名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(624);三間飛車に位取り(小阪昇)

2017-08-27 | 大山将棋研究

☆ 昨日の復習

先手番森安先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170827
昭和56年12月、小阪昇先生と第31回NHK杯です。

小阪先生は筋の良い振り飛車党だったと思います。相振りも構いません。

大山先生は相振りはやらないので、後手が石田流に構えたところで位取りです。

後手から角を換えての升田式石田流になりました。

先手から角交換していると22銀の形なので手の損得はないです。今なら(54歩を突いていなければ)62銀~71銀~92香~91玉~82銀のような構想もありますね。加藤光成さん考案だとか。

小阪先生は44歩から14飛と待ちますが、44歩は突かないほうが良さそうに見えます。

小阪先生から打開します。角を打って

48角同角成同金に再度39角で57角と受けさせました。

それで1歩交換して待っているのが不思議な指し方。ちょっと手を出してから待っているのが良いという判断でしょうか。大山先生も動き出します。

この飛取り、34飛ならどうしたのでしょうか。24歩同飛同角は48角成、ゆえに24同飛同歩38飛という意味か。35歩14飛36飛28角成ではちょっとおかしい感じがします。

小阪先生なら動きたいと思うでしょうから、45飛もわかります。でも底歩を打たれて飛が死にそう、忙しくなりました。小びんが開いているので25飛も指しにくい感じです。

55歩同歩66歩は軽い手筋です。

66同飛に28角成がポカでしょう。25飛で互角だったのですが、飛車が死んでしまいました。55飛には46角54歩56歩です。

やむなく19馬ですが、馬を消されて

何か手を作らなければいけません。84角から

75桂?

大山先生は66銀から76歩で切らしに行きました。87香には

79玉89香成同玉87桂成。87同金は68歩成で少し嫌です。

角を切らせて

角で受けました。

清算してもらえば怖くないです。

投了図。

早指しゆえのポカでした。大山先生の受けを勉強しておきましょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:小阪昇5段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 3五歩(34)
5 5六歩(57)
6 3二飛(82)
7 4八銀(39)
8 4二銀(31)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 6八銀(79)
14 8二玉(72)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 2六歩(27)
18 7二銀(71)
19 5八金(49)
20 3四飛(32)
21 6五歩(66)
22 8八角成(22)
23 同 玉(78)
24 3二金(41)
25 6七銀(68)
26 5四歩(53)
27 7八金(69)
28 5三銀(42)
29 7七桂(89)
30 1四歩(13)
31 2五歩(26)
32 1五歩(14)
33 2六飛(28)
34 3三桂(21)
35 7五歩(76)
36 4四歩(43)
37 4六歩(47)
38 1四飛(34)
39 4七銀(48)
40 4二金(32)
41 8六歩(87)
42 3九角打
43 4八角打
44 同 角成(39)
45 同 金(58)
46 3九角打
47 5七角打
48 6四歩(63)
49 同 歩(65)
50 同 銀(53)
51 6五歩打
52 5三銀(64)
53 3六歩(37)
54 3四飛(14)
55 3五歩(36)
56 同 飛(34)
57 7四歩(75)
58 同 歩(73)
59 4五歩(46)
60 同 飛(35)
61 4九歩打
62 5五歩(54)
63 同 歩(56)
64 6六歩打
65 同 飛(26)
66 2八角成(39)
67 3七桂(29)
68 1九馬(28)
69 4五桂(37)
70 同 桂(33)
71 4六角(57)
72 同 馬(19)
73 同 銀(47)
74 8四角打
75 5六飛(66)
76 7五桂打
77 6六銀(67)
78 3六歩打
79 3八歩打
80 6七歩打
81 7六歩打
82 8七香打
83 7九玉(88)
84 8九香成(87)
85 同 玉(79)
86 8七桂成(75)
87 8五歩(86)
88 6六角(84)
89 同 飛(56)
90 8六銀打
91 5九角打
92 7八成桂(87)
93 同 玉(89)
94 6八金打
95 同 角(59)
96 同 歩成(67)
97 同 玉(78)
98 8八角打
99 6七金打
100 9九角成(88)
101 5四歩(55)
102 投了
まで101手で先手の勝ち

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20170827今日の一手(その561);相振りの難しさ

2017-08-27 | 今日の一手

20170827今日の一手

7月8日の名南将棋大会から、SさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは同じくらいです。
先手の攻め駒は持ち駒銀1枚。86角や68飛は64の歩が消えれば攻め駒ですから3枚に近いです。
後手の攻め駒は24角と持ち駒銀で2枚。41飛や33桂も働きそうで4枚に近いです。

総合すれば後手もちです。

☆ 大局観として
先手は左桂が使えていません。68飛もひもは付いていますが当たっているので、形勢は悪そうです。元は88にいた飛を48~68と動かしていること、85歩と23歩の関係から、後手の攻めが速くなっています。つまり手が遅れているのに攻め合いに出たのが疑問だったということでしょう。
まずは飛取りを受けておいてどうか、を考えます。
だめなら斬り合いに出るしかありません。そうしないと前に指した手が無駄になってしまいますから。
相振り飛車というよりは相居飛車での攻め合いに近い考え方です。


× 実戦は65飛とかわしました。

37歩成同銀45飛

で両取りなので取るしかなく、45同飛同桂38歩37桂成同金88飛


後手にきれいにさばかれて敗勢です。
途中37歩成に同桂も46歩

で困ります。48金引は36歩があるのが痛いのです。


△ 67飛が最善の逃げ方ですが

37歩成同桂46歩36金47銀

47同銀同歩成同飛56銀87飛79角成

少しゆっくり攻められてかなり受けにくいです。

37歩成に同銀なら45桂

駒損で我慢しても仕方ない(46歩とか)ので46銀は同角同金57桂成

と軽くさばかれても後手が好調です。


× 79角成を避ける意味で57歩は45桂

歩切れでなければ46歩でまだまだですが、つぶれそうです。


△ 46銀と入れる受けは手堅そうですが

飛にひもがついているので46角同金57銀はあまり怖くないです。
45桂36歩57銀

はかなり厳しいです。ただ42歩で後手の飛先が止まる(42同飛に63歩成)ので、61飛63歩成同金直57銀

57同桂成52銀62飛63銀成同金

後手の飛の逃げ方で攻め合いにできる位置もあるのですが、それでも少し足りません。


○ 受けるのはだめなので攻め合いです。63銀は

一番目につく攻め方でしょうか。68角成同角69飛72銀成同金79金

金が手に入るので飛を取られての打ち込みは怖くないようなのですが、これが落とし穴。
49飛成同銀45桂46歩37歩成

後手の攻め駒は41飛を入れなくても4枚ありますね。持ち歩も多いので攻めが切れません。こうなると79金が遊んでいます。

ですから金を打たずに59金

と寄って受けるほうが良い(あるいは59金打)のです。59飛成同角は38に銀がいるので受けやすいという違いです。
89飛成に63歩成同金52角

で駒を取り返せるので互角以上です。


○ もう一つは63歩成で

狙いは63同金直同飛成同金52銀

です。後手としては(実戦なら)これを避けるのだとは思うのですが、62金41銀不成37歩成同桂46歩

と攻められると後手が良いのではないかという感じです。こういう寄せ合いでは金得でも41銀が遊んでいますから、手番をもって攻めている方が指しやすいです。

63歩成には68角成

と応じられるかもしれません。72と同金68角37歩成同桂45桂同桂同飛

飛と角金の交換なので、先手が良さそうなのですが手が難しいです。玉の堅さは同等で、後手の攻めのほうが考えやすいのです。受けきれないなら寄せ合いですが、タイミングも方法も難解です。


☆ まとめ
桂馬1枚が攻めに参加している参加していないの差ですが、4枚目の攻め駒があるかどうかの違いになるので大きな差です。
受けに回っていると後手が指しやすいようで、先手は最善の受けを続けて、何か間違えてもらうしかありません。間違いがないと逆転しません。

先手の美濃囲いは相居飛車には少ない(高美濃はさらに少ない)ので判断が難しいと思いますが、攻められているのが4筋で、ここは厚くないところなので受けきりを狙いにくいです。だから勝つには攻め合いしかないところだろうと思います。
相振りでの受けきりは矢倉か銀冠に組んだ時くらいです。玉の囲いの特長を体得しておきましょう。

攻め駒が少ないので寄せ合いは不可能、作戦負けで終わり、となるのが普通なのですが、後手陣は63銀と打ちこむか63歩成から飛を切れば、52銀あるいは角の両取りがある、というのが救いでした。

先を検討してみると、63銀のほうは68角成同角69飛の対応を間違えなければ、52に角を打ちこむ変化になるので安心して両取りを狙えます。
63歩成のほうがスマートのようで、実は52銀での両取りがうまくない(飛をとっても遊んでしまう)ので金得でも難しい図です。

相振り飛車は対抗型よりも相居飛車の感覚に近いので、なぜ振り飛車党がこれを好むのか、私にはわかりません。序盤の組み方の問題なのでしょうか。後年の大山先生みたいに対抗型に限定したほうがまだ悩みが少ないように思うのですが。

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