名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

将棋の上達法則(20) ;修正あり

2017-01-09 | 将棋上達法則
将棋に必要な能力について、訓練方法を考えましょう。

4 コントロール(形勢判断及び大局観)

です。

(以下、よりすっきりした定義、書き方に改めました。2017/1/9)

形勢判断は3つの要素があり
駒の損得
玉の堅さ(守備力)
攻め駒の枚数(攻撃力) ;4枚を目指します。
の3つをを比較します。

注意
1、歩得の場合、相手に持ち歩がない時だけ駒得に含めます。歩損の場合は自分に持ち歩がない時だけ駒損に含めます。
2、駒の損得は序盤では重視しますが、終盤になると重要度が下がります。
3、攻め駒としては歩は数えません。と金なら数えます。
敵陣(3段目までという意味ではなく、盛り上がっていればその位置まで)に利きのある(歩以外の)盤上の駒及び(歩以外の)持ち駒を攻め駒と定義します。ただし終盤になれば、特に対抗型の場合は、相手玉の囲いの範囲に利きのある駒及び持ち駒に限定します。
4、この3つを考えれば、「駒の働き」を別に考える必要はありません。玉の堅さに関係していれば守備に働いていますし、攻め駒に含まれれば攻撃に働いています。
5、形勢判断の要素に手番は入れません、これは大局観に含めるべきです。

終盤になると、手番がどちらにあるか、互いの玉が何手かけて詰めろになるかを考えて、攻撃力と守備力を総合比較します。互いに玉が何手すきかを比較するわけです。
互いに攻め駒が4枚以上あって寄せ合いの体制にはいったら、この方法で より正確に形勢判断できます。

形勢判断はスキル(技術)ですから、だれでも習得できます。けれど、どれくらい優勢か劣勢か、形勢互角をどの範囲までに考えるかという程度問題は見方が分かれます。だから難しいし、面白いのです。




そして、形勢判断が未来の局面を想定して行われるときは、大局観になります。

今は先手が悪そうだけど10手先はこうなるから互角、なんていうふうに形勢判断に大局観の要素を入れると混乱します。
形勢判断はあくまでその局面について行い、攻撃力が足りないから遊び駒を使って増やそうとか、守備力が足りないからもっと固めようとか、駒損だけどほかの要素でカバーしようとか、を考えるのが大局観です。何手か進めてまたそこで形勢判断をするのです。そして大局観を使って未来を自分の進めたい方向にもっていくのです。

はい、理屈がわかりましたね。よく覚えてください。

訓練方法としては、こういう解説をしてくれる自戦記、観戦記を読みます。定跡書も形勢判断をもとに結論を出しますね。これがインプット(情報の入力)です。

自分の実戦の中でも形勢判断をしてみます。こうなったらいいなあと大局観を考えます。アウトプット(情報の出力)です。
終わったら棋譜をつけておいて検証します。実戦の中で形勢判断を間違っていたとしたら、修正します。これを記録してまた修正をインプット(情報の入力)します。

ブログの今日の一手では、形勢判断や大局観の解説を詳しくやっているつもりです。ぜひ毎日読んで理解してください。自分で考えたこと(アウトプット)を解説を読んでチェックできるといいですね。
ここは間違っているんじゃないの? とコメントを書けばもっとしっかり身に付きますよ。

棋譜をつけることは実戦で将棋を指すというアウトプット(情報の出力)を検証するための重要な手段です。また、昔の自分を振り返って、今は強くなったんだなあと振り返ることができます。
明日は棋譜をつけることについてその方法などを書きます。
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大山将棋研究(394); 四間飛車に棒銀

2017-01-09 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番中原先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和53年1月、中原誠先生と第31期棋聖戦第4局です。


大山先生の四間飛車に中原先生は棒銀です。

32金は大山先生らしいですね。今回は袖飛車ではなくて65歩と伸ばして

35歩に角交換でさばこうとしました。中原先生は桂を跳ねて角交換を拒否。どこかで65桂を狙えるので積極的な手です。

大山先生は62飛、中原先生は3筋を制圧に行きます。

大山先生は飛車を浮いて76の歩をかすめに行きます。32金はともかく、軽いさばきを狙います。

45桂に対してアクロバティックに角を出ます。びっくりしますね。

もちろん角は取られず、64に収まりました。中原先生は65桂の準備。

54銀にもかまわず桂を跳ねて11角成を狙います。大山先生は桂を取らずに1回は角筋を止めて

少し収まりました。ここで52歩と桂馬を取りにに行くべきではないかと思うのですが。

大山先生は端攻め。中原先生は飛車を捕獲します。

端を破れば大山先生がまあまあに見えるのですが

51飛から端を工作すれば受けにくいです。53の桂も働いていますし、後で54の銀が取れます。

大山先生は と金を使って攻めるのですが、と金を作られて

銀を抜かれ角当たり。寄せ合いにもなりません。

中原先生は竜を切って上から寄せます。

大山先生は上部の駒を取って脱出したいのですが

竜を抑え込まれ、86の角も逃げられることに。

投了図。

大山先生の軽い指し方ですが、32金が生きていないなあ、と思いませんか?玉が堅くないとさばきの将棋は成立しにくいです。終盤の入り口で端を攻めたのが敗着でしょう。いつもの大山先生なら42金と寄せるか(33歩成が嫌か)、52歩と打つか、じっと待つのだろうと思うのですが、中原先生相手だと我慢しきれなくなるのです。逃げ出せない形なのに端攻めを逆用されて敗勢です。
中原先生としては両桂を使えて満足の将棋ですが、53右桂不成ではあまりうまくいったとは言えないはず。でも飛車を取って51飛で寄せになる、という判断が勝ちを呼びました。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:中原誠名人
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4三銀(32)
9 6八玉(59)
10 4二飛(82)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 5八金(49)
14 7二玉(62)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 6八銀(79)
18 8二玉(72)
19 3六歩(37)
20 7二銀(71)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 5七銀(68)
24 6四歩(63)
25 6八金(69)
26 1四歩(13)
27 3七銀(48)
28 3二金(41)
29 2六銀(37)
30 6五歩(64)
31 3五歩(36)
32 4五歩(44)
33 7七桂(89)
34 6二飛(42)
35 3四歩(35)
36 同 銀(43)
37 3八飛(28)
38 4三銀(34)
39 3五銀(26)
40 6四飛(62)
41 3四歩打
42 2二角(33)
43 3六飛(38)
44 7四飛(64)
45 3七桂(29)
46 7六飛(74)
47 4五桂(37)
48 5五角(22)
49 4六歩(47)
50 6四角(55)
51 6九玉(78)
52 5四銀(43)
53 6五桂(77)
54 6六歩打
55 5三桂(45)
56 7一金(61)
57 6六銀(57)
58 9五歩(94)
59 7五歩打
60 9六歩(95)
61 7七金(68)
62 同 飛成(76)
63 同 角(88)
64 9七歩成(96)
65 5一飛打
66 9八歩打
67 同 香(99)
68 同 と(97)
69 9二歩打
70 同 香(91)
71 9三歩打
72 同 香(92)
73 9二歩打
74 7六香打
75 8六角(77)
76 8八と(98)
77 9一歩成(92)
78 6一歩打
79 同 桂成(53)
80 同 金(71)
81 8一と(91)
82 同 玉(82)
83 5四飛成(51)
84 6三金打
85 6四龍(54)
86 同 金(63)
87 8五桂打
88 8七と(88)
89 9三桂成(85)
90 9九飛打
91 6八玉(69)
92 9三飛成(99)
93 9四歩打
94 9一龍(93)
95 9三香打
96 9二歩打
97 9五角(86)
98 6五金(64)
99 同 銀(66)
100 9三歩(92)
101 7四歩(75)
102 9四歩(93)
103 7三角成(95)
104 投了
まで103手で先手の勝ち

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20170109今日の一手(その445): 実戦心理

2017-01-09 | 今日の一手
20170109今日の一手

12月11日の名南将棋大会から、私とMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損です。持ち歩がないので後手が少し駒得です。
玉の堅さは比較が難しいのですが同程度としておきます。
先手の攻め駒は56飛と持ち駒角銀桂で4枚。数は十分です。
後手の攻め駒は86桂と持ち駒銀で2枚。潜在的には64角や81飛91香も攻め駒にできるかもしれません。

総合すれば互角か先手が指しやすいか。
ただ、実戦で私は嫌な筋を読んでいて、先手玉が薄いので悪いのだと思い込んでいました。

☆ 大局観として
攻め駒が4枚あるので後手玉を寄せる準備をすればよいのですが、56の飛車の働きが悪くて、54の歩に当たっているだけなので(54の地点を)攻める手段が難しいです。

後手からは97歩成同香98歩が詰めろ。97歩成同玉は78桂成ですし、97同桂は96歩。ですからこの筋をどうにかしなければ悪いのだと思っていました。後で気が付いたのですが、97歩成同香98歩には69金寄(後で図面があります)でまだもつのです。後手の攻め駒が2枚しかないのでまだ怖くなかったのですね。

97歩成が怖くなければ、後手のねらいは19角成あるいは95香ということになります。それを避けるかもっと有効な手を探します。
先手が攻めるのは8,9筋です。歩がないので小技が利かないのですが、右玉の玉頭に近いのですから強引でも攻めが続けば十分指せます。


× 自然な手は86歩と桂を取る手ですが、86同歩で

後手の飛角が働いてきます。(だから最初の86桂を取らずに78の金を引いたのです。)
86同銀同角87歩64角(97銀とかも怖い)86銀85銀

となっても受けきれません。まあこれを選択する人はいないでしょう。


× すぐに逆襲するのは94桂です。

19角成82銀51飛81角

と迫るのですが、61玉91銀不成52玉

というのは難しいとはいえ、角銀桂の働きが悪くて後手が指しやすいのでしょう。


○ とすれば自然な指し手で96香

と歩を補充してみます。98歩69金寄19角成94歩

これを(86歩がだめなので)最初に考えたわけです。でもかなり危なく見えてやめてしまいました。
99歩成同玉55馬93歩成56馬

飛車を取られて詰めろで、困ったようなのですが98歩と打ってみると案外持ちます。後手玉は94角の筋があるので、98歩に61玉56歩52玉92と

くらいか。まだまだ先手玉が安定したとはいえないのですが、飛車をいじめつつ入玉を目指します。これなら十分指せました。


× 実戦では97歩成を同玉と取れるようにしようと75歩

と突きだしたのですが、75同歩に96香くらい。Aさんは76歩同飛75銀

と玉頭から攻めてきました。対局中は最善とは思わなかったのですが、進行してみると案外に有力です。
56飛76歩同銀同銀同飛75銀56飛78歩

7筋の歩が切れたのでここに打たれてしまいました。腹をくくって69金寄と指すのだったかもしれません。
78同金上同桂成同玉86歩同歩同銀

8筋を破られそうです。でも持ち駒が多いので84歩同飛85歩同桂(同飛には76銀)76桂

で指せるのかと思ったら87銀不成

やはり好手がありました。取れば97桂成です。69玉76銀成同飛75歩36飛76桂

と進めば敗勢です。実戦では後手に緩手が2つあり、逆転したかと思ったのですが後手玉が詰まずに負け。幸運はありませんでした。


○ 他には17香

あるいは18香でもよいのですが、香を逃げておく手がありました。
28角成なら96香98歩

というのが、99銀97玉の時に78桂成が王手にならないのでかなり甘いのです。つまり17香28角成は先手の得。

95香なら

92銀82飛に93角

という攻め方があります。(実戦では94角の方を考えていましたが、こちらのほうが良いです。)
次は84桂なので、92飛としても84桂83玉92桂成同玉71角成

は詰めろ金取りなので先手の勝ち。

怖いのは97歩成で

これが見えたので避けなければ負けると思ったのですが、(97同玉は78桂成、97同桂は96歩です。)
97同香98歩69金寄

というのは、問題図で96香98歩69金寄よりも、香を取られる変化がないだけ得なのです。97香と96香の位置の違いは関係なさそうです。


☆ まとめ
97香か96香の形で98歩69金寄の形が何度か出てきましたが、その時の先手玉の安全度が問題でした。実戦心理では気持ちが悪くてとても選べないのですが、後手から見てみろと(画面をひっくり返して見てください)攻め駒が少ないので決まらないのです。
盤面をひっくり返してみるというスキルを見につけたらいいのかなあ?と思っているところです。補助的には形勢判断で、相手の攻め駒を数えてみることが重要で、攻め駒2枚なのに恐れてみたり、4枚あるのに受けに専念してみたり、ということでは形勢が悪くなります。

「実戦心理は難しい」で片付けずに、ではどうしたらよいだろう?と自問して、棋譜を検討したり訓練法を考えたりすべきなのです。自分に聞いて見ると、案外に答えが見つかるものです。

なお技術的には右玉の端を攻めるのが有効になることが多いので、端に手はないか、と考えてみるとよいです。
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