山先生は石田流に組み替えます。

古い棋譜はこの歩を突くのですが、突かないほうが良いです。45歩を防いでいるという意味はあるのですが。

佐藤先生は7筋の歩を交換して

66の銀を繰り替えます。この手順が発見されて、よい戦法だなあと思ったものです。狙いは66角~86歩~77桂~85歩。

大山先生はどんどん歩を突き捨てて動きます。(結局動かれるなら46歩よりも47歩66角の形のほうが良いわけです。)

この場合は16飛があるので大丈夫かと思ったら、端も突き捨てられて

55歩から15歩です。佐藤先生は取るのもあったのですが

飛車を引いて、36飛とさばかれました。

65歩と反撃するも、角筋を止められて、ならばと17角からさばき合いです。

飛車もぶつけて

桂の取り合いです。あれ?11角なんていう手がありました。

22角の合わせに41桂。

角を交換して33角。こんな手が落ちているとは不運です。それでも角を取るしかなかったと思うのですが

99角成は痛すぎます。

懸命に守りますが

大山先生の端攻めで困りました。

投了図。

佐藤先生は中盤に46歩とか15歩とかは後回しにして、玉頭方面に手をかけるべきでしょう。
大山先生がどんどん動いて、11角がきれいに決まってしまいました。振り飛車党は記憶しておくと使えることがあるかもしれません。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:佐藤義則6段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 5七銀(48)
16 5二金(41)
17 9六歩(97)
18 9四歩(93)
19 5五歩(56)
20 4三銀(32)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 5六銀(57)
24 6四歩(63)
25 6八銀(79)
26 7二銀(71)
27 6六歩(67)
28 6三金(52)
29 6五歩(66)
30 同 歩(64)
31 同 銀(56)
32 6四歩打
33 5六銀(65)
34 7四歩(73)
35 5七銀(68)
36 3二飛(42)
37 6八金(69)
38 3五歩(34)
39 1六歩(17)
40 5一角(33)
41 2六飛(28)
42 3四飛(32)
43 1五歩(16)
44 3三桂(21)
45 6七金(58)
46 1二香(11)
47 4六歩(47)
48 6二角(51)
49 6六銀(57)
50 8四歩(83)
51 7五歩(76)
52 同 歩(74)
53 同 銀(66)
54 7四歩打
55 6六銀(75)
56 5二銀(43)
57 6五歩打
58 同 歩(64)
59 同 銀(66)
60 6四歩打
61 7六銀(65)
62 3六歩(35)
63 同 歩(37)
64 4五歩(44)
65 同 歩(46)
66 5四歩(53)
67 1六飛(26)
68 1四歩(13)
69 同 歩(15)
70 5五歩(54)
71 同 角(88)
72 1五歩打
73 1八飛(16)
74 3六飛(34)
75 6五歩打
76 5四金(63)
77 2八角(55)
78 4六歩打
79 1七角(28)
80 同 角成(62)
81 同 飛(18)
82 3八飛成(36)
83 3七飛(17)
84 2九龍(38)
85 3三飛成(37)
86 1一角打
87 2二角打
88 4一桂打
89 2三龍(33)
90 2二角(11)
91 同 龍(23)
92 3三角打
93 1二龍(22)
94 9九角成(33)
95 6九香打
96 8八香打
97 9七桂(89)
98 8九香成(88)
99 7七角打
100 9八馬(99)
101 6六桂打
102 5三金(54)
103 7四桂(66)
104 8三玉(82)
105 7五歩打
106 9五歩(94)
107 8五桂(97)
108 9六歩(95)
109 5七金(67)
110 9七歩成(96)
111 1三龍(12)
112 8八成香(89)
113 6七玉(78)
114 8七と(97)
115 投了
まで114手で後手の勝ち

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20170123今日の一手(その452): 盤面を広く見る

2017-01-23 | 今日の一手
20170123今日の一手

1月7日の名南将棋大会から、KさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀歩歩と角の交換で馬と竜を作りあっています。持ち歩があるので歩はカウントせず、少し先手の駒得です。終盤で寄せを目指すなら重視しませんが、長期戦になるなら効いてきます。
玉の堅さは89飛を加味して先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は43馬と持ち駒角桂で3枚。
後手の攻め駒は持ち駒桂1枚ですが、すぐに38竜58銀は働きそうです。

総合すればやや先手有利です。

☆ 大局観として
寄せ合いの一歩手前というあたり。後手からの67歩成あるいは67銀成が見えていて、それを受けるかどうかの判断です。駒得ですから受けを選んで長期戦もあるでしょう。
飛車が攻めに参加していないので寄せ合いの手段を考えるのは難しそうですが、58の銀が手に入りそうなので攻め駒は4枚になり、寄せ合いも考えられます。

どちらにしても、58銀が38竜の利きをさえぎっているので今がチャンスです。

× 普通の受けは79桂ですが67桂と打ち込まれて

かえって受けにくくなってしまいます。


× 58金同竜68歩

は手堅い受けに見えます。67金と打ち込むなら79銀78金同銀引67金69金

これは竜を近づけさせて受けたことになります。

でも67歩成から

67同歩66歩同歩67歩79銀68金

で受けにくいので、変化はありますが、これも悪そうです。(69銀と竜取りで受けても48竜で馬に当たる)


× 97玉は早逃げの手筋で

67で清算できるようになります。でも95歩同歩67歩成同金直同銀成同金96歩

96同銀98歩同香95香同銀96歩

途中94桂の筋があっても後手玉に詰みはなく、この歩を取っても取らなくても98竜で困ります。


○ 受けにくそうなのですが、61馬と切ってしまい

61同銀に39金47竜48歩

と竜を追って銀を取ろうというのがあります。56竜には34角があります。67竜も取らずに79桂37竜38歩

と追ってしまえば歩切れですが銀得になります。長期戦でも構いません。


△ 寄せ合いなら寄せのセオリーで考えて64歩。

64同金なら53角63金64歩

53金同馬の時に63歩成を受けるうまい手段がありません。71桂には63桂

です。62歩とか(あれば金銀とか)打てないのです。

よって64歩には62金引です。

桂馬が使えればよいのですが、うまい手がなく、44角67歩成62角成同金63金

61歩には72金から攻めればよいので、後手は78と同金71金

と受けてこれは千日手です。


× 他の攻めとして62歩は同金上

で無効。


× 53桂は71金

で無効。


△ 実戦は41角で

これはなかなか有力で、62金引には63歩です。後手は71桂と受けて、75歩67歩成74歩

で寄せ合いに進みました。68と63角成78と同銀67銀成73歩成同銀同馬同玉65桂82玉

激しいはがし合いでしたが、この後手玉が詰みません。後手Mさんの勝ちに終わりました。

75歩から攻めるとどうも一手負けのようで、63角成と切るのが良かったのです。

63同桂に61馬同銀64歩

これで63歩成が詰めろになるので先手の確実な1手勝ち。(というか2手勝ちかもしれません。)

後手としては62金上

が正しい受けで、角や馬の筋は避けておくのが受けの手筋です。これで43馬が働かなくなるので、後手の寄せ合い勝ちになるのでしょう。


○ 他には39歩があって

これも受けの手のようなのですが、竜の位置を変えて、角を打とうという意味なのです。28竜なら17角という狙いです。
47竜には61馬同銀57金打

で駒得を狙います。

48竜が馬取りですが

61馬同銀26角

このラインに角を打ちます。28竜には64歩

がぴったり。63歩成が入れば楽勝です。62金なら角を切って63金と打ち込めばよいです。
64同金には53角成72桂58金

として71銀からの寄り筋です。

26角に47竜でも58金と銀を入手してしまえば同じこと。

こっちで説明すれば、58同竜に71銀

93玉に95歩同歩94歩

香を走って99飛の筋で詰みがあります。


☆ まとめ

後手の攻め駒は38竜58銀を含めても3枚なので受けがあるようなのですが、どこかで6筋に と金ができると4枚になるので受けにくいのです。作らせないようにすると駒を打ち込んで囲いをはがされます。
この場合は89竜の横利きを生かすべきで、金を取って39金というのが有力な受け筋です。

寄せ合いなら64歩から考えるのですが、どうやら千日手のようで、仕切り直しです。
先手で角を打つ(竜取りにして0手で打つ)ことができれば寄せ合い勝ちが見込めるところで、39歩がそれを狙った手でした。58銀の質駒を手にいれて、61馬から71銀で寄りでした。

なんだか作ったような次の一手でしたが(このブログでは正解が一つではないようなものを選んでいるのですが)、盤面を広く見ると好手が落ちていることがあります。

こういううまい手を見つけると検討が楽しいですね。みなさんも自分の指した棋譜を記録しておいて、振り返ってみてください。棋力が向上したなあ、と実感するものです。(ソフトの助けを借りているのですが、それでも感心します。)
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