20170113今日の一手

12月の東海リーグから、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
序盤からみてみると

矢倉の早囲いに雀刺しで対応したのですが、22玉を見て選択すべきでした。(藤井矢倉を目指していたそうですから、そうならないのですが。)22銀で間に合わされて棒銀にこられると私の作戦負けです。相矢倉は何年ぶりかで指すのでボケていました。

仕方ないので右玉に。
作戦負けの時には玉を移動してみると景色が変わります。
8筋の継ぎ歩攻めに59飛と回ってけん制します。86歩に83歩が利いたので形勢は互角に近くなりました。

その歩を成って、と金(これが取れない)を活用して形勢が良くなりました。

45歩を見せられて、つい55銀とやってしまって

問題図です。55銀はよい手ではありませんでした。65の桂を取れなくなったからです。
☆ 形勢判断をします。
と金と歩を得しています。後手に持ち歩があるので歩はカウントしませんが、と金は得をしています。
玉の堅さは後手のほうがかなり堅いです。
先手の攻め駒は73と55銀の2枚。
後手の攻め駒は65桂1枚。(微妙な位置ですが、77歩もあるし、57歩を支えているだけでも働いています。)
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
後手玉よりも堅くできれば十分なのですが、困難です。(入玉できるような形にならない限り。)
駒得を目指すのは危険で、自玉を少しでも安定させる、あるいは後手の攻め駒(53角や84飛85銀を含めて)を抑え込むという指し方が良いでしょう。
後手のねらいとしては、45歩、75角、77歩あるいは76歩、86銀という手で、どれが厳しいのかを考えて、それに対応できる手を指したいです。
対局中は55銀を指して、後悔していました。66銀64飛の形で、74と とか54歩とか86歩とか、有力な手が多かったのです。65の桂を取る含みが無くなってしまいましたから、後手の飛車が少し自由になった感じです。
× 実戦では86歩として

86同銀85歩同飛76金

飛車が逃げてもらえないかなあ、という甘い考えです。87銀不成はわかっていましたが、勝負手のつもりでした。でもここで飛車を逃げる人はいませんね。罠にもなっていませんでした。
87銀不成85金78銀成

飛銀交換でも85金が遊んでいて、57歩が残っているのですから先手不利です。味が悪いのに駒得を目指してはいけません。まだ攻め駒になっていなかった飛銀を呼びこんで失敗したら一気に形勢が悪化します。
× 74と は自然な手なのですが

74同銀同歩に45歩

が後手のねらいです。28銀とか26銀とか使うのではつまらないので(それでまだ難しそうなのですが)、26歩同角27玉(とこの筋は受けるつもりでした)46歩同銀左

これでぴったりだという気がするのですが、45歩同銀(桂では取れない)46歩同銀47歩39角17角成

と強襲されます。角で取れば48歩成、玉で取れば38香です。
途中で書いたように45歩に28銀で我慢すべきなのでしょうけれど、銀得だからと威張れる形ではありません。
× 66銀と戻しておく手は

もう一回64飛と戻ってもらえるわけもなく、2手損です。45歩に26歩同角27玉

46歩同銀47歩39角17角成

前に出た(74と同銀同歩の)変化よりも条件が悪いです。つぶれています。
(この筋に気が付いていなくて、感想戦ではまだ最善かと言っていたのですが。)
○ じっと26歩としておいて

45歩を受けておきます。この時には75角76歩58歩成

でつぶれていますね、と感想戦で言ったのですが、75角59と84角

これで案外に後手に攻め筋がありません。びっくりです。
○ 63と も45歩を避けた手で

75角に76歩

が怖すぎて切りすてましたが、58歩成以下が耐えているので先手有利です。86角には19飛という調子。
○ 19飛も45歩に備えています。

また、75角から58歩成の時に飛車に当たらないので安心です。
× 54歩は手順前後で(66銀64飛の形なら有効)

54同金同銀同飛

後手玉が少し薄くなりましたが、後手の攻め駒が増えてしまったのでかなり受けにくいです。
△ 56金は右玉らしい手です。

76銀74と86飛54歩42角64と

で調子が良さそうなのですが、77歩79金67銀不成65金78歩成

では少し苦しい展開です。もう少し工夫が必要です。(45歩の筋に備えているという意味はあるのですが)
△ 77桂も右玉らしい手ですが

(桂を交換すると45歩に26桂と対応できる意味がある)77同桂成同金上86銀76金直75銀

という感じでしょうか。85歩76銀同金58金

飛車を取り合って駒得ですが、うき駒が多いのですぐに取り返されて負けそうです。
☆ まとめ
後手からの攻め筋で注意すべきは45歩(~17角成)と75角(~58歩成)です。だから後手の53角(42から)は好手だと感じたのですが、本当に怖いのは45歩の方でした。だから問題図の前の55銀は悪手とまではいかなかった(好手ではないけれど)のですが、
疑問手を続けないというのは大切なことです。悪い手を指してしまった、と動揺して、もう一回本当に悪い手を指してしまいました。
ということで、45歩の筋に対応しておく26歩、あるいは63と、あるいは19飛が正解です。
75角の筋に対応しておく手、66銀あるいは書きませんでしたが64歩とか66金とか、では45歩の筋が怖いです。
相手の攻めを呼び込む86歩はかなり筋が悪く(誰が指したのでしたっけ?)、74と は駒得ながら後手の飛角が楽になるので危なさそうな手です。
56金とか77桂とかは本来は良さそうな手なのですが、自玉が薄いので(65桂57歩が存在していなければよさそう)この場合は危険です。
自玉が薄い時は強襲を警戒する必要があります。26歩など、じっと玉のまわりに手を入れて、左から攻めてきなさいというのが正しい感覚でした。75角から58歩成でつぶれていると諦めてしまったのが運の尽きでした。
本題とは関係ありませんが、スランプの時は自然な手が指せていないもので、自分から無理に動いて悪くしてしまうことが多い、と反省しております。