名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(400); 向い飛車に棒銀

2017-01-15 | 大山将棋研究
今日で400局目。一度には無理でも毎日積み重ねるとできるものですね。皆さんは何局並べましたか?

☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和53年3月、青野照市先生と第19期王位戦です。


大山先生の向い飛車です。今では62銀と上がる前に42玉としても大丈夫ということになっていたはずですが

昔は64歩が必須というのが常識でした。86歩同歩同角が王手にならないようにしないといけません。

青野先生は急戦が好きなので、64歩と突くこと自体は苦にしません。棒銀です。

大山先生が96歩と受けないので、95銀88飛として待ち、96歩を突かせることはできたでしょう。

後手番で94歩としているので、42銀のまま仕掛けます。上部が薄いですが横からの攻めには少し堅いです。大山先生は48角と転回して受けます。

65歩が定跡の手ですね。ポピュラーなのは67金66歩同金65歩、となるのですが、この場合は99香の形なのでまずいです。

大山先生は57金から55歩とひねりました。でも86歩から88歩の筋があって

大山先生は86歩を取れず55歩でした。これには75歩と打てば

と金を作って居飛車よしでしょう。

大山先生は6筋突破で勝負です。

角も使って食いつきました。

でも44桂は痛そうです。銀をずらそうと歩を打つのですが、青野先生からみれば56桂73歩成68桂成72とは(局面が有利だと思えば)やりにくいです。

角を切って両取り。これには(82か92に)飛車を逃げてたいしたことはないと思うのですが。

互いに利かしが入っていますが、青野先生は63銀から54銀でした。

金をはがされても角をさばいて自信ありだったのでしょう。飛角交換ですが桂得です。

24桂と打てば十分、のはずが飛車を打たれて

行きがかり上73角打ちから36桂の筋を狙います。

派手な捨て駒がありました。でも攻め駒3枚になるので大丈夫かな?

大山先生は67歩同飛成とさせて竜の位置が7段目です。これで37の銀にひもがつくので少し得です。36桂がきて

敵の打ちたいところに打てですね。竜の位置が違うので29の金を取れば受けきれます。

攻防に角を打って

投了図。


青野先生の残念譜。大山先生は98香が間に合っていないので、48角から左金を前に出して受ける作戦が失敗しました。青野先生がかなり有利にできそうな中盤から終盤でしたが、一気に寄せてしまおうと細い道に入り込んで、攻めのほうが細くなって切れてしまいました。
有利になったら自然な指し方がいいです。もし中原先生ならそれで簡単に(見えるだけですが)勝ってしまいます。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:青野照市5段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 5四歩(53)
7 8八飛(28)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 3四歩(33)
11 4八玉(59)
12 6四歩(63)
13 3八玉(48)
14 4二玉(51)
15 6六歩(67)
16 3二玉(42)
17 2八玉(38)
18 5二金(61)
19 3八銀(39)
20 7四歩(73)
21 5八金(69)
22 1四歩(13)
23 1六歩(17)
24 4二銀(31)
25 4六歩(47)
26 9四歩(93)
27 3六歩(37)
28 7三銀(62)
29 6七銀(68)
30 8四銀(73)
31 7八飛(88)
32 7二飛(82)
33 5九角(77)
34 7五歩(74)
35 4八角(59)
36 7六歩(75)
37 同 銀(67)
38 6五歩(64)
39 5七金(58)
40 6六歩(65)
41 5五歩(56)
42 8六歩(85)
43 6六金(57)
44 7五歩打
45 6五銀(76)
46 8七歩成(86)
47 6八飛(78)
48 8八歩打
49 5六金(66)
50 8九歩成(88)
51 5四銀(65)
52 6二歩打
53 2六角(48)
54 7三銀(84)
55 6三歩打
56 4四桂打
57 7四歩打
58 同 銀(73)
59 4四角(26)
60 同 角(22)
61 6四桂打
62 7七と(87)
63 6六飛(68)
64 7六と(77)
65 6八飛(66)
66 6三銀(74)
67 4五歩(46)
68 3三角(44)
69 7二桂成(64)
70 5四銀(63)
71 6二成桂(72)
72 5五銀(54)
73 5二成桂(62)
74 同 金(41)
75 5五金(56)
76 同 角(33)
77 3七銀打
78 5一歩打
79 6一飛成(68)
80 2四桂打
81 5六飛打
82 7三角打
83 7四歩打
84 6六と(76)
85 同 飛(56)
86 同 角(55)
87 同 龍(61)
88 6九飛打
89 6七歩打
90 同 飛成(69)
91 同 龍(66)
92 3六桂(24)
93 1八玉(28)
94 2八金打
95 1七玉(18)
96 2九金(28)
97 3五歩打
98 3七角成(73)
99 同 銀(38)
100 3三桂(21)
101 5五角打
102 2四銀打
103 3六銀(37)
104 2五桂打
105 1八玉(17)
106 投了
まで105手で先手の勝ち



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20170115今日の一手(その448): 先に受けるほうが手堅い(4)

2017-01-15 | 今日の一手
20170115今日の一手

1月7日の名南将棋大会から、NさんとTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀と金の交換で竜を作っていますからわずかに先手の駒得です。
玉の堅さも少し先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は32竜41角と持ち駒金で3枚。45桂も使えるかもしれません。
後手の攻め駒は55角と持ち駒銀で2枚。72飛は働きそうなので3枚に近いです。

総合すれば先手が有利です。

☆ 大局観として
3つの要素がどれもわずかですが優っています。ですからどれを主張するかということで方針を決めます。

駒得を主張するなら長期戦にすること。後手のねらいは77銀と打ち込むことですからこれに対応しておきます。21の桂を取って駒得を拡大しよう、と考えるのは後回しです。

玉の堅さを主張するなら自玉に手を入れます。これも77銀に対応することになりそうで、持ち駒の金を受けに使うのでしょう。

攻めを考えるならもう一枚攻め駒が必要ですから、45の桂が活躍できるような手順を考えます。42歩成から と金をつかうというのもありますし、21の桂を取ってというのもありますが、どちらも竜の働きが悪くなりそうなので寄せの速度負けにならないか注意が必要です。


△ 一番速いのは63角成と金をはがすのですが、これは問題図の少し前で32飛成の前にやるべきでした。

63角成同銀53桂成とできれば楽勝でした。つまり32飛成がぬるかったわけで、ちょっと後悔していました。

問題図で角を切ると

63同銀で竜と飛がぶつかりますから53桂成の余裕がないです。勢い72竜同銀左(右もある)52飛44角打

というのは大分紛れていると思います。66金61銀打32飛成66角同歩95歩同歩97歩同玉49飛

となれば形勢不明です。

飛車は交換しにくくて、62金と打つわけですが

これも63の銀を取れないので感触が悪く見送りました。99角成同玉44角66歩62角

となるなら53金がありますし、形勢が悪くはないですね。


× 42歩成は

自然な手ではありますが遅いです。77銀52と68銀成

で、68同金には88金97玉89金があって寄せられます。

仕方なく77銀の時に79金打

と受けて千日手コース。ただし後手は95歩同歩97歩もあるので、打開されて寄せられるかもしれません。


× 21竜も同様で77銀

の時に桂を持っているものの、66桂では65歩の余地もあり、74歩は取ってもらえず(取れば66桂の意味)68銀成で困ります。


× 筋は73歩ですが

最後の1歩ですからためらいます。金で取られてもわからないのですが、飛車先が止まるので銀で取りますね。73同銀72竜同銀

77銀と打ち込まれる脅威が減ったわけですが、歩切れで竜が消えたので駒損です。急いで攻めるべきで、63角成同銀53桂成72銀63金

4枚で攻めていますが、歩切れなので小技が利きません。83銀打などで千日手かも。どこかで44角打ちが詰めろになるので打開も怖いです。


△ 73歩が指しすぎということで、実戦では75歩と打ちました。

大駒は近づけて受けよということにはなるのですが、強い手ではないので自信はありませんでした。
95歩同歩97歩同桂77銀

と攻められて雲行きが怪しいです。ここで66歩が疑問手で、68銀成同金66角78金打77金79銀

というのでは良くて千日手です。
ただし実戦ではSさんが75飛のポカを指して、63角成で終わりました。
正しくは78金同銀引96歩

でしょう。後手は77に打ち込む前に96歩としてもよかったのですが、とにかくつぶれていました。

戻って、95歩の時に66金とすべきだったとすぐに気が付きました。

角を切って96歩には88玉でどうにかしのいでいます。

また、77銀と打ち込まれた時に66金でも

まだ受けがありそうです。


○ 問題図で66金と打てば

もっとわかりやすいですね。先に受けるほうが手堅いという好例です。
19角成なら玉の堅さがかなり違うので、21竜でも42歩成でもいいです。


○ 同じように56歩44角55金

でもよいです。とにかく角筋を止めてしまえば安心でした。


○ 他には気が付きにくい手ですが、52竜があり

63金と55角の両取りです。受けるなら54銀しかなくて、銀を使わせて77銀の打ち込みを防いだことになります。54銀に42歩成からゆっくり攻めるのでもよいのですが、95歩同歩97歩もあって、結局は66金が必要になりそうです。
急ぐなら53金と筋悪く打ち込みます。51歩に

どれを取るか悩みますが、62竜同飛(同金は54金)63角成同銀62金

とするのが後手は受けにくそうです。99角成同玉44角66歩62角53金

と進めばやはり受けにくいです。


○ まとめ

3つの要素で上回っていましたが、先に受けておく、66金と使ってしまうのがわかりやすそうです。自玉を固めて長期戦でも困りませんし、42歩成からゆっくり攻められます。

75歩95歩に66金とか、75歩95歩同歩97歩同桂77銀に66金とか、後から角筋を止めることになると苦労するわけです。
42歩成や21竜としてから77銀に受けようとしても良くて千日手です。
先に受けるほうが手堅いという原則が生きています。
(蛇足ですが、76歩と取り込まれる前に66金と打って19角成は先に駒損するので少しやりにくいです。)

攻めるなら63角成の筋で、この場合は63同銀に62金が感触が悪いです。飛車を成る前に切ればよかったですね(問題図の前なのでみなさんの知らないところですが)。ただし攻め駒になりそうな72飛を消せるので、受けにも役立っていることになり、悪い手ではありません。

52竜も銀を使わせて攻防なのですが見えませんよね。それでも95歩同歩97歩(97同桂に77歩成)があるので、53金から攻めるか、66金から42歩成かの選択です。
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