名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(612);四間飛車に天守閣美濃急戦(田丸昇)

2017-08-15 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170815
昭和56年9月、田丸昇先生と第39期棋聖戦です。

大山先生の四間飛車に田丸先生は天守閣美濃

攻め将棋ですからもちろん急戦です。

大山先生はの56銀から65歩というのは見たことのない受け方です。

田丸先生は角交換を避けたので、銀が戻って

87同銀から飛交換。

飛の打ち込みがあるのならば、攻めの銀の位置の違いで居飛車よしです。

79角67飛成82飛というのは大山先生苦心の受け。

駒を交換してから金が離れて行くのは大山流ではなくて森安流という感じです。

ここからは田丸先生の強手連発です。まずは銀を捨てて香を取り

竜取りに88歩で

少し駒得です。

大山先生は2枚飛車から歩の手筋で乱しにかかりましたが

田丸先生は角で飛を取って

馬を引いて端攻めです。

大山先生は端を受ける前に47香が危険でした。

強く馬を入られて、左は壁なのです。

これで田丸先生が有利。

79と も利いていますね。ぴったりの手が続きます。

大山先生は79竜と と金を払ったのですが、68玉から入玉をみせるのが勝負手ではなかったか。

ぴったりの香があって

桂馬も打って

合駒を請求して

竜を消して金を取れば寄りです。

大山先生の抵抗もうまくいきません。

投了図。

田丸先生の会心譜。たまにこういうきれいに攻め切った将棋が出てくるのです。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:田丸昇7段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 2八玉(38)
14 1四歩(13)
15 1六歩(17)
16 5二金(61)
17 3八銀(39)
18 2四歩(23)
19 5八金(69)
20 2三玉(32)
21 4六歩(47)
22 3二銀(31)
23 6七銀(78)
24 5三銀(62)
25 3六歩(37)
26 8五歩(84)
27 7七角(88)
28 7四歩(73)
29 4七金(58)
30 7二飛(82)
31 7八飛(68)
32 6四銀(53)
33 5六銀(67)
34 7五歩(74)
35 6五歩(66)
36 5五銀(64)
37 7五歩(76)
38 同 飛(72)
39 6七銀(56)
40 7六歩打
41 8八角(77)
42 8六歩(85)
43 7六銀(67)
44 8七歩成(86)
45 同 銀(76)
46 7八飛成(75)
47 同 銀(87)
48 8七歩打
49 同 銀(78)
50 6八飛打
51 7九角(88)
52 6七飛成(68)
53 8二飛打
54 7三桂(81)
55 5九金(49)
56 4六銀(55)
57 同 金(47)
58 9九角成(22)
59 7八銀打
60 6六龍(67)
61 5六金(46)
62 8八歩打
63 6六金(56)
64 8九歩成(88)
65 6七銀(78)
66 7九と(89)
67 7二飛打
68 5一香打
69 4二歩打
70 同 金(41)
71 6四歩(65)
72 同 歩(63)
73 4四歩打
74 6五歩(64)
75 4三歩成(44)
76 同 銀(32)
77 4四歩打
78 3二銀(43)
79 5六金(66)
80 3三桂(21)
81 3七桂(29)
82 9四角打
83 5八銀(67)
84 7二角(94)
85 同 飛成(82)
86 4四馬(99)
87 6四角打
88 4一金(42)
89 7三角成(64)
90 1五歩(14)
91 9一馬(73)
92 1六歩(15)
93 4七香打
94 4六歩打
95 同 香(47)
96 1七馬(44)
97 同 香(19)
98 同 歩成(16)
99 3九玉(28)
100 1八飛打
101 4九金(59)
102 2八と(17)
103 4八玉(39)
104 3八と(28)
105 同 金(49)
106 5九銀打
107 同 玉(48)
108 3八飛成(18)
109 7九龍(72)
110 6七香打
111 4八歩打
112 4七歩打
113 同 銀(58)
114 6六桂打
115 同 金(56)
116 3九龍(38)
117 4九桂打
118 6九金打
119 同 龍(79)
120 同 香成(67)
121 同 玉(59)
122 6六歩(65)
123 5八角打
124 7七金打
125 4一香成(46)
126 同 銀(32)
127 7八金打
128 6七歩成(66)
129 同 角(58)
130 同 金(77)
131 同 金(78)
132 4九龍(39)
133 5九金打
134 8九飛打
135 7九香打
136 8七飛成(89)
137 7八銀打
138 6六歩打
139 7七金(67)
140 6八香打
141 投了
まで140手で後手の勝ち
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20170815今日の一手(その555);寄せの基本

2017-08-15 | 今日の一手

20170815今日の一手

7月8日の名南将棋大会から、NさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
飛金歩と角銀の交換です。持ち歩があるので歩をカウントせず、やや先手の駒損ですが、終盤なので重視しません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は77角と持ち駒角銀で3枚。
後手の攻め駒は(先手玉に向かっているものだけ数えて)持ち駒飛金金銀で4枚。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
後手玉の薄さが目立ちます。攻め駒が3枚ですが、後手玉を攻略する手段を考えたいです。
ゆっくりした展開にしてもひどくはないですが、小さな駒損でも響いてきます。


× 両取りの見える方なら(私には難しいですが)11角成同玉66角

で王手飛車です。これは22銀84角79飛

わずかに先手の駒得ですが、後手に取り返されそうです。


○ もう少し欲張って66角打としてみます。

89飛成11角成13玉15歩

これで後手玉は詰めろ。以下は簡単なようですが案外に難しくて、15同歩に14歩同玉26銀

24歩12馬23桂15香同桂19香

でやっと勝ちになります。条件が悪いと39竜以下の詰み筋に入る場合があって、簡単とは言えませんが。


△ 15歩は「端玉には端歩」

という手筋で、19香が4枚目の攻め駒になります。89飛成に14歩

後手としては17歩同香16歩同香15歩同香16桂

というのが駒を渡さない寄せの手筋ですが、18玉39竜に13銀同桂同歩成21玉43角

でぴったり詰んでいます。

では先手の勝ち、ではなくて、途中17銀

と打たれて、17同玉25桂28玉17金同桂18金同玉19飛

という詰み筋があります。

また戻って16歩の時に13銀

から清算しかなく、13同桂同歩成同玉16香15歩同香14歩25桂

どんどん王手をかけて、詰みはないのですが24玉33角打35玉44角引成46玉58銀

で先手の勝ちです。

後手としてはどこかで22銀

と1枚打って守るくらい。13銀と打ちこんで13同桂同歩成同銀同香成同玉14歩同玉15歩同玉26銀14玉15歩13玉11角成

で先手の勝ちのようでも、39竜同玉47桂

で詰みです。
では22銀と打たれたら先手も何か守って・・・とよくわからないことになります。


△ 15歩が難解だったので、85歩から

飛車先を止めると、85同飛86歩82飛15歩33銀14歩22玉

と少し落ち着きます。13歩成がどれだけの効果があるか。


× 実戦は52角と打ちました。

41歩成狙いですが、かなり遅いです。89飛成から攻められたら負けだったでしょう。32銀と受けたので、41歩成同銀同角成同金22銀

いっぺんに後手玉が危なくなりました。受けとしては(歩を打てないので)44金ですが、44同角同飛33銀打

で詰めろ。32金打21銀不成同玉44銀成

で先手有利、というところでした。

実戦は33金と打って守ったつもりでしたが

33同角成で無効ですね。Oさんは気が付かず、33同銀成同桂同角成22金

ここに金を打ったのは悪手で、13銀と打てば詰みです。22には銀を打たねばなりませんでした。
ところが25桂24銀13銀

1回溜めてから銀を打ったので詰みがありません。13同銀同桂成同玉66馬89飛成15歩に39竜

からの詰みで、後手のKさんの勝ちになりました。


○ 52角とは打たずに41歩成

のほうが得です。22同金には22角打

がかなりの厳しさです。

無視して89飛成31と

は後手玉が詰めろ、先手玉は詰みません。なので先手優勢。

ということは32金

と逃げることになります。これで66角打なら得をしているかもしれません。42と同金66角打はさらに厳しくなっています。

詰めろ飛取りですね。


☆ まとめ
攻め駒が3枚しかない、というときには何かしらの工夫が必要です。

66角打は飛取りで、11香を取って4枚目の攻め駒ができます。
15歩は19の香を4枚目の攻め駒に使います。
41歩成が取れないのならば4枚目の攻め駒。もう一回42と と捨てることになりそうですが。

これらの攻め筋と、89飛成~39竜の詰み筋を考えながらの寄せ合いです。

最初に書きませんでしたが(いつもなら形勢判断のところで追加で書いています)
66角打~11角成13玉15歩が詰めろで2手すきの手です。
15歩~14歩も詰めろで2手すきの手。
41歩成~31と も詰めろで2手すきの手なのです。

後手の89飛成は場合によって39竜からの詰み筋です。が、駒を渡さないあるいは上部の関係で詰む詰まないが変わります。現状はもう1手必要なので3手すき(89飛成は2手すき)で、手番の先手が有利
ということなのでした。

攻め駒の数、何手で詰めろになるか、ということがわかる問題でした。何度も出てくるのですが、理解していただけたでしょうか。この二つが寄せの基本となる考え方です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする