名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(598);四間飛車に右64銀急戦(青野照市)

2017-08-01 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170801
昭和56年7月、青野照市先生と第7期棋王戦です。


大山先生の四間飛車に青野先生は持久戦、位取りか

とみせて、58金左を誘っての右64銀急戦です。これなら78金を避けられるというわけですね。

大山先生は78銀と戻す対抗策で

33角まで指すかどうかはありますが、桂を跳ねて浮き飛車から75歩というのがこの場合の攻め方です。

大山先生は59角から57金で受けました。

この形は55歩を絡める攻め方が多いです。金を上がったところを突くのは少し調子がおかしいという気はするのですが、7筋だけではうまくいかないのです。青野先生はこの定跡つくりにも関係していそうですね。

大山先生は75歩84飛を決めてから受けに回ります。74歩があるので

77歩が手筋。同角に56歩と取り込んで、56同金55銀65歩というのもありそうです。

大山先生は銀で取ったので7筋を押さえられました。

代償は と金つくりなのですが、これはうまくいかないと形勢が悪化します。後手は86歩同歩85歩というのもありました。

青野先生は5筋から角を使おうとします。

大山先生は銀を引いたのか疑問なのかも。気持ちよく桂を跳ねられてしまいました。取れません。

56歩同銀としないで、77歩成同桂同桂成同角76銀同銀同飛とさばけばまあまあだったはず。71とを払うこともできます。
56歩を銀で取られて65銀があるので

77桂成から攻めるのですが取ってもらえません。

互いに と金攻めで

金を剥がし合いますが、先手玉のほうが堅いですね。

ここに歩を打つのが軽手。64同歩63金41金打というのは気持ちが悪くて飛車で取ったのですが

65金から飛を追われてしまいました。ひとつ前の図では79飛成とできそうだったのに。

青野先生の25金は悪手。52歩成で取れば71角成と逃げられてしまいます。

やむなく二枚換えですが、後手玉がさらに薄くなりました。

大山先生は54歩から35歩と攻めます。

青野先生は銀を捨てて65角成と金を取り

33の角も成り込めばかなり盛り返した感じですが、このと金は取っておくしかなかったでしょう。

77馬は銀を打たれて

62と左から42金で寄り筋です。

投了図。

青野先生の序盤研究が生きて、少し良くなっていたはずなのですが、56歩同銀というのが指し過ぎで難しくなってしまいました。大山先生はゆっくり指して疑問手を待っている感じです。90手目64歩から65金なんて私には指せそうにないです。青野先生の25金なんてしないで受けていれば悪くないようにも見えますが。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:青野照市7段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八銀(39)
12 5二金(61)
13 3九玉(48)
14 5四歩(53)
15 6七銀(78)
16 4二銀(31)
17 4六歩(47)
18 5三銀(62)
19 5八金(69)
20 1四歩(13)
21 1六歩(17)
22 7四歩(73)
23 2八玉(39)
24 8五歩(84)
25 7七角(88)
26 6四銀(53)
27 7八銀(67)
28 7三桂(81)
29 6七銀(78)
30 9四歩(93)
31 5六歩(57)
32 3三角(22)
33 3六歩(37)
34 8四飛(82)
35 7八飛(68)
36 7五歩(74)
37 5九角(77)
38 7六歩(75)
39 5七金(58)
40 7四飛(84)
41 7六銀(67)
42 5五歩(54)
43 7五歩打
44 8四飛(74)
45 6七銀(76)
46 7七歩打
47 同 角(59)
48 5六歩(55)
49 同 銀(67)
50 7六歩打
51 5九角(77)
52 7五銀(64)
53 5五歩打
54 7四飛(84)
55 7二歩打
56 5四歩打
57 7一歩成(72)
58 5五歩(54)
59 6七銀(56)
60 8六歩(85)
61 同 歩(87)
62 8八歩打
63 同 飛(78)
64 6五桂(73)
65 4七金(57)
66 5六歩(55)
67 同 銀(67)
68 7七桂成(65)
69 5八飛(88)
70 6六銀(75)
71 6八歩打
72 7八成桂(77)
73 2六角(59)
74 5七歩打
75 4八飛(58)
76 7七歩成(76)
77 6一と(71)
78 6八と(77)
79 6二と(61)
80 5八歩成(57)
81 5二と(62)
82 同 金(41)
83 5三歩打
84 5一金(52)
85 5八金(49)
86 同 と(68)
87 同 飛(48)
88 5七歩打
89 4八飛(58)
90 8九成桂(78)
91 6四歩打
92 同 飛(74)
93 6五金打
94 8四飛(64)
95 7四歩打
96 2五金打
97 5二歩成(53)
98 2六金(25)
99 5一と(52)
100 同 銀(42)
101 2六歩(27)
102 8七角打
103 5四歩打
104 4一桂打
105 3五歩(36)
106 6七銀(66)
107 同 銀(56)
108 6五角成(87)
109 7三歩成(74)
110 9九角成(33)
111 5三歩成(54)
112 7七馬(99)
113 5六銀打
114 7五馬(65)
115 6二と(73)
116 同 銀(51)
117 4二金打
118 2二玉(32)
119 4三と(53)
120 5四香打
121 3二金(42)
122 1二玉(22)
123 1五歩(16)
124 5六香(54)
125 1四歩(15)
126 1六歩打
127 6六歩打
128 投了
まで127手で先手の勝ち



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20170801今日の一手(その548); ゆっくり攻める

2017-08-01 | 今日の一手

20170801今日の一手

2013年3月の名南将棋大会から、私とAさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
飛と桂+と金 の交換で、現状は後手の駒得です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は44角54桂と持ち駒金桂で4枚。
後手の攻め駒は持ち駒飛角銀で3枚。

総合すればやや先手有利です。

☆ 大局観として
先手は駒損でも玉の堅さ攻め駒の数で上回っています。中盤ならば駒損を回復して優勢にする、というところですが、後手は飛角を持っているわけで、受けきりも難しいですし、攻めることを考えたいです。戦力は十分にあり、駒損しないように後手玉に迫ればよいでしょう。と金が後手の守りの金銀と交換できれば駒損を回復しながらの攻めになるかもしれません。

形勢有利なら自然な手を考えます。実はどれが自然か、というのがわかりにくい問題で、悩ましいです。


△ 実戦は62桂成としました。

自分の駒が働くので自然な手に違いないです。でも61銀にひもがついているので厳しくはないのです。29飛61成桂同飛52と81飛62角成85桂

悪い手は指していないのですが、うまくかわされている感じです。52と が働いていない感じなので自信なし。やむなく49歩同飛成59金打19竜72銀

としたのですが、82飛83銀成同玉、と受けられたらどうしたものか。実戦は飛を見切って57歩だったので、81銀不成同玉61飛92玉93桂

という変な寄せ方があって、案外に受けにくいのです。82角81桂成73銀82成桂同銀73角

で寄りました。(以下は81銀同飛成から即詰み。)


△ さらに重く62金でも悪いことはなく

29飛61金同飛69桂26角

というのは形勢互角。


× 53桂も重くて

やらないほうが良い手でしょう。72銀上62桂成29飛61桂成

とすればそんなにひどくなくて、61同銀同成桂同飛62銀

と攻めは続きます。(実戦の62桂成も52とではなくて62銀のほうが良かったということかも。この変化より持ち駒に桂1枚多いです。)
57歩61銀成58歩成は82飛

で詰みます。

77桂は49歩

で59金打を見れば受かります。

62同飛に

62同角成82銀52飛

で互角です。


△ 51と

と捨てるともう少しきれいですが、51同飛62桂成41飛

で角に当たり、53角成62銀64馬53銀打

悪くはないけれどあっさり過ぎるようです。


△ 52と と捨てて

52同銀62角成63銀73馬82銀

でも形勢互角。と金は桂馬と替って銀を打たせたと思えば。ただし先は長いです。


△ 感想戦を見ていたAさんから32とではないかと言われました。

と金がそっぽなので、私は納得できないのですが、51飛62桂成

ならば、実戦の単に62桂成よりは良いですね。

32と には54金

と桂を取り、54同歩51飛53歩成64桂

でどうか。42と寄(21飛が気になるなら52歩)56桂51と68桂成同金59銀

というのはかなり危ないのですが、58金打からしばらく受ければ先手よしか。


○ 飛を取りに行くなら22歩11飛23桂

のほうが気が引けないです。12飛なら71角成が詰めろ銀取りです。先ほどの54金同歩64桂も11桂成56桂71角成

1手早く飛を取れる(前の変化は53歩成~42と で取りに行った)し、角筋も使えます。82銀に61馬~52飛で寄せます。


○ 33桂でも

飛を取りに行く意味は同じです。縦に逃げにくいので11飛41桂成

で飛取りと71角成があります。


△ 単に71角成も自然な手で

82銀に62桂成同銀同馬

で悪くはないです。どうやって寄せるのか、というのが見えないので先は長いかも。


○ どうせ長くなるなら53角成として

金取りを受けるのは63飛しかないので、52と同銀同馬26角35歩

と金が金と交換できたので駒損解消です。26角の受けには35歩で呼んで、35同角63馬68角成同金63金32飛72金

桂得になりました。ただし先手玉が薄くなったので、気を付けましょう。ゆっくり攻めるつもりなら問題はないです。


△ 95歩同歩

は入ります。どこかで93歩で寄せる筋が出れば勝ちですが。95香には98飛で返されることに注意しておきます。突き捨て自体は少し得なのでしょう。持ち歩が多ければ好手だと言えそうです。



☆ まとめ
問題図では先手が駒損しているので、性能の低い駒で攻めるのは少し難しいです。だから自然な攻め方をしているつもりでも、受けられたら案外に難しいのでした。

寄せのセオリーにつながるのですが、厳しい手から考えても相手の反発が強いというときには相手玉から離れている守備駒を攻めます。

71角成は92玉を直接狙っていますが、82銀で馬あたり。62桂成を見つけたら同銀同馬でまあまあではありますが、後手玉が堅くなっています。駒損が少し回復しているので悪くはないのですが。

61銀を攻めるなら62桂成なんですが、実戦の手順は今一つ。

ひものついている61銀よりはひものついていない64金を狙うほうが後手は困るのです。53角成63飛に52と、まで見えたら筋が良い攻めでした。

さらに遠くの21飛を攻めることもできます。33桂か22歩11飛23桂か。32とは少し劣るようです。


問題図は形勢が良いので互角以上になる攻め方が多いです。自然な攻めから選ぶことを心がければ間違いは少ないです。


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