名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(610); 三間飛車に銀冠引き角棒銀(中原誠)

2017-08-13 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170813
昭和56年9月、中原誠王位と第22期王位戦第6局です。

大山先生の先手三間飛車、中原先生は74歩を突いてからの天守閣美濃です。

74歩を突いているので急戦、ということになるのですが、44歩と止めるのは

引き角棒銀ですね。大山先生は57銀型で軽く受けています。

駒組みを進めて、後手番ながら中原先生から動きました。

大山先生は金を繰り出して受けます。

中原先生は75歩を打ちたくなかったんですね。飛をまわって、75歩には同銀同金65桂という筋でしょう。

大山先生は5筋で飛を使います。

中原先生は桂を捨てて取り返す手筋、大山先生は控えの桂の手筋です。

中原先生は5筋をたたいてから端に味をつけます。

大山先生は65歩を待って

75歩から63桂成を決行しました。(75歩に65銀を避けた意味)

銀を捨てて飛を成られましたが

金を取り返す間に角が取れました。これで駒得です。

97角から65銀と気持ちの良い手があって

一気に寄せようと端を攻めます。端を詰めて54飛同竜42角成が実現すれば、ということなんですが、63銀のほうが安全です。、

左に壁があるので逆襲されると怖いのです。

食いつかれて危なさそうですが

13金を打って(23桂を避ける)清算できたので一息付けました。

飛を追われたら

75角右の2枚角がうまい返し技です。86桂の犠打も

2枚角が復活しました。

15桂は攻防で(空間を埋めた)

後手玉は寄りです。

中原先生は先手玉に詰めろが続くか。

下から追っているのでやや細く

23桂成が詰めろ逃れになって

投了図。

中原先生が少し苦しそうな中盤でしたが、端にアヤをつければ、かなり難しそうに見えます。大山先生はそれを否定して、強く端から逆襲して勝ってしまいました。綱渡りのようでも受かるとみているのですね。
これで7番勝負はフルセット。大山先生は中原先生に分が悪く、おかしな将棋も多いのですが、やはり実力には差がなくて、気持ちの問題だったのでしょうか。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:中原誠王位
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 8五歩(84)
7 7七角(88)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 5八金(69)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 5四歩(53)
19 2八玉(38)
20 7四歩(73)
21 3八銀(39)
22 2四歩(23)
23 5六歩(57)
24 2三玉(32)
25 4六歩(47)
26 3二銀(31)
27 3六歩(37)
28 4四歩(43)
29 5七銀(68)
30 4三金(52)
31 2六歩(27)
32 3一角(22)
33 5九角(77)
34 7三銀(62)
35 8八飛(78)
36 3三桂(21)
37 9六歩(97)
38 2二玉(23)
39 3七角(59)
40 2三銀(32)
41 4八銀(57)
42 3二金(41)
43 4七銀(48)
44 9四歩(93)
45 4八角(37)
46 9二香(91)
47 3七桂(29)
48 7五歩(74)
49 同 歩(76)
50 同 角(31)
51 6七金(58)
52 7四銀(73)
53 7六金(67)
54 4二角(75)
55 6五歩(66)
56 7三桂(81)
57 7七桂(89)
58 7二飛(82)
59 5五歩(56)
60 同 歩(54)
61 5八飛(88)
62 6五桂(73)
63 同 桂(77)
64 6四歩(63)
65 6七桂打
66 5四金(43)
67 5五桂(67)
68 5七歩打
69 同 飛(58)
70 5六歩打
71 同 銀(47)
72 1五歩(14)
73 同 歩(16)
74 1六歩打
75 7三歩打
76 8二飛(72)
77 1六香(19)
78 6五歩(64)
79 7二歩成(73)
80 同 飛(82)
81 7五歩打
82 同 銀(74)
83 6三桂成(55)
84 6六銀(75)
85 同 金(76)
86 7九飛成(72)
87 5二成桂(63)
88 6六歩(65)
89 4二成桂(52)
90 同 金(32)
91 9七角打
92 7二龍(79)
93 7三歩打
94 5二龍(72)
95 6五銀(56)
96 5三歩打
97 5四銀(65)
98 同 歩(53)
99 1四銀打
100 同 銀(23)
101 同 歩(15)
102 1五歩打
103 同 香(16)
104 1六桂打
105 2七玉(28)
106 2八銀打
107 1八銀打
108 1四香(11)
109 同 香(15)
110 1七歩打
111 1三金打
112 3二玉(22)
113 1七銀(18)
114 6三龍(52)
115 1六玉(27)
116 1七銀成(28)
117 同 玉(16)
118 6七歩成(66)
119 5九飛(57)
120 6八と(67)
121 8九飛(59)
122 7八と(68)
123 7五角(48)
124 8六桂打
125 同 歩(87)
126 8九と(78)
127 8五歩(86)
128 5三銀打
129 1五桂打
130 9九と(89)
131 6六香打
132 6五香打
133 7二銀打
134 7三龍(63)
135 7四歩打
136 1九飛打
137 1八歩打
138 1六歩打
139 同 玉(17)
140 1八飛成(19)
141 1七歩打
142 2八銀打
143 2九桂打
144 3七銀(28)
145 同 桂(29)
146 2五桂打
147 同 歩(26)
148 同 桂(33)
149 同 桂(37)
150 同 歩(24)
151 2三桂成(15)
152 4三玉(32)
153 3二銀打
154 投了
まで153手で先手の勝ち

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20170813今日の一手(その554);振り飛車の難しさ

2017-08-13 | 今日の一手
20170813今日の一手

7月8日の名南将棋大会から、OさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
私が見たのはここからで

四間飛車に右64銀の急戦だと思うのですが、スムーズに75銀を許しては振り飛車が失敗しています。59角に66銀同銀同角77歩

悪いなりに頑張っているのですが、77同歩成同飛76歩65銀

銀を使っての飛交換です。77歩成74銀に57銀

と打ったのがやや疑問(67と同金99角成77角89馬で後手よし)、57同金同角成77角33桂で問題図です。


☆形勢判断をします。
金と銀の交換で馬を作られていますから、少し先手の駒損です。
玉の堅さはやや後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は77角と持ち駒飛銀で3枚。74の銀が働けば4枚です。(後手玉からは少し遠いので74銀は入れませんでしたが、63に利きがあるので4枚とみてもよいです。)

後手の攻め駒は57馬と持ち駒飛金で3枚。
総合すればやや後手が有利です。

☆ 大局観として
2つの要素で劣っているので方針が難しいです。形勢が良くないと好手が出にくいわけで、こういう時ほど考えねばなりません。
攻め駒が4枚に近いので後手玉への寄せを考えるのが第一候補。後手玉の守りを崩せば堅さで上回ることになります。
駒得を考える場合は先手玉の薄さが目立ちます。となれば自玉を固めてから駒損を回復していくことを考えます。


× 実戦は82飛と打って、69飛に65歩

と63銀成を狙いました。76歩63銀成42金寄

角を逃げると39金で寄せられます。(後手は76歩ではなくて39金でも良かった。)
33角成と切っても足らず、33同玉25桂24玉でここまで。39銀に66角

で受けが無くなりました。

途中65歩では遅すぎるので、81飛成として

42金寄59銀89飛成48桂

と埋めればまだ粘れそうですが、15歩か67馬か、後手の攻め筋は消し切れていません。


△ 71飛あるいは61飛

と1段目に打てば33角成をみた先手です。82飛よりは優るのですが、42金寄の時に81飛成では同じことです。(後で述べる58銀はあるのですが。)


× 他の攻め筋は33角成ですが

33同玉45桂22玉33銀21玉

74銀が働いていないということもあって、まだ寄り筋ではありません。


○ 58銀と守りを固めたいところです。

馬取りなので強い指し手で、56馬71飛42銀(この場合は42金寄よりよいか)57歩89馬81飛成

後手玉より堅くなって、竜を作ったので駒損も緩和、形勢は互角です。

75馬と逃げられたら

71飛42金寄63銀成

84馬でも同じようなことですが、馬取りで手を稼げます。73歩81飛成79飛69歩

底歩も利くので少し指しやすいはず。69歩の前に26桂も魅力的です。

怖いのは58同馬

ですが、58同金69飛(79飛は88角打ちがある)に66角打42金寄59飛

手堅く守れます。こういう時に飛は手持ちのほうが良いので、71飛42金寄58銀、とするよりも単に58銀のほうが優ります。


△ 48銀と打つこともできますが

75馬71飛42金寄63銀成73歩

と進んだ時に、69飛~48馬がある分だけ先手玉が薄いです。


△ 68銀と打てば

後で79歩

と後手の78金を避けつつ底歩を打つ展開です。48金と打たれる筋が残っているので(今は大丈夫ですが)劣ります。


× 46銀は

ほぼ無意味。この銀が使えるなら良いのですが。


× 69歩

もそれらしい手ですが、76歩95角88飛

と打ち込みを許すのは損です。


☆ まとめ
私は振り飛車党ではないから思うのかもしれませんが
振り飛車(対抗型だとして)は居飛車に作戦選択を任せることになり、舟囲いで急戦、左美濃で中間、居飛穴など持久戦、と玉の堅さのバリエーションで指し方が変わってきます。
対急戦は左翼はやや悪くなって、玉の堅さで勝負
対左美濃(あるいは相穴熊)では小さな差が問題になりますし
対持久戦では左翼で有利を求めねばなりません。
この3つの方針の違いが難しすぎるのではないか、と思うのです。

その対応策として
①序盤研究をして、不利にならないようにする
②悪くなっても終盤で勝負できるようにする
というどちらかの技術を求められます。
そんなことを言っても居飛車をもっての対振り飛車でも同じではないか、ともいえるのですが、自分で戦型を選べます。選択権があればどちらか一つできればよいでしょう。

初心者が居飛車を選ぶか振り飛車を選ぶか(指導者がどちらを選ばせるか)で、安易に振り飛車のほうが玉が堅いから少々間違ってもひどくならないですよ、と勧めるのことが多いのではないか(そのためにアマチュアには振り飛車の人気が強い)というのが私の思い込みです。
選択権が無いと、②の難易度が高い、あるいは②が向いていない人のほうが多い、けれどもやむを得なくそうなってしまい、ずるずると負けてしまう、ということが多くなっていないでしょうか。

わかりにくく書いてしまったかもしれませんが、対抗型なら居飛車を持ったほうがわかりやすいというのが私の主張です。序盤研究を生かしやすいと思うのです。


この問題図の場合、さばき合いでかなり不利になり、居飛車の疑問手でやや盛り返したものの、まだ不利だった、という図です。形勢が悪いと手を選択するのも難しいです。
寄せ合いは負けになり、銀を埋めて粘りに行けば実はまだ難しい、というか振り飛車が有望だ、というのが結論です。

多分実戦なら先手で飛車を打ち込めるので、61飛か71飛か82飛か、どれにしようかな、としか考えないのではないでしょうか。ノータイムで銀を埋める、というところにたどり着くのにはかなりの修練が必要でしょう。不利な局面での難しい指し手を要求されることが多いので、振り飛車は難しいです。




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